スノーデン氏が指摘したケーブル監視

 また、ケーブルの陸揚げ局は通常、フェンスや防護物、セキュリティーカメラなどで保護されており、ネットワーク管理システムは広範なインターネットから隔離されるよう設計されているという。

 だが米国や同盟国の当局者は、サイバー防衛がかなり脆弱(ぜいじゃく)であることが多い貧困国の陸揚げ局はもっと狙われやすいと指摘する。またネットワーク管理システムは概して、サイバー侵入されるリスクのあるコンピューターサーバーで運用されている。海底ケーブルも、検知されずに物理的に手を加えられる国際海域に大部分が敷設されているため、攻撃されやすいと当局者らは話す。

 防衛の専門家によると、少なくとも米国の潜水艦1隻は海底ケーブルにハッキングできる。エドワード・スノーデン元国家安全保障局(NSA)契約職員は2013年、英米が海底ケーブルデータを監視していると主張していた。

 米国と同盟諸国は今、そうした戦術が自分たちに対して使用される可能性を警戒している。米英の軍司令官は最近、ロシアの潜水艦が海底ケーブル付近で活動していたと警告している。

 中国は広域経済圏構想「一帯一路」の一環として、海底ケーブルや地上・衛星回線を含む「デジタル・シルク・ロード(DSR)」の建設を目指している。

 米国防総省は1月のリポートで、こうしたプロジェクトはホスト国に恩恵をもたらす一方で、中国が外国の技術を取得したり「政治的な動機に基づいた検閲」を行ったりすることを後押ししかねないと指摘した。

 中国政府のDSRに関する戦略文書では、海底ケーブルの重要性やそれに果たすファーウェイの役割が言及されている。

 中国工業情報化省付属の研究機関は昨年9月に発表した文書で、海底ケーブル通信に関するファーウェイの技術力を称賛。中国は「10~20年以内に世界で最も重要な国際海底ケーブル通信センターの1つ」になる態勢にあると述べた。中国の外務・科学技術両省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。