| | 昨年、オーストラリアのホスキンさんが発見した「姿三四郎」を、黒澤文化財団に通報したら、黒澤プロの代表取締役の田畑稔氏からメイルを受けました。黒澤プロの社長はタレントをされていた、黒澤明監督の御子息の黒澤久雄さんだと思っておりましたが、そうではなかったのですね。それはさておき、発見された「姿三四郎」の処遇についてメイルで少し遣り取りしたついでに、黒澤監督のプライベートな事や、その実兄で映画弁士で謎の多い須田貞明について、田畑氏に質問した見たら、御丁寧な返信を頂きました。黒澤監督は御自身の過去には執着されない方で、１９８０年以前のものは残されておらず、須田貞明に関する資料は黒澤プロには殆ど無い事など承りました。更に、かねてより噂のある、完全版「白痴」について訊いてみましたら、黒澤プロとして、完全版「白痴」のフィルムの実在を認めており保有者も判明しているが、明らかに出来る事は、これ限りの旨の返信を受けました。更に突っ込んで、此の件に関して質問をしたら、以後ぱったりと田畑氏からのメイルが途切れました。その後、ホスキンさんの「姿三四郎」に関して、田畑氏と連絡を取らねばならぬ事があったので、携帯で一度だけ話しましたが、完全版「白痴」に知り得たのは以上だけです。ともあれ、熊井啓氏以外の筋からも、完全版「白痴」の存在が確認出来ました。
ところで、黒澤明監督といえば、先日放映された、山本晋也監督の再現版「抱き寝の長脇差」に黒澤映画の匂いを私は感じ取りました。冒頭の木下で寝ている源太は、「羅生門」で大木の下で昼寝をする三船敏郎の多襄丸を想い起こさせますし、宿場の砂埃は「用心棒」を彷彿とさせます。以前、私が言及した「縄のれん」が２回も出てきます。山本監督は黒澤映画に強く影響を受けたといえば、それまでですが、これが山本監督の見たという「抱き寝の長脇差」を忠実に再現したものなら、黒澤監督は山中に影響を受けていた可能性がありそうです。 | |
