昨年3月、レイプクライシス・ネットワークの代表と理事を青森県から招いて「沖縄で考えるこのまちは性的侵害にどう向き合うか」という講演会を企画しました。同ネットワークは被害者の属性(性別やセクシュアリティ)を問わない支援の実践と支援者に対する研修を続けてきた団体です。岡田代表は、社会には「性暴力の被害者は女性」という思い込みがあり、支援につながれない被害者がいることを問題提起してくださいました。具体的には、男性や性的マイノリティの被害者です。支援につながりにくいだけでなく、相談につながっても、支援者の偏見や知識不足で支援の場で再度傷つけられる被害者もいるそうです。
一方で、性暴力やDVの相談窓口のパンフレットやホームページを見てみると、男性の被害者や同性間の暴力にも対応してくれるのか判断できないことも多いです。これでは相談をちゅうちょする被害者もいるのではないでしょうか。
2017年に性犯罪に関する刑法が改正となり、レイプの被害対象者が性別を問わないことになりました。今年1月、沖縄県が設置している性暴力被害者のためのワンストップ支援センターのホームページを見ると「あなたが同意しない性的な行為は性暴力です」という文言の後に、昨年まではない一文が加わっていました。「年齢、相手とあなたの関係、性別、セクシュアリティなどは関係ありません」というものです。社会の変化を感じます。
今ある仕組みや制度を誰もが使えるものへ変えていく。それは派手な改革ではないかもしれません。しかし、本当に必要なことだと思います。被害者支援に関して言えばそれは急務でしょう。「あなたは悪くない」というメッセージが全ての被害者に届き、サポートの手が差し伸べられる社会であってほしいです。
(玉城福子、大学非常勤講師)