不登校や引きこもりについて考える勉強会が8日、那覇市の県総合福祉センターであった。長男(26)が不登校を経験した名護市の男性(65)が、当時の心境を語り「一番つらいのは、親ではなく子ども。他人と比較せず、諦めずに子どもを待ち続けてほしい」と呼び掛けた。県内児童相談所の児童福祉司や小学校の養護教諭らでつくる「沖縄の子どもと家族・支援者の未来を明るくする会」(OCFS)の主催で、約40人が聞き入った。

不登校と引きこもりをテーマにした勉強会。息子が不登校だった男性が体験を語った=8日、那覇市・県総合福祉センター

 男性の長男の不登校は、小学3年から中学卒業まで続いた。男性は当初、学校に行きたがらない長男に腹を立てランドセルを投げたり、足を引っ張ったりして登校させようとしたと吐露。夫婦仲もぎくしゃくし、ストレスから円形脱毛症にも悩まされた。

 転機は民間のカウンセラーにわが子への思いをさらけ出し「お父さんは間違っていない」と肯定されたこと。「誰にも相談できず抱え込んでいたが、気持ちが軽くなり、職場でも話せるようになった」という。不登校・引きこもり当事者の親の会に出会い、経験や胸の内を共有できたことも前を向く力になった。

 男性は長男の不登校から「見つけた答え」として「親はつらいのではなく、世間体を気にして困っているだけ」「原因を追及したところで、前に進まない」「学校に行けない子どもを責めない」などと指摘。「子どもを変えようとする前に、親自身が変わる努力をしてほしい」と訴えた。

 長男はその後、通信制高校や大学、専門学校を経て就職。男性は「内定が出たと聞いた時、握手をして喜んだ。よくここまで成長したなと思った」としみじみ語った。

 OCFSは子どもや親の支援に携わる福祉職や学校関係者が、多様な視点や取り組みを学び合おうと2017年5月に発足した。2カ月に1回のペースで開く勉強会は今回で12回目。宮古支部や八重山支部も立ち上がり、活動の輪を広げている。中心メンバーで中央児相児童福祉司の森田修平さん(33)は「組織を超え顔の見える関係をつくりながら、非行や虐待の未然防止につなげたい」と意欲を見せた。