フォーサイト、魔導国の冒険者になる   作:塒魔法
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ズーラーノーン・十二高弟のターン
あと、ジルクニフくんのターン


十二分の五/ジル、束の間の休息

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 ・

 

 

 

 光のない漆黒の濃霧をたたえた空間──彼らが言うところの邪神殿に、十一枚の鏡が浮かんでいる。邪神殿にいる男が魔法の言葉で起動させた鏡のうち、数枚……四枚が、世界のどこかにいる同胞を映し出した。

 

「……今日はこれだけか?」

 

 そう告げたのは、十一枚の鏡の間に佇む、黒いフード姿の男。

 目元まですっぽりと隠れた黒衣の下に、薄い微笑を浮かべる組織の幹部に、鏡の中の存在が声を飛ばしてくる。

 

『今日も、の間違いだろ? 我等が“副”盟主サンよぉ?』

『確かに。この〈遠見〉と〈伝言〉の鏡が全部起動した時って、私の知る限り一度もないし?』

「だとしても、栄えあるズーラーノーン十二高弟のうち、私を含め五人しか会合に集わんとは」

『しかも。一人は発話してもほとんど聞き取れない小声の、デクノボーだし?』

『仕方ねぇよ。体組織が崩れた状態でアンデッド化すると、声が出せなくなるのもやむなしだ。骸骨の状態にでもなれば、声帯機能なんて望むべくもない。エルダーリッチだったら、魔法で声は出せるはずだけどな』

『……………………』

『副盟主殿。財務担当、ドケチのジュードは、また金勘定を?』

「ああ。他の連中も、教団や末端の運営、貴族のお偉方との接待で忙しくしている」

『──それ、俺らが暇しているみたいな言い方だな。おい』

『あら? 実際ひまじゃん? アンタなんか、わたしのトコの娼館で、元気に腰を振ってるくらいだし?』

『うるっせぇロリババア! はったおすゾ!』

『それで。今回の会合の肝は? 私も研究で忙しい身の上、手短にお願いしたい』

『……………………』

 

 魔法の鏡に映る四人──筋骨隆々な茶髪の若造・下着姿の愛らしい童女・ミイラのような者・南方特有のスーツに身を包む褐色肌と白髪の少年に対し、副盟主として神殿を預かる男は頷きを返す。

 

「最初に確認しておくが。クレマンティーヌとカジットが消息を絶って一年になる……あの二人について知っている者は、本当にいないんだな?」

 

 彼が見渡す鏡の中で、二枚の鏡は一年以上も埃をかぶったままだ。

 

『──逃げたか、──死んだかってことなんじゃないの?』

「逃げるか……クレマンティーヌはその気だったようだが。しかしカジットは、あの生粋の不死化研究者が、そのような行動をとるとは思えん。組織に残留して、独自の手法でアンデッドになる研究を続けただろう」

 

 カジットの目的を副盟主は知っていた。

 亡き母を蘇らせるために必要な、永劫の時間を得るため……それ故にアンデッドとなる研究を続けていたのが、カジット・デイル・バダンテールだ。自分の意思と意識、自我を保ったままアンデッドになれるものは多くない。十二高弟は死ねばアンデッドと成り果てるが、それでは彼の至上目的は果たされない為、カジットは自分なりのアンデッド化を計画していたのだ。

 その野望が果たされたのか否か。確かめようにも、奴の従えていた弟子連中まで、音信不通ときている。

 

『アレだろ? 盟主サマがやったとかいう、死の螺旋を試したんじゃねぇか?』

『確かに。彼は儀式のことを事細かく聴取していた。私のゴーレム工房……研究所にまで足を運んで』

『畑違いのジイサンにまで聴きに行くって、念入りだなオイ』

『弟子を集めるだけ集めて、儀式の生贄にしたとか?』

「それはありえん。死の螺旋の儀は、奴の掌握する弟子の数では賄いきれんからな」

『まぁね。あいつに下賜された死の宝珠……元幹部を加工したマジックアイテムのバックアップがあっても無理よね。成功したんなら、それなりの噂になるはずでしょ? 都市ひとつが大量のアンデッドに侵されたって噂は、聞かないし』

