【大相撲】貴景勝、大関とりへ満点発進 ド迫力押しにファン「強すぎやろ」2019年3月11日 紙面から
◇春場所<初日>(10日・エディオン アリーナ大阪) 平成最後の場所で大関昇進を狙う貴景勝(22)=千賀ノ浦=は、妙義龍を圧倒して白星発進。休場明けの両横綱は明暗。白鵬が新小結の北勝富士を下したが、鶴竜は御嶽海(26)=出羽海=に敗れた。3大関は安泰。高安は魁聖を寄り切り、豪栄道は遠藤に完勝。かど番の栃ノ心は大栄翔に逆転勝ち。先場所優勝の玉鷲(34)=片男波=も勝った。 ◇ ど迫力の押し相撲で、貴景勝が大関昇進へ満点発進だ。立ち合いの圧力をもろに受けた妙義龍がたまらず引いた分だけ、少し右カーブを描いた電車道で押し出し。「貴景勝、強すぎやろ」-。支度部屋前で出迎えたファンたちのあぜんとしたような声と表情が、充実ぶりを物語った。 明確な大関とりと位置付けられた場所。兵庫県芦屋市出身で準ご当所として迎える熱狂ぶりをよそに、初場所で痛めた右足裏をケアしながら、あくまで冷静沈着に準備してきた。 「毎場所毎場所を大事にしてきて、こういう場所になった」。一つ上の地位を目指す15日間も、地道な歩みの通過点にすぎない。 白星発進にも「普通っす」と表情を変えなかったが、確かに奮い立たせてくれる存在があった。母校・仁川学院小(同県西宮市)の児童ら100人が会場を訪れ、しこ名入りのタオルやうちわを掲げて大声援を送った。 初優勝を果たした昨年の九州場所直後、実家に立ち寄る時間も惜しんで同校へ。後輩たちに熱く呼び掛けた。「自分でうまくいくように、どうやって頭を働かせるか。うまくいった時は続ければいいし、うまくいかない時はどうするか考えて」 身をもって土俵上で示した言葉の答えは、至ってシンプルだった。「まわしを取られたら、相撲にならない。徹底して押す」。迷いのない攻めを後押ししてくれたお礼に、引き揚げる前に面会も実現させた。「恥ずかしい相撲で、ガッカリさせたくなかった」と、ようやく笑顔がのぞいた。 「応援してもらって、ナンボの世界ですから」と言い切る幕内最年少22歳は、重圧とは無縁。最高の追い風を背に、大関とりへ突っ走る。 (志村拓) ▽八角理事長(元横綱北勝海) 「最高の相撲じゃない? 離れて取る人は、動きが良いうちに上がらないとね。若いうちは動けるから。どっしり構えるのは年を取ってから。プレッシャーより自信がある。気持ちで受け身じゃない。攻める気持ち」
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