『スペシャルドラマ 必殺仕事人2019』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド)
隔週刊 必殺仕事人DVDコレクション 2019年 3/26号 [雑誌]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 雑誌 > 趣味・車・ペット雑誌
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 1,799円
『スペシャルドラマ 必殺仕事人2019』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?
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スペシャルドラマ 必殺仕事人2019[解][字]
平成最後の必殺仕事人!東山紀之と“必殺”初出演の西田敏行が直接対決!!伊藤健太郎、飯豊まりえら旬の若手も出演!
詳細情報
◇番組内容
江戸の同心・渡辺小五郎(東山紀之)は、一年前に母を亡くして以来、ふさぎがちな妻・ふく(中越典子)が気がかり。同僚の住之江彦左衛門(松尾諭)は、そんなふくの姿を見て、遺品をなにか別の品に交換して気持ちの整理をつけた方が良いと、油問屋で丁稚奉公をする傍ら、人と人とが品物を交換する橋渡しをしている弥吉(伊藤健太郎)を紹介する。
◇出演者
東山紀之、松岡昌宏、知念侑李、伊藤健太郎、飯豊まりえ、松井玲奈、林家正蔵、近藤芳正、遠藤憲一
キムラ緑子、中越典子、松尾諭、生瀬勝久、和久井映見、西田敏行
◇番組内容2
ケガをして町医者へ行ったリュウ(知念侑李)は、治療を手伝う気立ての良い娘・おたね(飯豊まりえ)に思わず見とれてしまうが、弥吉と恋仲だと知る。また、お菊(和久井映見)も弥吉の目利きを信用している客の一人で、涼次(松岡昌宏)の前で弥吉とおたねを褒めちぎる。
◇番組内容3
ある日、大金持ちの商人・蘇我屋忠兵衛(近藤芳正)に呼び出された弥吉は、江戸中に人脈をもつ大商人・上総屋清右ヱ門(西田敏行)を紹介され、物々交換の際に手間賃を取って“献残屋”という商売をしないかと持ち掛けられる。しかし純真で欲のない弥吉は、この申し出をあっさり断ってしまう。
◇制作
ABCテレビ、テレビ朝日、松竹
◇主題歌
The SHIGOTONIN『鏡花水月』(ジャニーズ・エンタテイメント)
◇スタッフ
【脚本】寺田敏雄
【監督】石原興
【音楽】平尾昌晃
◇おしらせ
☆番組HP
https://www.asahi.co.jp/hissatsu2019/
↓高還元!もらい損ねてませんか?↓
八丁堀の旦那 んな むちゃなこと
言わないでくださいな
(渡辺小五郎)
食いてぇんだよ めざしが
屋台のそば屋に
めざしなんか置いてませんよ
ほら 呉服橋手前の… 何だっけ?
魚松 あそこなら
まだ開いてんだろ
今日から やぶ入りですよ
えっ?
店の者は だ~れもいませんって
めざし3尾だ つりは取っときな
♬~
おい!
(戸をたたく音)
何だい 何だい こんな夜分に
≪(戸をたたく音)≫
おぉ…
これは これは 町方の旦那
何事でございましょう
何事ではござらん
この裏木戸の錠前 壊されておる
おや おや ほんとだ
空き巣狙いが はやっておる
気ぃつけたほうがいいな
ご親切にありがとうございます
うちの蔵が空き巣に
狙われでもしたら大変だ
では
おめぇんとこは蔵があんのか
どうせ いらねぇもんばっか
ため込んでんだろ
何をおっしゃいます
いらないもんなんて ござんせんよ
そうだな いらねぇのは…
てめぇの命だ
(刺す音)
アァ…
(屋台の親父)
旦那 どこ行ってたんですか もう
小便だよ 小便
もう めざし
焦げちゃうじゃないですか
すまん すまん
不用心じゃないですか
おぉ 寒い 寒い
おやじ おやじ かけだ かけ
へい らっしゃい
おぉ
あれ? 渡辺さん
うん
うん? 今日はかぜ気味で早引け…
あぁ~ あぁ! ハッハッハッ…
渡辺さんも隅に置けませんな
ほっとけ
あれ? 住さん
はい
ひょっとして腹減ってんの?
当たり前じゃないですか
だから ここにいるんでしょ
おやじ こいつのそばいらねぇ
はい?
うめぇもん たらふく食わしてやる
いい女も… ヘッヘッヘッ…
いるぜ
ほんと!?
行こう 行こう 行こう
行く! 行く! 行く! 行く!
