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(鈴)あっ 痛っ! あっ…。
お… おなかが 痛い…。(福子)お母さん!
(小山内)虫垂炎だと思われますがまだ はっきりしません。治るんですか? 母は。
(幸)まさか 命に関わる病気では…。
あの そこは まだ何とも。
♪~
私は 武士の娘です。
そうよ。お母さんは 武士の娘なんやから。
お母さん?
お母さん。
ああ…。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
ああ… 私は もう駄目。
(克子)何言うてんの お母さん。
そやかて 夢に源 義経が出てきたのよ。
(タカ)義経?川の向こうで手招きしてたんやて。
(吉乃)ええっ。手招き?
私は「義経様!」ってじゃぶじゃぶ渡ってしもたの。
あれは さんずの川やわ。さんずの川。
さんずの川を渡るのは死んでしまう時でしょ。
生きてるやないおばあちゃん。
これから死ぬのよ。おばあちゃん。
ああっ!まだ痛むの?
先生は そのうち薬の効果が出てくるやろうっておっしゃってるから。絶対 大丈夫よ おばあちゃん。
弱音を吐かない。 武士の娘でしょ。
あっ そうや。 ええニュースがあるのよ。
フリーズドライのエビが決まったんやて。
(一同)おお~!
(洋子)色が変わってない。
(西野)きれいな赤だ。(久坂)形も崩れてないですよ。
(神部)お湯で戻してみよう。(一同)はいっ!
源たちが頑張ったんよ。
エビ…。ものすごく苦労したんやて。
これで やっとまんぷくヌードルの完成に近づいた。
楽しみやね。エビが出来たからってそんな話で今の私が喜べるわけないやない。
ああ…。
(源)3分です。
(真一)ほう。
(森本)見た目が華やかになったな。(岡)エビが入ると別物や。 ねえ 世良さん。
(世良)まあ普通のラーメンとは ちゃうな。
(萬平)こういう具材が欲しかったんだ。よくやってくれた。
ありがとうございます。(真一)みんなも よう頑張ったな。
(西野)はい。いやいや 見た目より味やで。
(神部)どうぞ どうぞ 食べてみて下さい。真一さんも。
うん。(真一)うまい! 更に うまなったわ。
肉汁がスープと合わさって深みが出ましたね。
エビも うまい。 食感もいい。
(神部)ありがとうございます。世良さんは いかがですか?
世良さん。
おいしいですか?
まあ うまいか うまないか言われたらうまいな。
好きか嫌いかで言うたら?
好き。(笑い声)
せやけど!これを100円で売るいうんは反対や。
そこだけは 絶対譲らんど。世良さん。
その話は また次の機会にしましょう。何でやねん! 売るんは僕らやぞ。
まだ まんぷくヌードルは完成していないんです。
このカップを どの大きさ 形にするのか蓋は どうするのかこの容器に どんなデザインを施すのか。
商品化に向けて まだまだ考えなきゃいけないことが たくさんあるんですよ。
直径2ミリ 深さ5ミリの差か…。
℡
はい もしもし。 おお 福子。どうだ お義母さんの様子は。
今のところ大丈夫です。
先生は このまま回復に向かってくれればええんやけどって。
相変わらず はっきりしない医者だな。
今は お母さんのことは心配しないで萬平さんは お仕事に集中して下さい。
分かった。 でも お前の体も心配だ。
一回 家に帰って お前も休め。
はい。 ありがとうございます。
(しのぶ)はい どうぞ。(純)ありがとうございます。
(名木)見て 純ちゃん。 香田先生の絵やで。
(純)えっ…。
(名木)先生から聞いたんや。このお店に 自分の絵が飾ってあるって。
何で こんな…。(アキラ)こんな?
(しのぶ)ええんよ こんな店で。あっ すいません。
香田忠彦画伯も時々ここに来るんやで。
まっ というよりは あの一族の御用達やなこのパーラー白薔薇は。
あの一族?そうや。忠彦さんの親戚。
福ちゃんや旦那さんの 立花萬平さんたち。
(純)あっ まんぷくラーメンの。そう。そうや。
あの絵もな 香田忠彦画伯からじきじきに もろたんや。君らみたいに若い子たちには何が描いてあるかよう分からんと思うけども。
(しのぶ)ほんまはあんたも分からんくせに。
何を言うとんや。あの絵は もう うちの顔やで。
あの絵に合わせてな店内も改装しようかと思てんや。
分かりますよ マスター。僕は 香田先生の弟子ですから。
弟子?(純)毎日 アトリエで先生の創作 手伝うてるんです名木さんは。
そうなんや。ということは あの ややこしい…。
マスターよりは よう分かってますよこの絵のよさは。
意地悪やなあ。もっと はよ言うてくれよ。 なあ。
(しのぶ)得意気に しゃべり倒して。(アキラ)ほんまや。
あっ そうや。大奥様は大丈夫なん?