『──私のゴーレムが集めた情報だと、エ・ランテルという都でアンデッドが大量に発生したことがあるとか。二人が消息を絶った時期や地域とも、一応符合しますが』

『あの冒険者“一組(ワンチーム)”で鎮圧された事件か? ありえねぇだろ、そんな雑魚案件に俺らズーラーノーンが関わるなんてよ?』

『その話なら私も聞いたけど、冒険者組合が発表した内容は胡散臭かったからね。事件を誇張している可能性もなくはないし? 証拠だっていう犯人の所持品も、ウチの弟子クラスの装備ばっか。肝心の事件の首謀者二人の死体や装備を出さないなんて、語るに落ちる話だわよね?』

『……………………』

「うむ。一年前に現れた漆黒の英雄モモンとやらの情報、この功績が事実ならば可能だろうが。しかし」

『ええ。あまりにも信じがたい。腐敗した王国で、それだけの逸材が突然発生するなど、ありえない。モモンとやらの出身とされる南方──私の管轄域で、それほどの英雄がいた噂など、これっぽっちもありませんでしたし』

『じゃあ、やっぱり王国の(かた)りってこと?』

『信憑性がある話をするなら、骨の竜(スケリトル・ドラゴン)の残骸が二体分というのは、確かに我々の、カジット殿の技量を窺わせますね。ですが、肝心の証拠・死体がなくては話にならない。王国は法国の裏工作で切り崩しがされていたはずですから、その方面の関与こそが疑わしいかと。冒険者組合が証拠もなしに、我々の脅威・悪逆非道を喧伝する目的で事件の犯人に仕立てあげるのは、今に始まった事でもなし』

『だな。目障りの極みでしかねぇが、裏方の宿命って奴かね?

 というか、そんなド田舎の細かいことまで、俺らの知ったことかよ。そもそもジイサンのいる南方や、俺らのいる都市国家連合だと、ド辺境の王国の一都市のことまで、手が回るわけねぇだろ? それこそ、あのあたりの管轄はカジットとクレマンティーヌ、あと、そこにいる“帝国のデクノボー”の担当なんだからな?』

 

 一枚の鏡に視線が集中する。デクノボーと呼ばれたミイラ状の男は身体を揺すった。どうやら否定──「我関せず」の意を露わにしているらしい。

 副盟主は再度にわたり疑義を呈する。

 

「……二人が共謀し、逃げた可能性は?」

『ないだろ』

『ないわね』

『逃げるメリットがない上、あの二人は手を組むには最悪の相性。──何か、特別な事情でもなければ、あのお茶らけ娘と堅物魔法使いが手を組むのは、難しい』

 

 であれば。

 

「二人が、双方共に死亡している可能性は?」

『あるな』

『あるわね』

『現状では、それが一番妥当でしょう』

「ならば、やはり二人共アンデッド化しているはず──だが」

 

 ズーラーノーンの幹部・十二高弟に施される特殊な術式。

 十二高弟は死亡した後、盟主に忠実かつ忠節を尽くすアンデッドになるよう、特別な魔法を授けられる。表に全く出てこない盟主と直接関りを持てる、最初で最後の機会──その魔法によって、生前から強力な力を持つ幹部たちは、死んだ後でさらに強力なアンデッドモンスターへと転生し、組織に帰還・帰順する尖兵となる。ちょうど、鏡に映っているデクノボー……ミイラ男と同じように。

 だが、この術式はあまりにも特異かつ異質なモノ。

 対象の魂の強度に関わる施工。対象の死亡と同時に発動発現するという時間差。おまけに、アンデッドとなったものは、盟主を自分の支配者として敬い奉り、それ以外の想念が磨滅するという、煩雑と複雑を極め尽くした、法外な性能を誇る魔法である。他の誰にも再現は不可能な所業であった。

