国連安全保障理事会が12日に公表した「対北朝鮮制裁委員会専門家パネル報告書」の中に、韓国政府が北朝鮮に石油製品を持ち出した事実について「制裁違反の恐れがある」という趣旨の記載があることが14日までに分かった。韓国政府による制裁違反の可能性を安保理が指摘し、事実上の「警告」を行ったのだ。
これに先立ち韓国政府は開城の南北共同連絡事務所設置のため、昨年およそ340トンの石油製品を北朝鮮に運び出した。石油は安保理決議によって制裁品目に定められているが、韓国政府は石油製品を運び出した事実について事前に安保理に申告を行わなかった。韓国国内でもメディアや野党がこれについて何度も指摘したが、それでも政府は「連絡事務所と関連した石油製品の搬出は、制裁違反かどうかを検討すべき事案ではない」との説明を繰り返してきた。昨年8月には韓国統一部(省に相当、以下同じ)の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官と外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官、国家情報院の徐薫(ソ・フン)院長が国会で「(連絡事務所設置に関する問題は)制裁関連の事案に相当しない」との考えを示し、また韓国大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官も「制裁対象ではないし、米国も理解を示したと聞いている」とコメントしていた。
ところが国連安保理専門家パネルの判断は違っていた。専門家パネルは今回の報告書に添付した資料の中で、国連加盟国に「北朝鮮への石油製品移転報告義務」を課すことを定めた国連安保理決議2397号に言及し「加盟国は精製石油製品の北朝鮮移転を全て委員会に報告しなければならない」「これは所有ではなく領土が基準となり、臨時移転か永久移転か、移転後には誰の統制下に入るかは関係ない。これらの具体的項目に注目している」という趣旨の記載を行っている。北朝鮮領土に持ち出される石油製品は、いかなる場合であれ報告対象であることを明確にしたのだ。これについてある外交筋は「(専門家パネルが)『韓国政府は制裁に違反している』とあからさまに指摘したわけではないが、『同じようなケースは今後あってはならない』とはっきり警告したようなものだ」との見方を示した。