【大相撲】重圧感じない貴景勝、上々のスタート2019年3月11日 紙面から ◇北の冨士評論「はやわざ御免」あいにくの雨だったが、初日早々、場内は超満員で熱気に包まれた。ご当所大関豪栄道の人気も捨てがたいが、大関を狙う貴景勝に人気が集まる。これが時の勢いというものだろう。貴景勝の初日の相手は巧者妙義龍。決して楽な相手ではないが、対戦成績は貴景勝の5連勝。初日の相手としては恵まれていた。 だが、物事には絶対はない。それだけに貴景勝の立ち合いに注目していたが、迷うことなく頭で激しく当たり、突き放して出る。左からの突き一発で妙義龍はのけぞる。これで勝負は決まったも同然で、一気に押し出して貴景勝が上々のスタートを切った。 まるでプレッシャーを感じていない様子である。自分の相撲を取りきるのみ。若いのにすごい精神力である。それに肝っ玉が据わっている。実にたのもしい限りである。 もう一人の大関候補、玉鷲も重い錦木を押し切って、絶好の滑り出しをみせた。腰の重さでは定評のある錦木に、少し手間取ったが、黙々と前に出て快勝。勝負の後、「多少、緊張した」と述べていたが、それが当然というもの。迷いのない、実直な取り口は、大いにほめてよさそうだ。同時昇進も決して夢ではないと思わせる両力士の初日だった。 3大関安泰の後、鶴竜が御嶽海の猛攻に、悪い癖の引きをみせ、墓穴を掘った。好調と見られていただけに、手負いの御嶽海に敗れたのはいただけない。初日早々の黒星は、先行きが危ぶまれるところである。2日目は絶対に負けてはいけない。もし負けると周囲が騒がしくなるだろう。 その点、白鵬はさすがであった。先場所、薄氷を踏むような相撲をとっていただけに、少しは苦労するかなと見ていたが、禁断の張り差しをみせることなく、堂々と受け、はたき落として楽勝。全く危なげがなかった。先場所の例があるだけに、軽々と優勝うんぬんは10日目あたりまでは、言うべきではないが、初日の相撲を見てしまうと、つい白鵬優勝と言ってしまいそうになる。私は先場所、それで大失敗しているので、今場所は慎重に見なければいけないと思っている。初日から横綱に土がつく波乱もあったが、上位陣は順調であった。平成最後の場所だけに、大いに盛り上がってほしいものだ。 相撲がはねて、ホテルに帰る。外は冷たい雨。今夜は出羽海部屋のOB会だ。なつかしい顔を見たいものだが、この原稿を書かなければいけないので、迷っている。今、7時30分。急げば間に合いそうかな。舞の海君はすでにうまい酒を飲んでいるだろう。やっぱり俺は止めておいたほうがよさそうだ。明日からは夜の街に繰り出すとしよう。 (元横綱)
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