フラ・ハラウ(フラの学校)によってスタイルは違うと思いますが、私がフラを始めたモロカイ島のハラウは、家族的な繋がりを感じる、かなり生活密着度の高いところです。
カテゴリーを大きく分けると、2世代に分けたケイキ(子供)、ショーガールズ(一部男子も含まれますが、総称です)、クプナ(ご年配)の主に3つ。それぞれ週1回の練習で、ケイキとクプナが各1時間。ハラウの要であるショーガールズのクラスは、基本的には約1時間半縲怩Q時間ですが、ショーの前や、クム・フラ(フラの先生)の気分が乗っている時、または逆にクムが納得いく内容でない時などはどんどん練習時間が延びていきます。そして練習以外でもファンドレイジング(資金集め)やクムのお手伝いなど、何かとハラウのメンバーが一緒に過ごす時間は多くなります。
しかも親子3世代でケイキ、ショーガールズ、クプナのクラスに通う家族も珍しくありません。元々、小さな島ということもあり、人と人の繋がりが強いモロカイ島で、フラを学んでいる人たちは更にハラウというファミリーとして絆ができているのを感じます。一度フラシスター達が口論になった場面に居合わせた時、年上の子が「あなたのお母さんを良く知ってるけど、彼女はそんなことを教えてないはずよ!」と叱り、年下の子が頷いていました。喧嘩に家族を引き合いに出すって面白いなと印象的でした。
私はケイキ・クラスのお手伝いをさせて頂いた時期がありますが、子供達は天使のように可愛いけど、子供は子供。当然、集中力が続かない時も…。でもクムは子供でも厳しく指導するのです。技術の指導というより、躾として。練習中は側で見ている親も口出ししません。その代わり、親としてできる裏方のサポートで、クムの手助けをするのが一般的。皆で子供を育てているような雰囲気です。時に親のいうことを聞かなくても、クムのいうことは聞くという子供も多くいます。クムは第2のママのような存在なのでしょう。
私は大人になってからモロカイに来てフラを始めたので、いきなりショーガールズのクラスに入れて頂きましたが、ロコのほとんどはケイキから徐々に上がってきた子達。いつクラスをステップアップできるかの決まりはなく、年齢や時期は関係ありません。クムに呼ばれ、上のクラスに来るようにと告げられる時がその時。特に皆の憧れであるショーガールズに上がった時の嬉しさはひとしおな訳です。そこには本人のフラの技術だけではない、努力や精神の成熟さも加味されているから。そして親のサポートも評価されているので、総合点といえるのかもしれません。
ハラウに通いだした当初は、フラを始めた嬉しさだけで何も考えていませんでしたが、時間を重ねるに連れ、ハラウがこのように家族の成長段階を見守るような場であることに気づきだしました。そう思うと、私のように突然現れた、いわゆる“よそ者”を同じように受け入れてくれて、同じように接してくれる皆はなんて大きな心をもっているのだろうと感じます。フラという文化が日本のような他の国でも人気となったのは、こうしたハワイの人たちのオープンな心のお陰も大きいのでしょうね。
フラは“踊り”として習うだけでも楽しいと思いますが、もし機会があれば、少しだけ深く関わる時間をもってみてはいかがでしょうか? まずは余り難しく考えず、例えばワークショップを受けた後に片付けを手伝うだけでもいいと思うのです。ハワイでフラを学んでいる人たちと同じようなことを少しずつでもやってみると、与えられていることへの感謝の気持ちが深くなり、いつかは与える喜びへほんのちょっぴりでも近づけるかもしれない、そうなれたらもっとフラを理解できそうな気がするのです。もちろん私も毎回が勉強!フラの学びは深く長い道のりだと感じます。
プロフィール
荒川 れん子
現在ハワイ在住フリーアナウンサー。本格的にハワイに拠点を移し14年目。その大半をモロカイ島という小さな島で過ごせたことに感謝の日々。現在はオアフにも拠点を持ち、できる限りモロカイと行ったり来たりしている。
ソニー・ミュージックアーティスツ所属
オフィシャル・ブログ『ALOHA♡Life』