バックはこの時だけの臨時編成バンドで、ドラムスを叩いているのは福岡風太(野外コンサート『春一番』プロデューサー)、ベースは村上律、ギターが中川イサトです。
食べ物もなければトイレも足りない悲惨な状況
牧村:『フォークジャンボリー』の会場っていうのは屋根もなくて、地面は赤土なんですね。一回でも雨が降ればベトベトになって乾かないっていう劣悪な場所で、48時間も滞在するということは、人を変えてしまいますよね。
上條:実は、このイベントは「SL急行が止まるし、暑かったら湖で泳げます」という詠い文句だったんです。映画にもそのシーンが映っているんですが、第2回までは椛の湖で泳げたんです。でも第3回は、開催2、3日前に台風が来て水かさが増してしまって、当日、急に遊泳禁止になってしまったんです。そこから、お客さんが「言っていることが違うじゃん」という感じになったんですね。僕が会場に入った時、湖にボートが浮かんでいたんです。何だろうと思ったら、制止を聞かずに服を着たまま飛び込んでしまった人がいて…高校生だったんですが、その方が亡くなって…警察も「絶対に遊泳はダメだ」という形になったんです。
牧村:椛の湖って人口湖なんですよ、いわば貯水池。だから雨が降って水かさが増したら濁ってしまうし、赤土で汚くなってしまうんです。しかも、第3回はそれまでの倍以上の人が来てしまったので、食べ物もなければトイレも足りないという悲惨な状況だったんですね。とにかく着いた瞬間から途方にくれるような場所なんです。ムッシュかまやつさんがご自身の本の中で、「2日目のサブステージで、吉田拓郎のマネージャーが岡林信康を超えるために酒樽を持ってきて客にふるまって、酔わせて盛り上げた」というようなことを、冗談を交えて書かれているんですが、酒樽なんてとてもじゃないけど運べるような環境じゃないんですよ。…1日目の夜に話を戻しますが、三上寛さんのあとは小林啓子さん、その後は太鼓が入るんですよね。
...続きを読む