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【ドラニュース】

【龍の背に乗って】つかむべきは抜いたまま抑えるコツ

2019年3月15日 紙面から

2回表2死二塁、呉に先制の中前適時打を浴びる柳(伊藤遼撮影)

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 誰もつまずかない場所で、なぜか自分だけ転ぶ。柳にとって、それは8番だ。失礼ながら安全パイ。ところが柳は何度も痛い目にあってきた。

 「いい回と悪い回があった。点を取られた回は、悪いところが出ました。下位に打たれて失点している。取るべき打者を取れませんでした」

 柳が言う「悪い回」は2、5回。「取るべき打者」とは8番(呉念庭)を指す。2回は2死二塁からチェンジアップで追い込み、カーブを見せてからの142キロを中前に打ち返された。5回は無死一塁から初球を右翼線に引っ張られ、ピンチが一気に広がった。

 昨季の8番の被打率4割2分1厘(19打数8安打)。9番(3割5分3厘、代打含まず)とともに、衝撃的といっていい数字だ。打順別では当然ワースト。僕がこの事実を彼に伝えたのは、2月の沖縄だった。

 「手を抜いているわけではないんですが、安易にいきすぎているのかもしれません」。2月17日のヤクルト戦(浦添)で、先頭の8番に打たれたことから3点を失った。3月6日のDeNA戦(小牧)でも戸柱に2ランを被弾。そしてこの日も…。今春の実戦では8番に計8打数4安打と、現時点では改善傾向は見えていない。

 誰しも欠点や課題はある。柳の場合、それがたまたま珍しいというだけ。考えようによっては克服への道も簡単に見つけられるはずだ。ただし「全力投球」が答えではない。先発投手が1球目から100%で投げ続けて、活躍することはないからだ。勝つ投手は抜くところと攻めるところのメリハリを必ずつけている。つまり、柳がつかむべきは抜いたまま抑えるコツである。

 他の投手以上にホッとしすぎているのか、空回りしているのか…。「何ともいえないピッチングでした」。これが本番なら、もったいない黒星の典型だ。「8番に弱い男」のレッテルを、今季は剥がさねばならない。

(渋谷真)

 

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