米国や同盟諸国の現・元安全保障当局者らは、こうしたケーブルがスパイ活動や攻撃に一段とさらされやすくなっていることに懸念を表明し、ファーウェイの関与によって中国の能力が強化される可能性があると述べている。
ファーウェイは一切の脅威を否定している。米国は、ファーウェイがサイバーセキュリティー上のリスクをもたらすとの主張を裏付ける証拠を公表していない。ファーウェイの通信技術を排除するよう他国に説得を試みているが、米国の主張に懐疑的な国もある。
紛争時に遮断される危険も
ファーウェイが過半数株式を保有する華為海洋網絡(ファーウェイ・マリンネットワークス)は昨年9月、ブラジルとカメルーン間に約6000キロメートルのケーブルを完成させた。最近、欧州・アジア・アフリカを結ぶ約1万2000キロのケーブル敷設に着工したほか、メキシコのカリフォルニア湾を横断するケーブルを完成しつつある。
同社は計約90件の海底光ファイバー網敷設・改修プロジェクトに携わっており、業界を支配する米欧日3社に急速に追いつきつつある。
前出の当局者らは、ファーウェイが海底ケーブルに対する知識やアクセスを持つことで、中国がデータトラフィックを迂回(うかい)させたり監視したりするデバイスを加えたり、紛争の際に特定の国への接続を遮断したりできるようになる可能性を指摘している。
こうした干渉は、ファーウェイのネットワーク管理ソフトや沿岸の海底ケーブル陸揚げ局に設置された装置を介してリモートで行われる可能性があるという。