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【経済】

「エネ計画に印象操作」市民団体分析 原発「国産強調」 事故「矮小化」

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 国のエネルギー基本計画について、脱原発を目指す市民グループ「eシフト」は十四日、その内容を詳細に分析した結果を公表した。ウランは100%輸入なのに計画には「日本の原発は準国産のエネルギー源」と「準」とすることで国産を強調しているとし、グループはこのような問題を含む記述が百四カ所あると指摘。「原発推進への印象操作だ」と批判している。

 作成の中心を担った東北大の明日香壽川(あすかじゅせん)教授(環境エネルギー政策)は本紙の取材に「都合の良いデータだけを採用したり、事象の一面しか取り上げないなど、印象操作を狙ったように見える」と指摘した。検証サイトは、基本計画の本文を示しながら、問題のある箇所を一目でわかるように色づけし、問題点を解説するコメントを逐一、添えた。

 例えば、基本計画の前提となる近年のエネルギー動向をどう見るかについて、二〇一八年に閣議決定したこの第五次計画は、第四次計画を決めた一四年から「本質的な変化はない」と記述。これに対し、検証サイトは再生エネのコストが低下する一方で、原発のコストが増加したことを挙げ、「極めて大きな変化があった」と、前提の置き方を問題視した。

 福島第一原発事故による避難者の数に関して、基本計画が区域外避難者を含めていない点を「被害の矮小(わいしょう)化だ」と批判した。

 明日香氏は「エネルギー政策は複雑と思われがち。問題点を分かりやすく示すことで、改めて議論のきっかけになれば」と語った。検証サイトは、eシフトの公式サイトで読むことができる。 (伊藤弘喜)

 

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