前回のコラムでご紹介した『ビショップ博物館(ビショップミュージアム)』。こちらには更にフラにフォーカスした日本語プログラムがあるのです。
『ラ・クレア フラレッスン』という名で、フラ初心者から経験者まで8歳以上ならどなたでも参加できるアウアナ(現代)フラレッスンと、フラ経験3年以上の方を対象にしたカヒコ(古典)フラレッスンの2種類。
特に単発でカヒコのレッスンを受けられるところは非常に限られていますので、経験者には興味深いかと思います。しかし、今回はよりたくさんの方にフラに触れて欲しいという思いを込めて、初心者でも参加できるアウアナレッスンを体験してきましたのでご紹介します。
まずは『ガーデンツアー』と同じようにチェックインした後、スタッフの方と合流。簡単にお庭を案内して頂きます。今回ご担当くださったのはMihoさん。Mihoさんもフラ経験者なのでフラダンサーの知りたい気持ちをよくわかってくれて有難い限りなのです。
その後は博物館内へ。ビショップ博物館とは何かを説明して頂いた後に、まずは「カヒリルーム」へ向かいます。フラを学ぶ上で非常に大切なハワイ王室の歴史などについて簡単に教えて頂きます。
その後は、メインホールである「ハワイアンホール」へ。時間の関係で全てを回ることはできませんが、フラに関するもの、フラソングに登場するものなど、とにかくフラダンサーならば知っておきたい情報を交えながらピンポイントで案内してくれます。
駆け足気味に要点を説明して頂き「ご自分が興味を持たれたものは後でじっくり見学してくださいね~」とのことで、フラレッスンに向かいます。
フラレッスンに現れたのはミイラニ先生!以前このコラムでもご紹介した『アロハフロウ』の先生です。ミイラニ先生が今はビショップミュージアムのフラレッスンをご担当しているそうです。もちろん同じくフラダンサーのご主人もご一緒で、イプを担当してくれます。
ミイラニ先生の穏やかな口調で、どんな曲のレッスンをするか説明を受け、その曲が描く情景を頭の中で思い浮かべるように手助けして頂きます。そして丁寧にハンドモーション、ステップと、初心者でもとても解りやすく教えてくれるので安心です。
約1時間のフラレッスンですが、初めての方でも1曲踊れるようになりますし、経験者にはより細かい指導を加えるなど、参加者によってレベルを調整してくれるのも嬉しいところ。フラ経験のないご家族やお友達とも一緒に楽しめると思います。
終了後には終了証書と歌詞カードをくれるので、日本に帰ってからも練習できそうですね。
フラレッスンが終わった後は、ティリーフのレイ作り。再びMihoさんの登場です。ティリーフのレイはフラダンサーならば基本として習得したいので、是非体験して頂きたいもののひとつ。
多くのフラダンサーはレイの先を足の指で引っ張りながら編んでいきますが、Mihoさんは初めてでも扱いやすいようにフックを使って編む方法を教えてくれました。
私が編んでいる間にMihoさんが外から採ってきてくれたプルメリアを間に挿して完成。女の子らしい可愛いレイが出来上がりました。
そして、これで終了ではありません。正確にいうとプログラム自体は終了なのですが、この後、『ガーデンツアー』と同じようにミュージアム内を自由に見学できるので(※)、先程Mihoさんに教えてもらったポイントを今度は自分でチェックすることをお勧めします。
私はまず「カヒリルーム」に戻り、王家の系譜図をまじまじと見つめて人物相関を復習したり、肖像画と名前でキャラクターを想像したりなど、ぼや~っとしていた人物像を改めてチェックしました。
次に「ハワイアンホール」へ。王家が身につけたフェザーレイやマントに使用した羽の鳥の姿を確認して、いかに羽を集めるのが大変だったかと想像したり、フラの曲によく登場するアイテムを見たりしては胸に刻むようにしました。
オーオーという鳥の黄色い羽は鳥全体の羽ではなくオオの一部にしか生えていないなどの姿を見ると、更に印象深くなりますよね。やはり言葉だけでなく、目で実物やレプリカを見られるのは、映像が自分の中にインプットされやすいと思うのでお勧めです。
こちらの『ラ・クレア フラレッスン』のプログラムも日本語で行われ、しかもフラの知識豊富な方達が担当してくれるので、本当に勉強になることが多いです。
ワイキキなどで手軽にレッスンを受けられるフラも楽しいですが、せっかくハワイにいらっしゃるのならば、ハワイ文化の総本山であるビショップミュージアムでのフラレッスンは貴重な経験になりますし、フラが文化の一部である雰囲気を体感できると思います。
そして何よりもビショップミュージアムの敷地は広々として緑溢れる素敵な空間なので、とっても気持ちがいいのです。ちょっと足を延ばしてでも訪れる価値があるところなので、是非皆さんにも体験して頂けたら嬉しいです。
さて、今回でこのコラムは最終回となります。いつの間にか51回を数えたのも読者の皆様のお陰でしかありません。本当にありがとうございます。
私はハワイに住み、たまたまフラを見学したことをきっかけに習うようになりましたが、クムやフラシスターなどの人との繋がりや、ハワイという環境でフラを習えることに、今ではとても恵まれていると感じます。
勿論、真剣に習っている分、辛い修行だと感じることもあります。正直、いっぱいあります。それでもフラを通して学ぶことは数えきれないほどあり、フラを通してハワイという土地をより深く感じ、繋がっていく感覚を得られています。
日本でフラを習っている方達が「羨ましい」と言ってくださる環境にあることは事実だと思いますが、それは努力して辿り着いたのでもなく、本当にたまたまなだけなので、時に申し訳なく感じることもあるくらいです。
そんなこともあり、せめて私がハワイで感じるものを少しでも日本にいながらにしても、またはハワイにいらした時に短い時間でも感じて頂きたいと思いながら毎回コラムを書いてきました。
それはひとえに、日本にいてもフラを愛する気持ちは全く同じか、もしくはそれ以上に感じることが多かったからです。そんな皆さんに触れる度に私自身も励まされましたし、僭越ながら何かしらお手伝いができたらと思っていました。
このコラムがそんな存在になれていたかどうかは解りませんが、私自身がこのコラムを通してたくさんの方々に出会えました。結局与えるつもりが与えられていたのだと思います。まさに『Aloha aku, aloha mai』、アロハは与えたつもりが返ってくるのを実感しています。
まだまだフラの修行は長い道のりだと感じますが、これからも少しずつながら歩んでいきたいと思っていますので、また違う形で皆さんとお会いできる日が来ることを楽しみにしています。最後までご愛読いただきありがとうございました!!
最後に、いつもお手数をおかけしてばかりなのに、毎回入稿する度に素敵な感想をくれた担当編集者の方のお力添えがなければ、ここまで続けられなかったと思います。心からありがとうございます!!
ビショップ博物館『ラ・クレア フラレッスン』
https://www.bishopmuseum.org/japanese-lakulea/
(※)プラネタリウムプログラムと特別展示は追加チケットが必要となります
プロフィール
荒川 れん子
現在ハワイ在住フリーアナウンサー。本格的にハワイに拠点を移し14年目。その大半をモロカイ島という小さな島で過ごせたことに感謝の日々。現在はオアフにも拠点を持ち、できる限りモロカイと行ったり来たりしている。
ソニー・ミュージックアーティスツ所属
オフィシャル・ブログ『ALOHA♡Life』