このめざし…
(鈴)
(彦左衛門)
いいとこ連れてってくれるって
渡辺さんのお宅じゃないですか
たらふくいい女もいるって
なんだ てめぇ
うちのは いい女じゃねぇってのか
ちょっと こっち来いよ
いや いや… そういう意味じゃ
ありませんけども
あれの母上が亡くなって
もう1年になる
しかし
もう一周忌も過ぎようってのに
女房のヤツ
亡き母上の遺品を整理して
処分するとは言ってんだが…
毎日毎晩 泣きながら
思い出話を繰り返すだけ
近頃は めっきり
笑わなくもなっちまった
(彦左衛門)う~ん そりゃねぇ…
それが毎日毎晩となりゃよ
さすがのこっちも気がめいる
だからよ
こうして客人でもありゃ
あれの気も少しは
紛れんじゃねぇかなと思ってな
そうでしたか…
そうだ!
チャンカチャンカ チャンカチャンカ
チャンカチャンカ チャンカチャンカ
チャンカチャンカ
チャンカチャンカ
♬「安来千軒 名の出たところ」
チャンカチャンカ チャンカチャンカ
チャンカチャンカ チャンカチャンカ…
あがっ… あがっ…
アチチチチ…
わっ!
まぁ!
あっ… 違う… そこ そこ!
あっ!
どうだった? ふく
少しは気が紛れたかい?
(ふく)はい
こんなにおもしろいこと
できることなら…
母上に見せてあげたかった…
ダメだ こりゃ
そうだ!
もういいよ お座敷芸は
いやいや 私にいい考えがあります
えっ?
馬喰町の油問屋で
手代奉公をしている
弥吉ってぇのがおりましてね
(弥吉)ごめんくださいまし
本町奉行所の
住之江彦左衛門さまから
ご紹介にあずかりました
弥吉と申します
はい
おぉ 待ってたぜ 上がんな
(弥吉)へい 失礼致しやす
悪ぃな 朝っぱらから
勤め前に済ましときたくってな
あぁ こっち こっち
(弥吉)失礼しやす
これだけの品ぞろえです
そうそう処分など
できるものではございません
そこで いかがでしょう
これらを何か別のものにかえて
ご供養されるというのは
大切に扱ってくださる方が
きっといらっしゃいます
その方々の所蔵している
同等価値のものと
交換をするというのは
いかがでしょう
交換?
ほう
(弥吉)あっしは
そういったご縁をつなぐ
橋渡し役をさせて頂いております
橋渡し役ねぇ
あっ ご苦労さまです
どうも
あっ どうでしたか?
手に余る遺品をほとんど…
持ってってくれた
ハハッ それはよかった
しかしよ
どうも ふに落ちねぇんだよ
手間賃も取らずに
橋渡しなんてことをよ
なんでしようと思うんだ?
(彦左衛門)まぁ ああいうのを
絵に描いたような
善人っていうんじゃないですか?
(弥吉)その空きだるは
裏口に回してくれ
お客さん 今日は貸し切りなんで
おぉ そうかい
おい 弥吉
(弥吉)へい
お得意さんがお待ちかねだ 急げ
(弥吉)へい!
金次郎
(金次郎)へい
おっとっとっと… おい
でぇじょうぶかい? 儀助さん
ありがとよ
わっ!
おぉ…
清右ヱ門さん お待たせ
ハッハッハッハッ…
いや~ びっくりしました
ほのかお嬢さま
あっ このお店は
このわたくしめが買い取りました
どうぞ 皆さまで
存分にお楽しみあれ
ありがとう
(摺鉦)
♬~(演奏)
♬~
何見てるの?
えっ? ハハハ…
あっ いつもお世話になってます
(ほのか)
ずいぶんと元気な手代さんだこと
うん…
善人を絵に描いたような
若造ですがね ヘッヘッ
ありゃ ただもんじゃござんせんよ
じゃあ 頼みましたよ
へい
おい 回すぞ
絵に描いたような善人ね
ご立派なこった
あれ?
おい ふく! ふく!
(ふく)えっ?
何ですか? これは 何ですか?
あぁ…
弥勒菩薩さまです
それは分かってんだけどさ
なんで
それが ここにあるんですか?
ついさっき あの弥吉さんが
届けてくだすったの
弥吉が?
ええ
母上の遺品と交換にって
こうしてると なんだか
母上に見守られてるような
気がしない?
ああ 寒気がする
えっ?
…っていうか見張られてる?
もう
母上 聞いた? 小五郎さんったら
見張られてるみたいだって
あの人
こんな優しい顔してましたっけ?
婿殿!
はい!
