コンビニ店主でつくる団体を労働組合と認めコンビニ本部は団体交渉をする責務があるか-。中央労働委員会は、これを認めない判断を示した。だが、働く実態をみれば店主は労働者ではないのか。
コンビニ店主は働く条件や店の運営について独自に判断したいのに、コンビニ本部がそれを認めてくれない。
だから、セブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートのフランチャイズ加盟店主たちは、それぞれ団体をつくり団体交渉を求めていた。
店主が労働組合法上の労働者なら団体も労働組合になる。それなら本部は団体交渉に応じる責務がある。中央労働委は十五日、店主は独立した事業者で団体には団体交渉権はないと判断した。
確かに、店主は契約上、本部とフランチャイズ契約を結ぶ事業者ではある。しかし、働く実態は違うのではないか。
営業時間や仕入れる商品を自由に決められない。経営上の裁量は極めて限定されている。なんといっても店主は従業員と一緒に働いている。大きな組織の本部に比べ店主の立場が弱いのは明らかではないか。
今やコンビニは物販を担うだけでなく、公共料金の支払いやATMの管理、食事スペースを設けるなど飲食店の役割も担う。業務の幅は広がり仕事量も増えている。一方で、人手不足から店主は長時間労働を強いられるなど経営環境は厳しさを増している。
店主個別の交渉では打開できない。団体交渉によって少しでも健康を守り経営環境を良くしたいと考える姿勢は当然だろう。
この問題では、二〇一四年に岡山県労委が、一五年には都労委が「加盟店主は労働組合法上の労働者」だと判断、団交拒否を不当労働行為と認定している。それを覆す中央労働委の判断は現状を丁寧に見ていないのではないか。
企業などに雇われず個人事業主として働く人は今後、さまざまな業種で増える。だが、労働者を保護する労働法は適用されにくい。
中央労働委は団交とは別に双方が向き合う協議の場設置を和解案で示したが、本部側は拒否したという。二十四時間営業への批判から短縮営業の検討も始めた。さらに歩み寄る勇気を持ちたい。
コンビニは街にはなくてはならない社会インフラになった。本部も店主も共存できる経営のやり方はあるはずだ。
この記事を印刷する