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(萬平)そうだ! 目の前は海だ。
あの鉄板で塩を作れないか。
塩といえば赤穂。神部君 明日 早速 赤穂に行こう。
(神部)明日?(鈴)行って どうするのよ。
塩作りを勉強しに行くんですよ。
(汽笛)
(神部)萬平さんが言うには 要するに熱々の鉄板に海水をかけて水が蒸発すれば 塩が残る。
そうだ 神部君。 さすが大阪帝大卒。ありがとうございます。
せやけど そんな簡単に塩が出来るんでしょうか?
まあ 出来ないだろうな。えっ?
神部君 だから赤穂に行くんだ。
江戸時代から塩が作られていた所だぞ。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
(福子)この度こちらに引っ越してまいりました立花でございます。
ああ あの陸軍倉庫やった…。はい あそこに。
どうぞ よろしくお願いいたします。こちらこそ。
あっ それで… これを。
まあ そんなご丁寧に。
いえ あっ あの…お米と交換して頂けないでしょうか。
はいはい あの海沿いの家に。はい。
それでですね… お母さん。あっ はい。
あの この着物と何か食べ物を交換して頂けないでしょうか。
もう嫌。 まるで物乞いやわ。食べ物くれ 食べ物くれって 情けない。
みんな当たり前にやってることよ。
私は 武士の娘ですよ。
あっ あそこかしら ハナちゃんの家。はあ…。
(賢作)よう泉大津に来てくれたのう。
福子さんのことは嫁から よう聞いております。
ほんまに かわいい。
こちらさんは泉大津の地主さんやそうで。
地主は 私の父です。昔から ここに住んでるもんで。
地主の息子さんと一緒になられたのね。
お子さんもいらっしゃってお幸せなこと。
(ハナ)ありがとうございます。
いないいない ばあ~!
もう「ばあ!」やないでしょ。ばあ~!
私も早く孫の顔を見せてもらいたいんですけど。
子は 授かりもんですから。
そうですよねえ。
今日は お母さんと挨拶回り?
そう。 着物と食べ物を交換してもらってるんよ。
お恥ずかしい話で。
いえ。 是非 私どもにも見せてくれんかの。
はい。 とっておきのものを残しておきました。
唐織の帯です。(ハナ)きれい。
これは上等や。
私の祖母から母へ私へと受け継がれたものです。
300円で買いましょう。
えっ。お金もご入り用でしょう。
300円では安すぎますか?
あっ いいえ。ありがとうございます。
ありがとう ハナちゃん。ええの ええの 福ちゃんは親友やもん。
萬平さんたちが赤穂に着いたのはその日の昼過ぎでした。
入浜式塩田。
昔からのやり方やけえ。
入るに浜で 入浜ですね。
具体的には どういうやり方を?
海水1リットルから30グラムの塩。
そがいなもんだね。つまり 海水の塩分は3%。
でも 簡単に塩は取れんよ。
手順を教えてもらえませんか。
♪~
どうぞ。あっ どうも。
おお…。
かんすいとは どういう字を?
どがいに言うたらあ… 鹹…。
えっ あのもう一度お願いします。
大阪帝大卒だろ。かんすいなんか聞いたことないです。
漢字は こちらで調べます。
とにかく その鹹水という塩分濃度の高い液体を作るわけですね。
せぇから 塩にしていくのが煎熬。
それは どういう漢字を…。その作業を見せて頂けますか。
はあ~ 300円。
ハナちゃんのおうちは お金持ちなのね。
地主さんやもの。
それに比べて あなたの旦那様はどうしていくつもりなのかしら。
お塩を作るって言うてるやない。塩を作って どうするの?
清香軒さんに差し上げてラーメンをおいしくしてもらうの?
それだけや…。ご近所に配って 食べ物と交換するわけ?
分かりません。分からない?はい。
自分の旦那が何を考えているのか分からない。
そやけど 萬平さんは発明家ですよ。だから?