先生の奥様は心配ない言うてましたけど…。
けど!?けど?
何べんも ため息をついておられますからほんまのところは どうなのか…。
何の病気かまだ分からないそうです。
えっ!何やねん それ。
(忠彦)大丈夫ですか お義母さん。(真一)顔色は悪くありませんよ。
ありがとう わざわざ来てくれて。
せやけど 大丈夫やない。
顔色かて ええわけない。
そんなふうに考えては いけません。いけませんよ。
(忠彦)必ず ようなりますよ。
みんな お義母さんのことを心配してるんですから。
ほんまに?ほんまですよ。
お義母さんが いなくなったらこの世の終わりや。
ねえ 真一さん。この世の終わり?
そう。そうです。
お義母さんには長生きしてもらわないと。
はあ… ありがとう。
咲も克子もええお婿さん 選んでくれたわ。
フフフ…。
うん… おいしい。
うん ほんま おいしいわ。
せやろ。 まんぷくヌードルは誰が食べても おいしいんや。
お義母さんにも食べてもらいたかったんだけどなあ。
私らがいた時は気弱になってましたけど…。
さっきね忠彦さんから電話があって真一さんと2人で行った時は笑顔を見せてたそうです。
ああ そうか。
(真一)20回?(咲)もっとかな。(忠彦)それは すごい。
咲が そんなに万博 好きになるなんてなあ。
(咲)そやかて あんなに たくさんのパビリオンがあるのよ。
1回や2回ではとても回りきれないでしょう。
そやけど 万博に20回以上も行くなんてそんな人は いてないよ。
そうやね。 あっ… そうかも。(笑い声)
咲。ちょっと黙ってて お母さん。
そやかて やっぱり 月の石よ。
何時間 並んでもアメリカ館は絶対見るべきやわ。
一緒に行きましょう 真一さん。そうやな。
忠彦さんも。いや 僕は 2人の邪魔はできないよ。
そんなこと気にしなくていいわよ。ねえ お母さん。
(泣き声)
どうしました 今井さん。
痛むんですか?咲が 咲が…全然 私のこと心配してくれないの…。
(泣き声)えっ?
真一さんも 忠彦さんもほんまは私のことなんか どうでもいいのよ。
(泣き声)今井さん。
そしたら 明日お母さんのお見舞いに行かれるんですね。
ああ 行ってくるよ。
やっぱり これだ。きっと喜びますよ お母さん。
もう 気弱なことは言わなくなってるし。
あとは 蓋をどうするかだ。
蓋? まんぷくヌードルの蓋ですか?
今のところはかぶせ蓋しか思いつかない。
ああ…カップの大きさに合わせた蓋をかぶせる。
それでは駄目なんですか。
密閉するのが難しいんだ。何かの拍子に開いてしまったら中の具やら粉スープがこぼれ出てしまうだろう。
ん~…。そしたら 蓋を貼っ付けたら?
貼っ付ける? 接着剤で?例えば。
それだと 開けるのが むずか…。
ああ。ん?
ああ! あれだ!
あれ?ああ。 昔 アメリカの出張帰りで機内食で出てきた あ~ あれだよ ほらマ… マカデミアナッツだ。
ナッツ?ああ。 あの時の容器の蓋だ。
あ~… あっ はいはい 思い出した。
萬平さんがえっらい感心してましたよね。
いや… 私 どこかに取っといたはずですよ。
ええっ!うん うんうん。
え~っと…。
ああ これは違う。
え~っと 確か ここに…。
あっ。 そうだ これだ。
これは… アルミ箔でしょうか。
いいぞ。 これを使おう。
えっ。よく これを取っといてくれたな 福子。
あの時 萬平さんもう とっても面白がってたから。
そもそもまんぷくヌードルの案が浮かんだのもお前が アメリカに行った時のことを覚えててくれたからだ。
お前のおかげだ 福子。少しは お役に立てたんですね。
役に立てたどころじゃない。
お前がいなかったらまんぷくヌードルは出来なかったよ。
ありがとう 福子。本当に ありがとう。
はい。