 アンデッド化を果たしたかどうか──そいつらが今どこで何をしているのかなどの情報は、幹部たちには一切伝達が来ない。そもそも、そんな行動追跡が可能かどうかも判然としない。そんなことが可能だとするならば、

 

『盟主サマだけだろ? そんなことができるのは』

『確かに』

『あの方が施した術式は、あの方だけの御業──しかし』

 

 その盟主は、依然として沈黙を保っている。

 というよりも、無視し続けているというべきか。

 この空間この神殿……大量の弟子と信奉者どもを従える組織……通信用マジックアイテムである鏡の供給元……秘密結社ズーラーノーンの枢軸とも言うべき主人が、不在。

 それでも、これがズーラーノーンにおいては普通だった。というか、この邪神殿──ズーラーノーンの総本部とされる教会にも、姿を現したことは一度もない。

 盟主と呼ばれる者と直接拝謁する経験を持つ十二高弟たちであるが、盟主と呼ばれるボスの居所について知る者はいなかった。この総本部を担う副盟主にさえも、詳細は明らかにされていない。

 ズーラーノーンは結社ではあるが、ある意味においては、ただの寄り合い所帯のようなものだ。

 カジットのように不死者(アンデッド)の研究に心血を注ぐ幹部もいれば、クレマンティーヌのように純粋な力だけを見込まれて入団する者など、様々。誰にも共通していることは、周辺諸国にとっての害悪──札付きの罪人──諸事情を抱えた強者の集団であること。

 それ故に、個々人の事情心情に割り込むような者は存在しない。組織でありながらも、彼らには横のつながりがほとんどないのだ。請われれば助力もするが、基本的には個人主義──要するに自分一人で「好き勝手」に生きるために、ズーラーノーンの幹部の座に座っている者が大半だ。組織にいればいろいろと便が利くし、欲が満たせる。その見返りとして、弟子の育成や能力の行使、組織の運営などを請け負う程度。他の幹部や組織全体の動向に束縛されるのを忌み嫌うのが、強力な力を持った彼ら十二高弟の共通認識であり、暗黙のなかの掟──了解であったのだ。今回のような鏡を使っての会合を開いても、集まりが悪いのはそういう論理が働いている。

 なので、カジットの個人的な計画・死の螺旋の儀式未遂や、クレマンティーヌが法国から逃れようと奔走していた事態などは、同格である彼ら十二高弟にも伝達がいくはずがなかったのである。そもそもにおいて、伝達手段が限られているという事情もあった。情報共有において〈伝言(メッセージ)〉の魔法の信用性は低く、もっぱら騎獣や早馬を走らせての文書交換などが一般には多用される。当然、大陸各地に散る秘密結社の幹部同士が、頻繁に文通するわけがない。

 ちなみに、今彼らが使用している魔法の鏡による〈伝言(メッセージ)〉については例外だ。強大な力を誇る盟主からの賜り物は、そんじょそこらの粗悪品や魔法とはわけが違う。ここにある十一枚以上のマジックアイテムは、どんな存在にも再現不能とされている超一級品であり、それを供与する盟主の力量が、神話の領域に位置するものと容易に納得させる。

 

「では。クレマンティーヌとカジット、二人の件は保留としよう。本題はここからだ」

 

 本題と言われて、四人は眉を顰めた。

 

『本題、ですか』

『…………………………』

『おうおう。例の計画か?』

『沈黙都市や、亡国の再現っていう?』

 

 副盟主は「それもあるが」と頷きつつ、黒いフードの下の表情を緩めた。

 

「今、話にあったエ・ランテル。

 そこに建立されたアンデッドの国……アインズ・ウール・ゴウン魔導国についてだ」

 

 

 

 ・

 

 

 

 アインズ・ウール・ゴウン魔導国。

 その属国、バハルス帝国領内。

 アーウィンタールの帝城。

 

「アルベド様からの、次の指示……か」

 