押さえてください
おい おい リュウさん
このおたねちゃんはダメだぞ
うちの大切な手伝いを
してくれてるし
(リュウ)あっ… いや 私は別に
れっきとした いいなずけもいる
いいなずけだなんて…
≪失礼しやす≫
≪(戸の開く音)≫
(連暁)おぉ これぞまさしく
うわさをすれば何とやら
あっ 連暁先生 うまくいきました
先生が足りなくて困っていると
おっしゃっていた俵屋薬
巣鴨のお医者さまがお持ちでした
(連暁)ありがとう
お預かりしていた志野焼茶椀
先さまにお見せしたところ
是が非にも欲しいとのことで
交換して参りました
弥吉 わざわざ巣鴨まで
足を運んでくれたのか
お安い御用でさ
おたねちゃん ちょっと
はい
(弥吉)
得意先で売れ残りだけどって
タダで頂けたんだ
(おたね)えっ… あっ かわいい
向こう向きな
えっ? うん
はい
似合う?
うん
ありがとう
♬~
♬~
おぉ うまそうだな
あっ おかえり~
実は近いうちに
番頭見習いにしてもらえそうで
番頭見習い
すごい
番頭見習いになれたら
給金も頂けるようになる
そしたら おたねちゃんと…
ありがとう
≪(足音)≫
何だ?
いや…
(おきよ)やくざもんの一家が
ここら一帯を買い取って
取り壊して 大きな色街に
しようとしてるらしいね
(経師屋の涼次)
そこをなんとかよう
お菊姉さん
(花御殿のお菊)
たまに表稼業で働いた金は
全部 食いもんに使っちまって
裏稼業で手にした金は
賭け事で使い果たす
そんで 金に困ったら
人に借りに来るって
それって一体
どんな了見なんだい?
いや どんな了見も そんな了見も
こんな了見ですよ
なぁ 1両でいいんだよ なぁ
いや もう そら
もうまけに大まけして2分だ
いや いや いや もう
そんなことは言ってられない
もう1分と2朱 なぁ どうだ
ほら 持ってけ泥棒 なっ
競りじゃないんだからさ
う~ん しょうがないね
あ~ん しょうがないな
ハッ ハッ ハッ ハッ…
手出しな
ワン!
うん
へっ?
いや いくらなんでも
2朱って お菊よう…
≪(戸の開く音)≫
≪ごめんください≫
あっ 上がっとくれ
≪失礼しやす≫
あぁ どうも
よう
あの お菊さんがお探しの
すずりっていうのは
これでしょうか?
おぉ…
あぁ これね
ものはいいんだろうけどね
あたしが欲しいのはさ
もっときゃしゃな…
おい おい おい
熊野の那智黒の
すずりじゃねぇかよ
はい
なぁ
先方は何ておっしゃってんだい?
九谷焼の香炉があればと
残念だけど…
九谷焼の香炉だ?
はい
持ってます
俺 それ持っちゃってます
ほんとですか?
よし 決まりだ!
俺 こういうのが欲しかったんだよ
あっ 手間賃まけとけよ
そんな めっそうもございません
おいらはお金なんか頂きませんよ
金取らねぇのか?
はい
弥吉 相変わらず評判がいいなぁ
お前さんは
あっ… 恐れ入りやす
で 今日は どのような…
う~ん…
何でもいい 何か出物はないかい?
何でもいいと
おっしゃられましても…
例えば どのような?
≪どこを探しても≫
≪見つからないもの≫
どこを探しても見つからない…
それを持つ者は それを絶対
人に譲りたくないもの
どこを探しても
見つからないものは
見つけようがありやせん
絶対に人に譲りたくないものは
譲り受けることはできやせん
ハハハハハハ…
上総屋の清右ヱ門さんだ
弥吉 お前さんのうわさを聞き
是非に一度 会ってみたいと
恐れ入ります
弥吉と申します
おぉ 弥吉さんってのかい
お前さんのやってることはね
献残屋という
立派な商いになるんですよ
献残…
人と人とを結びつけ
その橋渡し役になる
お前さんが
今まさにしていることだ
ただし 商いとしての献残屋は
そのつど 手間賃を頂く
お前さんが
ふだんお得意さんにしてるのは
せいぜい まぁ 10人かそこらだ
そう… ですね
それぞれから
40文ずつ頂いたところで
たったの400文 ハッハッ…
100人ならば…
1000人ならば どうです?
ハッハッハッ… 1000人ならば…
10両
1万人ならば…
100両 ホッホッホッ…
それが献残屋です
でも おいらは
そんなに大勢の人とは…
上総屋さんはね
江戸中の大店や金持ちと
つながりがある
手広く商いができますよ
弥吉さん その気になれば
力をお貸ししましょう
…という まぁ お話です
いい話じゃないか 弥吉
どうです?
おいらは もともと
金もうけしようなんて
これっぽっちも
あぁ そう
それは残念 フフフ…
ただいま~
あっ おかえりなさい
≪おかえり≫
おい ふく 誰? 誰?
あぁ そういえば小五郎さん
初めてだったわよね
亡き母上の妹さん
妹?
