【競馬・ボート・競輪】[競馬]金鯱賞 ダノンプレミアム、久々の実戦で復活の勝利2019年3月11日 紙面から
「第55回金鯱賞」(GII・10日・中京・芝2000メートル)は、好位を進んだ単勝2番人気のダノンプレミアムが、直線力強く抜け出して、重賞4勝目を挙げた。同時に「大阪杯」(GI・31日・阪神・芝2000メートル)への優先出走権を獲得した。川田将雅騎手(33)は同レース2勝目、中内田充正調教師(40)は初勝利。5番人気のリスグラシューが2着、1番人気のエアウィンザーが3着だった。 ◆先行抜け出し 1年ぶりのV鮮やか過ぎる復活劇だった。1番人気で挑んだあの日本ダービー(6着)以来、9カ月半ぶりの実戦。長い沈黙を破って、ダノンプレミアムが桶狭間で威厳を取り戻した。スタートを決め、すっと3番手に収まると、抑えを利かせて伸びのあるフットワークを繰り出す。勝負の直線。右ステッキに呼応して先頭に立つと、上がり3Fをメンバー最速タイとなる34秒1でまとめ上げ、後続の追い上げを振り切った。 「ほっとしています。スタッフ全員がこの時を長い間、待っていました」。2年前の最優秀2歳牡馬の帰還。待ち望んでいた瞬間を共有できた喜びを、川田はまず言葉ににじませた。抜群のスタートを切り、行く馬を先に行かせて好位で折り合う。遅い流れの中、一連の動作をスムーズに終えたところで、主戦は確かな絆を意識。「自分のリズムに終始しながら、結果としてあの位置に。手応えよく直線に向いた時に、これならと思いましたし、期待通りでした。ポテンシャルの高さを実感できたレースだったと思います」と胸の内を明かした。 秋の天皇賞を目指して帰厩した昨年。ところが物足りない部分があって、無理をせずにローテーションを組み替えることに。だがマイルCSへと向かうプランをたどる過程で、爪の状態が万全ではない、ということで休養を決断。我慢の連続ではあったのだが、復活の日を信じて待ちに徹してきた。耐えることを選んだ信念のタクトが呼び込んだ勝利と言っていいだろう。 「これだけの馬ですから、しっかり仕上げてきました。本当に頭の下がる思いです。次走に関しては1週間ほど様子見てからになりますが、大きいところを目指していきたいと思います」。次なるターゲットについて、中内田師は明言を避けたが、主役の座を奪回したのは確か。現役最強へのシナリオが起動。王者の第2章が雨の中京で幕を開けた。 (山田数夫)
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