きっと何か先が見えてるんよ。
行き当たりばったりで生きてるとしか思えない。
私は 萬平さんを信じてます。
お母さんも私たちの結婚を許したんやから腹をくくって下さい。
腹をくくるって…。
どっしり構えるのが武士の娘やないんですか。
(机をたたく音)暮らしは どうするの。
明日も あさっても食べていかないといけないのよ 私たちは。
ハナちゃんの旦那様がええ着物があったら買うって言うてましたよね。
お母さん まだ持ってるでしょう。
持ってません。
まだ 隠してるでしょう。
隠してない。
(神部)ただいま戻りました。
お帰りなさいませ。ただいま。
赤穂は どうでした。大変 勉強になりました。
ごはん出来てますよ。ありがとうございます。
お昼食べてないんです 俺ら。
その前に神部君 倉庫だ。
えっ?行こう。えっ…。
ちょっ…。ごはんは どうするんですか!
・先に食べててくれ。
(2人)せ~の…。
ああ… 今日は きれいな夕焼けだったから明日は きっと晴れるだろうな。
ええ陽気になるかもしれませんね。
早速 実験ができるぞ。実験?
(おなかが鳴る音)鉄板を置く土台と海水がこぼれないようにこう 返しを作っておこう。
返しですか。(おなかが鳴る音)
堤防だよ。(おなかが鳴る音)
萬平さんも おなかすいてるんや。
今夜のうちに作るぞ。はい。
先に食べろって言うてたんやから食べましょう。
萬平さんたちは頑張ってるのに?
親をないがしろにしてるわ。えっ。
旦那の肩ばっかり持って。
お母さんが自分で来るって言うたんやない。
私たちと一緒に泉大津に来るって。
そんなこと言うたってあなたしか頼れないんやもの。
家は焼けたし克子の家には いられないし。
咲は もう夢枕に立ってくれないし…。
私のわがままも 少しくらい聞いてくれたっていいやない。
分かりました。 食べましょう。
いいの?
こんくらいのことで萬平さんは怒ったりしません。
頂きます。
ああ~。
お母さん。 私と萬平さんの結婚式の時きれいな留め袖 着てたわよね。
あれは どこに行ったん?
萬平さんたちの予想どおり次の日は 青空が広がりました。
5月なのに 真夏のような陽気。
よいしょ。よし…。
後ろ 気を付けて下さい。よし。
置きますよ。ああ ゆっくりな。
あ~!
ああ よし ぴったりだ。
こっちも ぴったりです。
神部君 でかしたぞ。 ハハハハ!ありがとうございます。
♪~
よし!
あっつ!
もうええやないですか萬平さん。
よし やってみよう。はい。
蒸発してますかね。
してるさ。 少しずつな。
おっ しょっぱなってます。
流せ。はい。
これを 何べん繰り返すんですか。
鹹水になるまでだ。
まあ きれいな留め袖。これは ええ。
うちにある中で 一番ええ着物です。ねっ お母さん。
はい。 はあ…。
はい。
よいしょ。
ただいま戻りました。
お帰りなさい 奥様。着物は売れたかい。
はい。 ハナちゃんの旦那様が500円で買うて下さいました。
500円!?よかったな。
はい。 今は何を?
煎熬だよ。せんごう?
あの鉄板の上を何べんも流して水分を蒸発させて塩分濃度が濃くなった海水を更に煮詰めて塩の花を作るんです。
塩の花?
はあ…。
はあ~。
あっ…。
塩の花だ。萬平さん。
私の留め袖が…。
・お母さん! 来て! お母さん!
あとは こうやってにがりを落としていく。
にがりというのは最後に残った水分です。
よし。
う~ん。
出来たんですか。
出来た。
これが塩?なめても いいですか?
ああ。
ん~!ああ しょっぱ!
あっ 塩や! 塩です!
お母さんも なめてみて。茶色いわ。
鉄板の鉄が混ざってるだけですよ。
塩が出来た!萬平さん!
でも茶色い。やったぞ~!
やったぞ~!しょっぱ~い!
いや お義母さんなめてみて下さいよ。
茶色い。
やった~! とにかく やった~!