フラ・ラヴァーの方なら、ハワイにいらした時に本場のルアウ（ハワイ式のディナーショー）を観たい！という方が多いと思います。ワイキキでもいくつか本格的なルアウを行っているホテルがありますが、残念ながら、メインディッシュでもある豚一匹を地中で丸ごと蒸し焼きにする伝統的な「イム」のセレモニーまで観られるところは、ワイキキから離れた郊外ばかり。短い滞在中には中々日程を組みづらいかもしれません。

でも実は、ワイキキ内のホテルでもイム・セレモニーを見学できるルアウがない訳ではないのです。ただし、誰しもが利用できる施設ではないが故に、あまり知られていないのかもしれません。それは「ハレ・コア・ホテル」という米軍関係者のための保養施設です。当然ながら米軍関係者でなければ利用できません。逆にいうと、米軍関係者の知り合いがいて紹介してもらうことができれば、ここは私が最もお勧めするルアウの場所です。先日、幸運にもこのルアウに参加できたので、ご紹介します。

場所はヒルトン・ハワイアン・ヴィレッジのすぐ側。ハレ・コア・ホテルは、ワイキキで最もアメリカを感じる場所のひとつともいえるでしょう。ワイキキなのに、まず日本人を見かけません。初めて足を踏み入れた時は「わぁ、外国に来たって感じ！」と、なんだか矛盾しているようで妙に納得できたほど。敷地内もゆったりしています。その一角にあるルアウ・ガーデン。入場するとポリネシアンの衣装に身を包んだ方がシェル・レイをかけてくれ、大人はマイタイを片手に中へと進みます。

ガーデンではあちこちでカルチャー体験が行われています。レイ・メイキングやココナッツの葉での王冠作り、ポイボールのレッスン、ハワイアン・ライブから木登りまで様々。私が大好きながら、ワイキキから1時間以上もかかってしまうため中々行くことができないポリネシアン・カルチャー・センターに来たかのようでした。

そして、ホラ貝の合図でイム・セレモニーの開始。地面を掘って作られたイム（かまど）で長時間蒸し焼きにされた豚の丸焼きを取り出します。バナナの葉で包まれた豚がその姿を見せた時は一瞬驚きますが、貴重な体験に皆さん写真撮影に夢中でした。そして、屋外のメインステージへ移動し、ディナーショーの始まりです。

まずはディナータイム。前菜はテーブルごとに用意されたものを取り分けるファミリースタイル。メインには先程イムから取り出された豚を使用したカルアポークをはじめ、マヒマヒ、しょうゆチキンなどのハワイアン料理を一皿に盛りつけたものが運ばれてきます。そのほかにデザートも！

その間、観客をステージに呼び込み、パレオを使ったデモンストレーションを行ったり、簡単なフラ・レッスンを行ったりと会場はすでにヒートアップです。

日が暮れ始めた頃、古典フラから本格的なポリネシアン・ショーが始まりました。ハワイ、タヒチ、ニュージーランド、サモアなど各島をフィーチャーしたポリネシアン・ショーはハイクオリティーで見応え充分！ところどころでアメリカのいわゆる懐メロを挟むなどエンターテイメント性も高いもので、ラストのファイヤー・ナイフ・ダンスは大盛り上がりとなりました。

ただ、なんといっても利用者は米軍関係者の皆さん。MCの問いかけで「どこに所属している？」、「○○○戦争に行った方は？」などのコール＆レスポンスの際は、私達はさすがにアウェー感をひしひしと感じます。でも、ある意味中々体験できない貴重な時間でもありました。ハワイという土地がポリネシアであり、アメリカであり…と実感する空間でもあります。

そして特筆すべきは料金。大人は$51.95、11～17歳は$19.95、4～10歳は$9.95と、目を疑うほどリーズナブルなのです。ワイキキ内のホテルのルアウは$100以上が当たり前となっているので相場の約1/2～1/3の価格といえます。本来、米軍関係者の福利厚生であるが故のこの価格、これだけハイクオリティーなショーをワイキキで満喫できて、このお値段は破格だと思います。

非常にお勧めではありますが、チケットを入手するには米軍関係者にお願いしなければいけないという制限のあるルアウ。一時期は一般にも開放されているという噂を耳にしましたが、ホテルに再確認したところ、やはり米軍関係者の紹介がなければダメとのこと。でも、米軍関係者、OBなども含めると意外と多いのも事実です。いつかチャンスが巡ってくるかもしれませんので、是非心に留めておいていただけたらと思います。