脚力強化の方法
スナッチやクリーンアンドジャークの記録は、筋力、それも主に脚の筋力に依存する。というのも、これらのエクササイズで負荷を受けるのは主に脚であるからだ。しかし、脚力強化の方法について十分な説明をしている文献は存在しない。
我々は、6年に渡り、たくさんの選手(105人)について調査してきた。彼らの身分は、スポーツ学修士、スポーツ学国際修士など様々であり、いずれの選手もByloロシアのチャンピオン、記録保持者、USSRの軍の大会でメダルをとろうと頑張ってきた人たちである。この調査によって、脚力強化のオリジナルな方法を提案できるであろう。
脚を鍛えるためといって常に限界近くの重量を扱う必要はない、これはよく知られている。筋力の向上が見られるのは、かなり低い重量(~70%)か中程度(~80%)なのである。これに加えて限界近くの高重量も扱う必要がある。が、高重量は全挙上量の16%にとどめるべきである。
特別なトレーニングを6週間もすれば、スクワットにおいてかなりの改善が見られる。このこともまた良く知られている。主に低・中程度の重量を扱うことで、系統的なトレーニングに必要な“機能的な状態”を維持することができるのである。
どのような方法を提案するのか?
まずこれは、準備期のために設計されている。6週間のスクワットのトレーニングサイクルは2つに分けられる。最初のステージでは、平均重量は比較的一定で、総重量が上がっていく。2番目のステージでは強度が上がり、総重量は下がっていく。どちらも3週間である。最初のステージではバックスクワットベストの70~80%の重量が使われ、2つ目のステージでは、80~105%になる。
スクワットの全挙上量は最初のステージで上がっていき、続く2つ目のステージでは下がっていく。各ステージを通して、‘標準の負荷’が定期的に挟まれ、これが、積極的休養の役目を果たす。スクワットの頻度は週に三日以内にとどめる。
6週間のサイクルは‘標準の負荷’で始まる(表1・2を見よ)。一つ目のステージでは、メインセット1セットあたりのレップ数が1練習おきに増えていく。奇数回の練習が積極的休養(一定の量と強度で行う)である。
最初のステージの一般的なスクワットの量は、204レップで、平均強度はベストの78.7%である。
最初のステージでは、小・中程度の重量しか扱わないが、二つ目のステージをはじめる時にはもう既に85%の重量になっている。‘標準の負荷’を挟んで、レップ数やセット数が1ずつ減る一方で重量が5%ずつ増加していく。
二つ目のステージの終わり、18番目のワークアウトでは、普通、選手は105%の重量を扱えるようになっている。勿論この数字は多少変化する。
2つ目のステージでは、総レップ数が139で、平均強度は81.8%である。強度は1つ目のステージより3.1%大きい。139レップのうち、41レップが高強度(81~90%)で14レップが最大重量(90~)である。
全体を通して、選手は平均強度80%で、343レップを行う。もし、準備期に全体で1000~1100レップ行うとすれば(4週間サイクル)、スクワットの占める割合は20~23%になり、最近の考え方に合っている。
最後のワークアウトでの重量は自己新となるが、新たな計画を立てる際にはその重量を参考にすべきだ。
もし1つ目のステージで、例えば、予定の6レップができなかった時などは、戻って2,3回繰り返す必要がある。
もしこのトレーニングサイクルを連続して行う場合、‘標準の負荷’を変化させても良い。例えば、最初はバックスクワット、次のサイクルはオーバーヘッドスクワット、その次はバーを胸に乗せてランジ、最後はフロントスクワット、という風に。
オフのあとでこのサイクルを始める場合、ベスト重量の設定を低くしても良い。そうすると、1つ目のステージのメインセットの重量は70%にするのが良い。この時、ウォームアップの重量は60・65%になる。2つ目のステージにも連動させる。
関節の可動域や筋肉や腱の弾性を改善するために、スクワットの他に、クロスカントリー、短距離走、立ち幅跳び、走り幅跳び、垂直跳び、スポーツゲームなどをすべきである。
平均的に言ってバックスクワットはクリーンアンドジャークの134%であり、もしバックスクワットがこの数字より低ければ、スクワットの総重量を30%増やしたほうが良い。
(表1・2)
週 | 練習回数 | 負荷(%) | レップ(本数)×セット |
1 | 1 | 80 | 2×6 |
| 2 | 80 | 3×6 |
| 3 | 80 | 2×6 |
2 | 4 | 80 | 4×6 |
| 5 | 80 | 2×6 |
| 6 | 80 | 5×6 |
3 | 7 | 80 | 2×6 |
| 8 | 80 | 6×6 |
| 9 | 80 | 2×6 |
4 | 10 | 85 | 5×5 |
| 11 | 80 | 2×6 |
| 12 | 90 | 4×4 |
5 | 13 | 80 | 2×6 |
| 14 | 95 | 3×3 |
| 15 | 80 | 2×6 |
6 | 16 | 100 | 2×2 |
| 17 | 80 | 2×6 |
| 18 | 105 | 1×1 |