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【ネタばれ】『ハンニバル』製作者が手掛けた話題作『アメリカン・ゴッズ』キャストインタビュー
ニール・ゲイマンが執筆した小説をドラマ版『ハンニバル』の製作者、ブライアン・フラーがドラマ化した『アメリカン・ゴッズ』。
今作は北欧神話やインド神話などに登場する古き神々と、現代文明から生まれた新しい神々との戦いをめぐるストーリーだ。富や技術、メディア、セレブやドラッグに現代人は傾倒し、古き神々は信仰者を失いつつあった。そんな折、前科持ちの主人公シャドウ・ムーンは、ウェンズデイという詐欺師のボディガード兼旅仲間として、数奇な運命を歩むことになる...。
Amazonプライム・ビデオにて先月より配信がスタートしたばかりの話題作に出演するリッキー・ウィトル(シャドウ・ムーン役)、イアン・マクシェーン(ミスター・ウェンズデイ役)、エミリー・ブラウニング(ローラ・ムーン役)、イェティデ・バダキ(ビルキス役)、ブルース・ラングリー(テクニカルボーイ役)に話を伺ったのでさっそくお届けしよう。
(以下は、『アメリカン・ゴッズ』第4話までのネタばれを含みますのでご注意ください)
■リッキー・ウィトル(シャドウ・ムーン役)
――劇中で色々な神と接触をしたり、生き返った妻と再会したりと普通の人には起こらないことを次々と体験するシャドウですが、気に入っているシーンはありますか?
生き返った妻のローラと再会して最初に話すシーンは、本当に美しく撮影されていて、まさしく私のお気に入りだね。とても感動的で、思わず彼女が死んでいることを忘れてしまうほどだ。夫婦のただの会話シーンだけど、それがこのドラマのミソなんだ。神々の空想的な要素がいっぱいだから、時々現実的にならないと。こういう人間的要素がドラマをさらに面白いものにするし、それがみんなの共感を呼ぶと思うんだ。
――今シリーズは放送前から世界中でかなりの話題になっていたり、既にシーズン2への更新も噂されていますが、ここまでの支持を得ている理由は何だと思われますか?
それは、TV史上最高のキャストが集まったからだと思うね! そして、Amazonプライム・ビデオとフリーマントルが、このドラマのために信じられないほどの努力を続けている。彼らが製作したこのとんでもないドラマは、これからのTVの世界を変えていくと思うよ。ニール・ゲイマン、ブライアン・フラー、そしてマイケル・グリーンといった、素晴らしい人たちに率いてもらい、私は最高のキャストに日々圧倒されている。このドラマは長く続く作品になるんじゃないかな。
■イアン・マクシェーン(ミスター・ウェンズデイ役)
――『コララインとボタンの魔女』に続き、ニール・ゲイマン原作作品への出演は2度目になりますが、今作への出演を決めた理由や経緯を教えて頂けないでしょうか?
1番の理由は脚本、2番目の理由はこのドラマに関わる人たちですね。
――今作で演じられたミスター・ウェンズデイは単なる北欧神話の主神というだけでなく"現代のアメリカに生きる"という特異な設定です。どのようなキャラクターなのか説明して頂けますか?
ミスター・ウェンズデイは、Intelの神やiPhoneの神など、現代の神々に起こっていることや、現代の輝かしい生活に反抗しています。彼が現代の生活を憎んでいることは問題ではないんです。問題は、人々が一日中、どこにいくにもiPhoneから目を離さないことだと思います。人々は、歴史、世界、自身のルーツ、自分の個性や環境、そしてかつて崇拝していた神との接触を失ってしまいました。
■エミリー・ブラウニング(ローラ・ムーン役)
――今回のキャスティングはニール・ゲイマンの希望だったとのことですが、役の話がきたときのことや、出演を決めた理由を教えてください。
この役のオファーが来た時は、疑わしく思っていました。普段役をオファーされるときは、ひどい役ばかりだから。ニール・ゲイマンは知っていたし、普段自分の得意とするジャンルでないファンタジーということも知っていました。けれどその後脚本を読んで、あっという間にやる気になりました!ローラは、今まで読んだ脚本の中で一番興味深くて刺激的なキャラクターです。そして彼女は、私が今まで演じたキャラクターの中でも一番のお気に入りなんです。
――最初の数話だけで凄まじい印象を残していますが、演じるうえでご自身が驚かれたことなどはありますか?
死は、今まで彼女に起きた中で最高の出来事だったと思います。彼女は人生に行き詰って混乱していて、自分が本当に何をしたいかわからないまま平凡なルーティンを繰り返して生きています。一度死んで恐れるものがなくなったことによって、精神的苦痛から解放されたんです。
■イェティデ・バダキ(ビルキス役)
――シバの女王という映画やオペラにもなっている伝説の人物を演じられていますが、役作りをする上でどのような準備をされたのでしょうか?
私は凝り性で、全部リサーチしないと気がすまないんです。この役作りにおいては、魅力的なシバの女王について最初から調べ始めました。それからニール・ゲイマンの本に立ち戻り、その頃には創造神話に夢中になっていました。女優としての視覚的な準備には、エリザベス・テイラーやマリリン・モンロー、グレイス・ジョーンズやティナ・ターナーなど、現代の女神を具現化していると思った人々の写真に目を通しましたね。
――初登場の時のベッドシーンには度肝を抜かれましたが、演じられていかがでしたか?
それが、びっくりするくらい解放的でした! ビルキスを演じるにあたって驚いたことの一つですが、ドラマの発表があって以来、ファンの方々、特に多くの女性が連絡をくれるんです。多くの女性が、悪びれないビルキスの崇拝行為を楽しみにしてくれています。もちろん撮影現場では少し緊張しましたが、スタッフの方々が安全な空間を作ってくれたおかげで、この女神を演じるとはどういうことかを、じっくり探求することができました。
■ブルース・ラングリー(テクニカルボーイ役)
――今作に出てくるオーディンやレプラコーンといった古い神とは違い、新しいインターネットの神というイメージしにくいキャラクターを演じられていますよね。どのようなイメージで役作りをされたのですか?
彼は人間じゃないから、人物としてはイメージしなかった。彼は人々の信仰から生まれたから、彼の一部は人間によって作られたんだ。その部分は本質的に人間だと言えるね。同じように言えば、彼の一部は人工知能レベルでも動作しているんだ。彼が神であることを踏まえると、崇拝されるということはとても孤独なことだと気づいたよ。自分自身を崇拝している人々に共感することはとても難しいからね。
――今後、ジリアン・アンダーソン演じるMediaとの共演も増えてくると思うのですが、彼女と仕事をしてみていかがでしたか?
彼女との共演は最高だったよ! ものすごくプロフェッショナルな人なんだ。一緒に仕事をできて本当に光栄に思ってる。繊細だけどパワフルな、たくさんの方法で驚かせてくるんだ。共演相手として素晴らしい役者だね。楽しい時間もたくさん過ごせたよ。
『アメリカン・ゴッズ』シーズン1はAmazonプライム・ビデオで配信中。
Photo:『アメリカン・ゴッズ』シーズン1
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