【大相撲】諦めるな豪栄道、相撲は10日目からだ2019年3月19日 紙面から ◇北の富士評論「はやわざ御免」テレビの仕事が終わり真っすぐホテルに帰る。一休みして原稿に取り掛かる。昨夜は食事の時、少々酒を飲んでいたので何を書いたのか、よく覚えてなく、今朝新聞で昨日の原稿を読む。もっとひどいと思っていたが、いつもの記事とそれほど遜色もなかったのでひと安心。もっとも連日の原稿自体たいしたことがないのでこれ以上は悪くなりようがないのかもしれない。 何もタクシーの話を長々とすることもないのに明らかに手抜きが見て取れる。この分ではいつお払い箱になってもおかしくないので心を入れ替えて取り組む覚悟です。 それでは9日目の土俵から、先日褒めまくった豪栄道が伏兵逸ノ城に負けてしまった。立ち合い左で横みつを取りに出た豪栄道だったが、逸ノ城は右肘をうまく使って許さない。それどころか逸ノ城の方が先に十分の左上手を引いてしまった。こうなると逸ノ城はとてつもないくらい力が出る。おそらく今場所は引いてばかりで左上手を引けたのは多分2度目ぐらいだろう。こうなると逸ノ城は死んでも上手は離さない。豪栄道は懸命に上手を切ろうとするが、とても無理である。このままではますます苦しくなる豪栄道が左を巻き替えに出た。あまり良い作戦とはいえないが背に腹は代えられない。イチかバチか、そんなところだったと思うが、結局これが命取りになった。じーっと勝機をうかがっていたかのように逸ノ城が左上手を離し、逆に右から思い切り小手投げの逆襲。まさかの投げに不意を突かれた豪栄道は鮮やかに転がった。 この負けは実に大きい。白鵬全勝、鶴竜は1敗、貴景勝も2敗を守っただけに地元優勝の悲願は難しくなった。残されるのは地力で勝ち抜くしかない。10日目終盤からは星のつぶし合い。まずそれらに打ち勝ってなお他力の助けも必要とする。ということはもう1敗もできないということである。連日の大声援を力とし、死力を尽くして取れば願いは天に通じることもあるだろう。その証拠にここ3場所は奇跡の初優勝が続いているではないか。相撲は10日目からが大事である。諦めるな豪栄道。 本日は豪栄道に終始したが、夜食事に行ってもタクシーに乗っても豪栄道の話ばかりである。少しは私も気を使って今場所は期待してくださいとつい言ってしまう。だから豪栄道に勝ってもらわなければいけないのであります。余計なことで気を使っているので今場所は疲れている。早く飯を食って早く寝よう。 (元横綱)
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