【サッカー】ゴールで元気を…メルボルンの本田「傷が癒えない人に」2019年3月12日 紙面から
サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグF組第2戦で、オーストラリアのメルボルン・ビクトリーは12日、エディオンスタジアム広島で広島と対戦する。メルボルン・Vの元日本代表MF本田圭佑(32)は11日、試合会場で公式会見に臨み、丸8年を迎えた東日本大震災、昨年の西日本豪雨に触れ、「いろんな思いを込め、気持ちを少し上乗せしてプレーしたい」と、被災地への思いを背負い、“鎮魂のゴール”を狙う考えを明かした。 本田の表情はすがすがしく、穏やかだった。日本でプレーするのは昨年5月のW杯壮行試合・日本-ガーナ戦以来。クラブレベルでは名古屋時代の2007年12月天皇杯5回戦・ホンダFC戦以来、実に11年3カ月ぶりとあって、「日本人の僕が、豪州のクラブで日本のクラブを相手にするのは不思議な感じ」と笑みを浮かべた。 試合前日のこの日、死者・行方不明者が1万8000人を超えた東日本大震災の発生から8年を迎えた。石巻などを訪れ、復興に力を尽くしてきた男は被災者の痛みを自らの胸に刻み、競技者としてピッチに立つ使命感を静かに紡いだ。
「8年前から傷が癒えていない人に、少しでもスポーツという側面からいい影響を与えられればサッカー選手冥利(みょうり)に尽きると思っている」 帰国した9日には、チームメートを引き連れて原爆ドームに足を運び、平和の尊さを改めて実感した。世界平和を声高に訴え、行動してきた本田にとって“聖地”とも言える場所で、その思いは強く、堅固になった。 「試合をしに日本に帰ってきたけど、サッカー以外のことも考えさせられるような機会があった。人として、サッカー選手として、今後どうやって生きていくのか考えさせられている」 もっとも、すべてはプレーで見せ、結果で応えてこそ。20年東京五輪にオーバーエージで出場するという野望もある本田の心中は、静かに燃え盛っている。 (松岡祐司)
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