先月、日本のフラのお教室の皆さんのマウイ旅行のお手伝いをさせて頂きました。先生を同じとしながらもクラスや形態は違う皆さんだったようで、総勢約30名。フラのお勉強の一環としていらっしゃった熱心な方達です。
お手伝いさせて頂いたものの、私の得意分野はモロカイ島とオアフ島。この旅の主な目的のひとつであったマウイ島の奥座敷ともいわれるハナ・エリアには、私も初めて足を踏み入れました。くねくね道をず~っとドライブして行かなければならないハナは、古き良きハワイの面影を今も残し、神秘的な雰囲気に包まれる場所。モロカイ島のようにハワイらしい存在を愛する私としては、前々から気になっていたエリア。ハナの入口近くで立ち寄った展望台からは虹も出迎えてくれて幸先の良いスタートです。
まずはカハヌ・ガーデン。4平方キロメートル以上の広大な敷地の植物園です。
でもただの植物園ではなく、ハワイアンの生活にどのように植物が関係していたかなど古代ハワイアンの歴史や生活様式を学べる場所でもあります。
また、ハワイはもとより、ポリネシア諸島の中で最大ともいわれるヘイアウ(祭壇)も敷地内にあります。このヘイアウを前にフラ教室の皆さんが先生から話を伺い、祈りを捧げていました。とても神聖な空気を感じる場所をフラ仲間と訪れると、言葉では表しきれない何かを共有でき、今後の踊りにも良い影響があるのだろうなぁと感じました。
そしてもう少し南下して辿り着いたのは、黒砂の海岸ワイアナパナパ州立公園。『ワイアナパナパ』とは、ハワイ語で『きらきら輝いている水』という意味だそうです。
遠くから見下ろすと緑が多く、そこに青く輝く海の印象が強くて黒砂のイメージをそれほど感じませんでしたが、ビーチに降りてみると真っ黒。まるでハワイ島のような光景でした。マウイにもこんな光景があるのですね。たくさんの観光客で賑わっていました。
このビーチ沿いに何やら小さな岩場があり、通り抜けられそうな様子だったので、恐る恐る屈みながら進んでみると・・・。
その先は、まるで探検映画にでもでてきそうな洞窟でした。潮の満ち引きによっては向こう側に抜けられるようになっていて皆さん記念撮影していました。
そしてワイアナパナパ州立公園内のビーチ側ではない端の方には『WAIANAPANAPA CAVE(洞窟)』のサインが。他にも洞窟があるようなので先に進んでみることに。
洞窟の手前には、ひんやりとした空気が漂う透明度の高い池があり、人が泳いでいました。ちょっとした崖を降りて行かなければならないので、多くの人は上から見学するだけでしたが、気持ち良さそうだけれど、蚊が多くて躊躇してしまうのもあります。
このワイアナパナパ、実は悲しい伝説が残る場所。昔、この地を制していた酋長は大変嫉妬深く、非常に美しい妻が浮気をしているのではないかと闇雲に疑い、その想いがどんどん強くなり、ついには妻を殺してしまおうと思うまでに。危機を感じた妻は夫から逃れるために女性の従事を連れてこの洞窟に逃げ込みました。しかし酋長の部下がこの辺りを捜索していた際に、運悪くこの池に従事の持ち物が映って見つかってしまい、二人は殺されてしまったそうです。その時以来、ある時期になるとワイアナパナパの水面は赤い血が流れたかのように真っ赤に染まるとか。実はそれは春になると何百万という小海老が洞窟に現れるからだそうですが、この伝説を説明した看板も立てられていますし、ハワイアンの間で伝えられている伝説はリスペクトすべきだと思うので、複雑な気持ちになりました。
今回ご一緒したフラ教室の皆さんは他にもいろいろなところを回り、その場所場所で先生からフラにまつわる興味深いお話をシェアしていただいていたようです。私は以前フラ雑誌の取材でたくさんのクム達にインタビューしましたが、ハワイのクム達が皆口を揃えていうのは「是非実際に曲にでてくる土地に行って感じて欲しい」ということ。曲にでてくる場所や伝説の残るところを肌で感じることは、フラダンサーとしてとても豊かな財産になると断言できます。またハワイは土地のパワーが強いので、言葉にできない何かを与えてくれる場所でもあると思います。このようなハワイ旅行を企画されるお教室が増えると素敵だなぁと、きらきらした皆さんの笑顔を拝見して強く感じたので、今後もお手伝いできることがあればさせて頂きたいと思います。
プロフィール
荒川 れん子
現在ハワイ在住フリーアナウンサー。本格的にハワイに拠点を移し14年目。その大半をモロカイ島という小さな島で過ごせたことに感謝の日々。現在はオアフにも拠点を持ち、できる限りモロカイと行ったり来たりしている。
ソニー・ミュージックアーティスツ所属
オフィシャル・ブログ『ALOHA♡Life』