 ジルクニフは書類仕事や政務公務を終え、巨大なベッドの上でのんびりとくつろいでいた。

 くつろぎながら、一枚の紙に目を通す。何度も。何度も。

 魔導国──魔導王陛下の次なる計略、深慮遠謀を極めた叡智の化け物が催す策術に思索を巡らせてみる。

 しかし、

 

「わからん」

 

 さっぱりわからん。

 帝国一と謳われた鮮血帝といえど、わからないことは多い。

 特に、あのアインズ・ウール・ゴウン関連については、自分のような男はまったくの無力であった。ちっぽけすぎて笑えてくる。

 

「ズーラーノーン……アンデッドを信奉する秘密結社…………」

 

 その『殲滅計画』が、極秘裏に進行し始めた。

 魔導国宰相のアルベドから、この計画を聞かされ、書類を手渡されたジルクニフが真っ先に考えたのは、ひとつだけ。

 

「連中は、アインズ・ウール・ゴウンと、あの魔導王陛下とは無関係だった?」

 

 いやいやいや。

 そんなことがあるものだろうか。

 アインズ・ウール・ゴウンは、アンデッドの王……アンデッドの神だ。

 ならば奴こそが邪神……ズーラーノーンという秘密結社の首魁だったという風に考えるのが、むしろ自然ではないか。

 表に出てきて魔導国を建国したから、いらなくなった。だから捨てる──というのは、あまりにも安直すぎる。では、本当に無関係……いや、そんなバカな話があるだろうか? アンデッドを使う違法集団が、あの正真正銘の人外──魔導王の存在をこれまでまったく関知せずというのは、どう考えても理屈に合わない。

 

「ズーラーノーン──下部組織の邪神教団といえば、ウィンブルグ公爵らが、熱心な信徒だったか」

 

 にわかに諸国で活気づき、流行り病のごとく蔓延の兆しを見せている邪神教。

 公爵をはじめとした帝国貴族の一部連中は、典型的な悪徳宗教にハマって抜けるに抜け出せなくなったバカの極みであるが、“公爵”だけあって帝国内部での地位や財力、影響力は高い方であった。なので、粛清するにもいろいろと都合がつかずに、飼いならす方向に舵を切ったのも懐かしい。

 公爵の上の爵位は、大公のみ。そして、ジルクニフの統治下で、大公などの高い地位に就けるものはいなかった──そういう(くらい)に位置できるのは皇帝の兄弟などの親族くらいなのだが、ジルクニフは父亡き後、即位の際にそういった政敵を始末して成りあがった故に、大公など存在しようがなかったのである。

 

「おまえ、どう思う?」

「そうですね……ズーラーノーンを潰し、諸国に巣食う問題を根絶するという意図はわかりますが……何も魔導国が主導でやる必要性は低いはず。それに、アンデッドの王が、アンデッドの結社を攻撃するというのも、不可思議なこと」

 

 ジルクニフが率直な意見を求めるべく見上げた先にいるのは、凡庸な顔の女。

 華美や典雅とは無縁そうな、田舎の三流貴族の娘のような顔立ちだが、これでもジルクニフが本気で信頼を寄せられる数少ない人間の一人。名は、ロクシー。

 一応は愛妾の地位にいる者として、夫を膝枕するくらいのことは平然とやってくれるが、彼女は何故かそれ以上の行為には及ぼうとしない。本人(いわ)く「自分のような凡庸な顔を、ジルの(たね)に継がせるわけにはいかない」という、かなり奇天烈な理由からだ。だというのに、ロクシーはジルクニフが子を作るのを待望している。未来の皇帝を育てるというのが主な理由だったが……属国化した帝国で、次代を担う皇帝の子というのは、ジルクニフにしてもいろいろとアレである。未来の我が子が不憫な気もしなくはないが、魔導国の繁栄と安寧を見れば、そこまで悲観することもない──かもしれない。

