【 現場から、】「消えた留学生」東京福祉大 留学生700人が所在不明
留学生の在籍数が国内トップクラスの東京福祉大学で、1年間におよそ700人もの留学生が所在不明となっていることがわかりました。
東京・池袋や愛知、群馬などに、複数のキャンパスを持つ東京福祉大学。
東京・北区にある王子キャンバスを訪ねると・・・
「ここですね。2階が研究生の教室だということですが、1階を見てみると男湯、女湯と書いてあります。銭湯です」(記者)
銭湯があるビルに、留学生たちが次々と入っていきます。2階が、東京福祉大学の教室だというのです。東京福祉大学の留学生は、全体でおよそ5000人。国内で早稲田大学に次ぐ多さとなっています。東京福祉大学では3年前から留学生が急増。王子キャンパスは、雑居ビルの一室など15か所が教室などになっていました。
この東京福祉大学をめぐって、驚くべき事実がわかりました。JNNが入手した内部資料を調べたところ、去年4月、「研究生」という資格で入学したベトナム、ネパールなどからのおよそ2700人の留学生のうち、700人近くが所在不明となり、大学から除籍されていたのです。
「(Q.クラスの中でいなくなる人は?)そうですね、いっぱいいます。大体、半分くらいいます。入ったときは(研究生が)42人くらいいましたけど、今減ってきて25人くらいで卒業します」(東京福祉大の研究生)
「(Q.研究生って途中でいなくなる人いる?)半分くらいですね。100人としたら30人、40人くらい」(東京福祉大の研究生)
1つの大学で、これほどの数の留学生が所在不明となるのは極めて異例の事態です。いったい何が起きているのか?
所在不明となっている人たちが取材に応じました。モンゴル人の男性は、「期待していたような授業内容ではなかった。今は別のところで働いている」と話しました。
「勉強やりたいなと思って入ったけど、全然しないから。(大学を)辞めたのは11月くらいかな。 (Q.今何の仕事をしている?)引っ越し(業者)」(所在不明とされるモンゴル人の男性)
別のネパール人男性は・・・
「簡単に入れる学校だって(言われて)。(Q.途中で辞めたのはなぜ?)就職するとか思って、いろいろなことやったんで。(Q.辞めた後、ビザの更新は大変だったか?)そうですね、仕事とかやっていないから」(所在不明とされるネパール人の男性)
東京福祉大学の研究生は学位の取得を認められない非正規の留学生ですが、募集要項などによりますと、1年間のコースで学費は60万円あまり。授業は1週間で10時間程度で。アルバイトがしやすいと宣伝されています。
関係者によりますと、法務省入国管理局は東京福祉大学の研究生数十人が、就学ビザが切れるなどして不法残留になっていることも確認しているということです。
政府が掲げてきた留学生30万人計画が目標達成に近づく中、留学生の失踪は全国でも相次いでいて、不法就労の温床にもつながると国会でも問題となっています。
「全570教育機関で、平成29年中に不法在留者が新たに1852人いる。文科大臣、どういうことですか」(立憲民主党 石橋通宏参院議員)
「在学管理が的確に行われていないなど、要は、不法就労の抜け道に使われている実態を示すもの。極めて不適切、問題であると考える」(柴山昌彦文科相)
「(所在不明の留学生で)不法残留者が多いことについては、非常に問題だと思っている」(山下貴司法相)
東京福祉大学はJNNの取材に対し、「国家の方針に沿って留学生の確保に積極的に取り組んでいて、受け入れ支援体制の整備を進めている」としつつ、現段階では2018年度の所在不明は500人以上までしか把握していないとしています。
文科省と法務省入国管理局は、今回の問題を重くみて、近く、東京福祉大学に本格的な調査を行う方針です。