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【大相撲】

天敵に5連敗… 貴景勝、大関とりへ痛い1敗

2019年3月13日 紙面から

貴景勝(右)を寄り切りで破る御嶽海

写真

◇春場所<3日目>

(12日・エディオン アリーナ大阪)

 大関とりに挑む関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=は小結御嶽海(26)=出羽海=に寄り切られ、初黒星を喫した。御嶽海は2勝目。横綱白鵬(34)=宮城野=は危なげなく魁聖を寄り倒して3連勝。初場所で優勝した玉鷲は2連敗で黒星が先行した。

      ◇

 天敵の壁は、やはりぶ厚かった。貴景勝は、直接対決で対戦前まで4連敗中だった御嶽海を立ち合いこそ押し込んだが、追撃が不発。最後は相手の万全のもろ差しから寄り切られ、館内のため息の中で初黒星をかみしめるしかなかった。

 「体の感覚に任せて(相撲を)取るタイプなんで…。押すだけ。それが通用しなかった」

 攻め手を読み切られ、見透かされたような一番だった。初日、2日目と同様に鋭く踏み込んだが、ひるまず頭からぶつかってきた相手に今場所初めて出足を止められた。奥の手の突き落としも不発で、ずるずる後退。土俵際の首投げも通じずに力尽きた。

 荒い息で引き揚げた支度部屋では、テレビに映し出された敗戦のスローVTRを食い入るように見つめた。普段は理路整然と取組を振り返るが、この日ばかりは「そんな、まあ…」と10秒近く押し黙って目をつぶり、「思うところは2つ、3つありますけど」と悔しさをにじませた。

 とはいえ、下を向いている暇はない。2桁勝利がノルマの大関とり。横綱、大関陣への挑戦もこれから。道のりが平たんでないことは、誰よりも分かっている。「そんなに自分が強いとか思っていない。3連勝とか甘いことを考えてないし、そんな楽なわけじゃない」と自らへ言い聞かせるようにつぶやいた。

 13勝で初優勝を果たした昨年の九州場所、11勝を挙げた初場所とも初黒星は御嶽海戦だった。考えようでは“験の良さ”もある。

 帰路に就く際には「よしっ」と声を上げた。切り替えて、迷いなく押し相撲を貫くしかない。 (志村拓)

 

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