この世界は下らないものばかりだとあきらめて、下らない人間に囲まれて下らない仕事ばかりをしていると、自分自身も下らない人間になってしまう。

特に俺なんかは、周囲からの情報を受けて咀嚼し取り入れてどんどん自分を変化させていくから、関わる人間によって白にも黒にもなる。

今は付き合う人間には本当に気をつけて厳選している。

会社員時代。

いわゆるブラック企業で人を人と思わず使い捨てるのが当たり前の人間ばかりだったし、環境がとにかく良くなかった。そういえば付き合っていた彼女に職場の話をしていたら、その上司はサイコパスじゃないかと言われた事があった、俺はほとんど洗脳状態で働いていたからその忠告の重要さに気付け無かった。

勤め人の商業デザイナーとしてはこれ以上無いという位の規模のディレクションも経験出来て、それが現在の自分への確信の根拠の一つになっているわけだが、失ったものが多すぎる。

無理をしていた。

自分には合わない事をやっていた。

そうと分かればもうやらなくて済む、それが分かったというだけでもまぁ良しとしよう。

俺の勤めていた会社のホームページから、最後に俺がディレクションしていた一番の太客だったクライアントの仕事は、一切取り下げられている。

俺がいなくなった後に何があったのかは、もちろん知る由もない。

俺に分かるのは、管理職が無能だったという事実から推測出来る事だけだ。

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