【大相撲】逸ノ城、怪物復活 新入幕以来9日目勝ち越し2019年3月19日 紙面から
◇春場所<9日目>(18日・エディオン アリーナ大阪) 平幕の逸ノ城(25)=湊=が大関豪栄道(32)=境川=との1敗対決を制し、勝ち越しを決定。復活を印象付けた。大関昇進を狙う関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=は千代大龍(30)=九重=を突き落とし7勝目。横綱白鵬(34)=宮城野=は小結御嶽海(26)=出羽海=を寄り切り、ただ一人の全勝を守った。 逸ノ城は怪物と呼ばれることを嫌がるが、こうなったら呼ばせてもらうしかない。 「それしかなかったんで」と思い切りよく放った小手投げで豪栄道を転がす。1敗対決を制したのは大関ではなく平幕の逸ノ城。9日目での勝ち越しは、ざんばら髪の新入幕で大フィーバーを巻き起こした2014年秋場所以来2度目。怪物復活を告げる大きな足音が聞こえてきた。 「無欲」が復活のキーワードだった。5場所連続で守っていた三役から平幕に落ちた先場所の失敗を肝に銘じている。 序盤の5日目までに2横綱(2金星)、2大関を破り4勝1敗。ところが終盤の5日間は小結と4人の平幕に5連敗。あろうことか、6勝9敗と負け越した。 「あれだけ勝ってたら普通、勝ち越しますよね…。番付が下の人にも集中しなくちゃ」 今までは「優勝争いすることを目標に」「とりあえず2桁」と前向きで具体的な目標を口にしてきた。 だが、「先場所で変わりました」と考え方を改めた。取組後に三役復帰が目標か? と聞かれると「それより、一番でも多く勝てるように」と受け流した。栃ノ心、御嶽海、貴景勝、玉鷲と三役以下で優勝力士が続出していることで、次は自分も? と水を向けられても「いや全然」と乗ってこない。 8日目の17日が誕生日だったおかみさんの真さんに、高級ブランドのスマホケースをプレゼントした。残念ながら勝って勝ち越しを添えられなかったが、この先の白星はもっと価値あるものにつながっていく。(岸本隆)
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