緊急事態だった。試合前のウオーミングアップを終え、ロッカーで円陣を組んだ直後、20歳の田中が鬼木監督に呼ばれ、左脚に違和感を訴えた大島に代わってスクランブルで今季初先発。開始4分、相手GKのパスをカットすると、レアンドロダミアンに絶好のスルーパスを届けて先制点をお膳立てした。田中は「チームの狙い通り、縦に早く展開して点を取れたのは良かった」と振り返った。
だが、好プレーを連発しながら最後のワンプレーで暗転した。2-1で迎えた後半50分、横浜Mの左CKで、田中がマークしていた扇原に痛恨の同点ヘッドを浴び、3連覇を目指すチームはまさかの開幕3戦連続ドロー。鬼木監督、レアンドロダミアンらは田中のプレーを称賛したが、田中本人は「自分の責任。監督の期待に応えられなかった自分にふがいなさを感じる」とうつむき、唇をかんだ。 (松岡祐司)