 そんな皇帝──傀儡(かいらい)の皇帝の金髪を、愛しい我が子のごとく撫で梳きながら、ロクシーは聡明な面差しで述懐していく。

 

「アインズ・ウール・ゴウン魔導王陛下は、属国化の後、少しばかり挨拶などを交わしたこともありますが…………わかりませんね、これは」

 

 はっきり言えば「平凡」な人物だとロクシーは見ていた。

 無論、そんなわけがない。

 ロクシーがそのように錯誤するように、魔導王が演じているだけである。

 王国軍を大量虐殺し、闘技場で武王を打倒し、アンデッドの国を顕現させた恐るべき魔王が、そこいらにいる平民程度なわけがないのだ。本当に、あの魔王は叡智や陰謀・魔法や武力のみならず、演技力まで超一流らしい。本当に忌まわしい。忌々しすぎて本気で呪わしい。

 だが、鮮血帝の統治する帝国は魔導国の属国として傘下にくだり、さらには無二の親友リユロ──亜人の友を得ることができたことで、ジルクニフの胃痛はすっかり快復してくれた。黒い宝石と呼ばれるキノコには滋養回復の効能もあったのかもしれないが、同じ境遇の同胞を得られた事実こそが功を奏したのだろう。本当に気分がいい、素晴らしい毎日だ。あの頃は予想だにしていなかった。こうしてまた、愛妾との逢瀬を愉しむ余裕まで得られるとは。

 

「ロクシー……いい加減、正式に婚姻しないか? 魔導王陛下の統治下でも、十分幸福な生活が送れるのは確定したも同然。俺は皇帝としての地位を、陛下や宰相殿から保証されているし」

「それは嬉しいお誘いですね。でも、ジルには私よりも素晴らしい妃と婚姻して、より完璧な子を産んでもらわないと」

「おまえ以上に俺の理想にかなう女がいるとは思えんが…………まさか魔導国の誰かと作れとは言うまいな?」

「ああ、安心してください。そこまでの無謀を働かせるほど、私は考えなしじゃありませんので」

 

 どうだか。

 自分の顔が凡庸だからという理由で婚姻を拒否している(ロクシー)だ。

 超絶の美女ぞろいのナザリック地下大墳墓──たとえば、アインズのメイドたちの誰かと結ばれれば、完璧な造形をした皇帝の子が生まれると考えても不思議ではないのだが。無論、ジルクニフにしても、あんな魔窟の住人を伴侶にするなど、恐怖以外の何物でもないので断固辞退したい。幸いなことに、関係強化という名目で、アインズ・ウール・ゴウン側からそういう話も舞い込んでこないので、たぶん大丈夫だろう。

 ロクシーは珍しく悪戯っぽい微笑を浮かべて告げた。

 

「というか。私以上に、あなたを想っている女性なら、もう傍にいるはずでしょう?」

「……はぁ?」

 

 ロクシーの主張する内容が理解できず、本気で眉を(ひそ)めた時。

 

「陛下!」

 

 急の報せを(たずさ)えてきた帝国四騎士──バジウッド、ニンブル、レイナースの三人が、皇帝の部屋に駆け込んできた。

 皇帝は身を起こすことなく、愛妾の膝の上で頭だけをあげる。

 

「……何事だ? 悪い予感しかしないが?」

「ええ、お察しの通りで。先ほど、魔導国の方から〈伝言(メッセージ)〉が届きましたぜ」

「内容は?」

 

 雷光、激風、重爆が声を連ねる。

 

「例の邪神教団の野郎共が、想定通り、暴動を起こしやがりました」

「場所は、リ・エスティーゼ王国領内とのことですが」

「これって、つまり……」

 

 きた。

 何もかも……連中の掌の上だ。

 また新たな被害者が生まれることになるのだろう。

 ジルクニフは淡々と頷きつつ、手元にあるアルベドの計画書の通りに事が運ぶ事実を、無感動に受け入れていた。

 

 

 

 

 

 

 




リユロ「がんばれ、友よ。……がんばれ」


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