2019年3月12日配信<0510archives>「『maneoマーケット』に対する厳しい業務改善命令でソーシャルレンディングの終焉」<事件>
葬儀委員長?を務める味形衛新社長(maneoHP)
金融庁は、7月13日、証券取引等監視委員会からの勧告を受けて調べていた「maneoマーケット」(千代田区・瀧本憲治社長)に対し、8月13日を報告期限とする業務改善命令を出した。
maneo社が行なっているのは、金融庁の説明では「ウェブサイトにおいて多数の事業会社を営業者とするファンドの取得勧誘(以下プラットフォーム事業という)」であり、一般ではソーシャルレンディングという。
ソーシャルレンディングは、ここ数年で急増、2017年の市場規模は前年比2・5倍の1316億円だった。
第二種金融商品取引業者であるmaneo社は、自前の国内最大ファンド事業を行なうとともに、ソーシャルレンディング業者にプラットフォームを貸して勧誘を行なっていた。
今回、そのなかの「グリーンインフラレンディング」(GIL)において行なわれていた不正が発覚、maneo社は業務改善命令を受けたのだが、その内容は一般投資家の資金を預かる金融業者の資格が問われるものだった。
第一に受けた命令は、「投資者保護上、問題のある業務運営について、責任の所在を明確にして発生原因を究明すること」である。
GIL社のファンドへの出資者は3084名で貸付残高は約103億円。ファンドの取得勧誘の際に謳われていたのは、「太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギー事業の開発資金」だった。
だが、実態はGIL社の親会社「JCサービス」が、自社の資金繰りなどに、好き勝手に使っていた。
その象徴が、「JCサービス」の子会社で将来は運用部門を担う「JC証券」に貸し付けられた2億5000万円のうち5000万円が、細野豪志元環境相に融資されていたことである。
当然、ファンドの説明には入っていないわけで、「ファンド資金は区分管理されず、ほぼひとつの口座で入出金している状態」(金融庁の発表文)だったという。“横流し”も当然だ。
maneo社は、GILを差配する中久保正己・JCサービス代表に、ファンド資金の使途と管理運営を一任してきた。
金融庁は、それが第一の命令につながる行為を生み出したとして、二番目に「金融商品取引業者として必要な営業者の選定・管理に関する業務運営態勢を再構築すること」と、命じている。
さらに三番目は、「全ての顧客に適切な説明を実施し、説明結果を報告すること」であり、四番目は、「顧客からの問い合わせに誠実かつ適切に対応し、説明責任を果たすこと」。そして五番目が、「一」から「四」までの対応について、8月13日と期限を区切った報告を求めているのだが、どう考えても、期限までに最も重要な(一)の虚偽報告を改善できそうにない。
ソーシャルレンディング業者が説明する。
「人気の秘密は10%内外という配当の高さにあります。それだけの配当を払って成り立つ ビジネスがあれば、もっといい条件で銀行が貸してくれます。結果的にGILは、ファンド資金を他のファンドの配当に回す自転車操業に陥った。それがソーシャルレンディングの宿命です。『虚偽勧誘』を止めれば、『maneoマーケット』は回っていきません」
ソーシャルレンディングのなかでもmaneo社は、「業界のパイオニア、業界最大」を謳うだけに1000億円を超えて群を抜く規模で、GILだけでなく反社会的勢力ともズブズブの「LCレンディング」など幾つもの業者がmaneo社のプラットフォームを利用している。
金融庁が突き付けた業務改善命令は、maneo社が08年から築き上げたソーシャルレンディングというビジネスモデルを崩壊させるものだった。
急遽、瀧本憲治社長が代表を降り、新社長を据えたものの、その衝撃を乗り越える簡便な方法があるハズもなく、maneo社の選択肢は顧客離れの果ての「緩慢な死」か、諦めての「突然死(倒産)」のどちらかといわれている。【戌】
- 2019.03.09 Saturday
- 事件
- 23:28
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- by polestar0510