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2019-03-16

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ことわざのなかには、
 知識として知っているだけのものと、
 ふだんからよく耳にするものとがあります。

 たぶん、「焼け石に水」は頻繁に聞いていることばです。
 実際、焼いた石に水をかけたところを見た人は、
 あんまりいないような気もするけれど、
 このことばが飛び出してくる場面では、
 そこにいるたいていの人が「そうだなぁ」と、
 妙に納得してしまうことが多そうです。

 解決したい問題がそこにあるとき、
 たいていの場合は、すでに「焼け石に水」です。
 事実、目の前に差し出されているのは、
 ほぼ絶対と言っていいほど「焼け石」状態になってます。
 そして、おそらく簡単に対応できるほどの対策もない。
 「こうすればいいじゃないの」なんて、
 笑って解決できるようなことだったら、
 そもそも問題になってないからねー。
 つまり、このことばが聞こえてきたら、
 もう…ある意味で絶望的な状況っていうこと? 
 と思ってもおかしくないわけです。

 しかし、そういう状況があっても、
 なんとかしてきた人がいたという「見本」をも、
 ぼくらはたくさん知っているわけですよ。
 たいてい、そういうモデルになっている人たちは、
 石にかける水を増やすことではなく、
 焼け石がなぜできたかという原因を探っていく。
 そして、絶望せずになんとかしていくわけです。
 …あ、このことわざ、役に立ってるんだ! 
 「焼け石に水」なんてだめじゃん、という意味だからね。
 もっと他の方法を考えられないのかよ、ということを、
 「焼け石に水」ということばは語っているのですから。

 それでも、焼け石に水かけるほうがわかりやすいので、
 あんがい多くのみんなが、「もっとちゃんとかけろ!」と
 怒鳴っていたりもするものですよね。
 「水を飲んで、焼け石を見よ」と、
 ちょっと変えてみたら、もう一歩前に進みそうかな。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
いつのまにかほんとに、ことわざシリーズになっているよ。


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