Q9.交差点を直進したいがいちばん左側の車線が左折レーン、どこを通るのが安全?

この設問は、車両通行帯が設けられた道路(片側二車線以上の道路)において自転車が左側端に寄って通行する義務を負うかどうかに関する問題です。
左折レーンなどの進行方向別に通行区分が指定された車線は車両通行帯に該当し、また自転車(軽車両)は指定通行区分に従う義務は負いませんので、左折レーンが設けられた道路においては、自転車は左側から一番目の車両通行帯である左折レーンを通ることとなります。
このとき、自転車は車両通行帯が設けられた車道を通行する際は左側端に寄る義務を負いませんので、左折レーンの右端を通っても問題ないこととなります。

左折レーンは車両通行帯

左折レーンは、道路交通法上は、進行方向別に通行区分が指定された車両通行帯に該当します。
そのため、交差点の手前で左折レーンが設けられている場合には、少なくともその部分については、車両通行帯が設けられた道路という扱いになります。

左折レーンが設けられた道路における自転車の通行位置

自転車は、車両通行帯が設けられた道路(片側二車線以上の道路)においては、左側から一番目の、第一通行帯(第一車線)を通らなければなりません。
また自転車は、基本的に左折レーンやバス専用レーンなどの車両通行帯(車線)に関する交通規制を受けませんので、これらの交通規制があった場合でも、あくまで第一通行帯を通行することとなります。
そのため、交差点を直進する場合には、その手前に左折レーンが設けられていても、あくまで第一通行帯(この場合左折レーン)を通行しなければなりません。

なお自転車は、車両通行帯が設けられた道路では、車両通行帯が設けられていない道路(一車線・片側一車線道路)とは異なり、左側端に寄って通行する義務を負いません。
そのため、本設問のような状況では、左折レーンの右端を通って交差点を直進しても問題ありません。

左折レーンのある道路で安全に直進する方法

左折レーンが設けられた道路を通って交差点を直進する場合に、道路の左側端に寄って通行すれば、左折自動車との交錯が生じる恐れがあります。
しかし、できるだけ直進レーンに近い部分を通行すれば、その危険性を抑えることができます。
そこで、左折レーンが設けられた道路を通って交差点を直進する際は、あらかじめ左折レーンの右端に寄っておくという方法が考えられます。

なお、左折レーンの右端に寄る際は、進路変更を行うことになりますが、このときには[Q3]に書きましたとおり、後方から進行してくる他の車両の通行を妨害(急制動・急ブレーキを誘発する恐れのある行為)してはなりません。
そのため、進路変更を行う前に、後方確認を行うべきこととなります。

また、同じく[Q3]に書きましたとおり、進路変更を行う際には、その3秒前に、進路変更の合図を示さなければなりません。
自転車の場合、状況によっては、手信号による合図を行うとバランスを崩す恐れがありますが、そのような恐れがない場合には、しっかりと手信号による合図を行い、周囲の車両に進路変更の意思を示されることをお勧めします。

関連条文

道路交通法

(車両通行帯)

第20条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。

(進路の変更の禁止)

第26条の2

2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。

(指定通行区分)

第35条 車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第1項、第2項及び第4項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第40条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。

(合図)

第53条 車両(自転車以外の軽車両を除く。第3項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。

2 前項の合図を行なう時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。

道路交通法施行令

(合図の時期及び方法)

第21条 法第53条第1項に規定する合図を行なう時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。

合図を行なう場合 合図を行なう時期 合図の方法
同一方向に進行しながら進路を右方に変えるとき。 その行為をしようとする時の三秒前のとき。 右腕を車体の右側の外に出して水平にのばし、若しくは左腕を車体の左側の外に出してひじを垂直に上にまげること、又は右側の方向指示器を操作すること。