強制執行で回収された刀を手にする代理人ら=21日、福井市照手1丁目

 客から預かった日本刀を返却しなかったとして福井市の業者の男が業務上横領などの罪に問われている事件で、刀の返還を命じた福井地裁の決定に業者側が応じなかったため、地裁は21日、回収の強制執行を行った。業者の代表が刑事事件の容疑者として昨年5月に逮捕されてから1年余り。刀を取り返した被害者は「返ってきてうれしい」などと述べた。

 業務上横領などの罪に問われているのは福井市の刀剣類販売・修理会社「勝山剣光堂」代表取締役勝山智充被告(48)=公判中。地裁の決定は、代金と引き換えに3人に対して刀を返還するよう命じたもの。業者側に刀などの返還を求めた集団民事訴訟に関連し、先行して出されていた。

 今月14日の期日までに業者側が応じなかったため、地裁は強制執行に踏み切り、3本とも店舗内で発見された。

 この後、被害者の会が福井市内で会見。宮崎県の60代男性は「あきめていたが、返ってきて大変うれしい」。2015年10月から業者に預けていた神奈川県の50代男性は「感激はひとしお」と語った。同会の村内光晴事務局長は「3人の刀が返還され喜ばしい。全員救済できるよう尽力したい」と話した。

 集団訴訟は13府県20人が昨年11月と今年2月、返還を求め福井地裁に起こしている。残る17人に関する訴訟は21日結審、判決言い渡しは9月20日に行われる。
 

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