綾小路てんといいます
ふくの叔母でございます
あっ そいつぁ どうも
てんさん?
2人とも そこお座り
あっ はい
お土産のあわおこしでございます
ありがとうございます
どうぞ
かれこれ40年前 渡辺家から
大阪の庄屋・
綾小路家に嫁ぎましたが
10年ほど前に その夫も亡くし
その後は孫たちに囲まれて
隠居の暮らしを
しておりましたところ
なんと
姉上が亡くなられたとの知らせ
かねてより姉上からは
自分に もしもの折は
よろしゅう頼みますとの
文を受け取っておりました
そうなの?
そうみたい
なるほど
姉上からの文にもありましたが
婿殿!
はい
あなたは確かに
一見 優男に見えて
ところが その正体たるや…
とんでもなく ぐうたらなダメ亭主
そんなダメ亭主に
生まれながらに甘えん坊のふく
はにかんで どないすんの
お2人を見ていると
その行く末が心配で心配でと
姉上も それは それは
嘆いておいででした
それにしても まぁ ほんまに
姉上にそっくり
でしょう?
そうかな
まぁ これからはね
このわたくしが このうちを
しっかり守って参ります
えっ!
どうなってんの?
今日から ここで一緒に
暮らすことになりました
えぇ~…
(てん)わたくしが来たからには
もう な~んも心配いりません
大船に乗ったつもりでいなさい
大船?
てん… ふく…
転覆?
≪出てけ! おらぁ!≫
(悲鳴)
(弥吉)何してるんです!
この土地は飛鳥一家のものだ
この貧乏長屋は取り壊す!
おい!
何やってんだ!
何だ? この野郎!
いきなり来て 何しやがんでぇ!
何だ? てめぇは!
(刺す音)
新吉さん!
弥吉さん!
てぇへんだ 新吉さんが殺された
逃げたほうがいい
おっかさん
急いで!
しっかり
こんな… こんな勝手はさせない!
おっかさん やめて!
バカ野郎!
うるせぇ!
アッ!
おっかさん!
(斬る音)
アァッ!
おきよさん! おきよさん!
おっかさん おっかさん…
弥吉さん… おたねを… おたね…
おっかさん!
(鬼松)おい
命を粗末にすんじゃねぇぞ
おっかさん おっかさん…
おっかさん…
♬~
あの人は…
(彦左衛門)えっ? 深川長屋が?
いきなり取り壊しが始まって
刃向かった住民が何人も…
何人も殺されました
渡辺さん
うん
やくざもんの裏で
誰が指図してるかは分かってやす
おいら 見たんです
(増村)蘇我屋の忠兵衛といえば
このご府内でも
指折りの大あきんどではないか
ですねぇ
そんな大あきんどが
やくざ者と結託
これはゆゆしき問題ですよ
あきんどが やくざ者と
黒いつながりがあるとなれば
これは ゆゆしき問題です
しかし 蘇我屋忠兵衛が
眺めていたというだけではね
そこんとこは ほら
裏取りしなさいよ
わが本町奉行所総出で
蘇我屋忠兵衛の黒い疑惑を
突き止めるんです!
ほら 行って
はい 行って 行って!
増村さま
あぁ?
増村さま宛に このようなものが
うん?
あっ ちょっと待った 待った…
待った! 待った!
あっ 皆しゃん あの…
この一件なんだけどさ
あの… やっぱいいや
(口々に)はぁ?
うん あの…
深追いせんでよろしい
この一件 あの…
もう一切 手引きましょう
≪はぁ?≫
(弥吉)どういうことですか?
それって どういうことですか!
(彦左衛門)どういうことも
そういうことも そういうことだよ
こんなことまでされて
何人も殺されて!
お奉行所は何もしない
何も調べないって
どういうことですか!
(彦左衛門)しょうがないですね
そういうことになったんで
(弥吉)渡辺さん!
まぁ 諦めんだな
旦那!
(弥吉)あんたら…
あんたら それでもお役人か!
チキショー!
クソ役人が
♬~
ごめんな ちゃんとした
おっかさんのお墓
建ててあげらんなくて
あっ…
リュウさん
♬~
(読経)
(読経)
(おたね)ありがとうございました
(弥吉)ありがとうございやす
私には あれくらいのことしか…
今度のことで
よ~く思い知りました
お奉行所ってのは
晴らせぬ恨みを
晴らしてくれるとこじゃ
ないんですかね
蘇我屋忠兵衛が黒幕なのは
分かってんだ
こうなったら おいらが…
あっ 弥吉さん やめて
このまま
泣き寝入りしろってのか?
おっかさんの次に弥吉さんまで
いなくなってしまったら 私…
うわさで聞いた話です
三番筋のほこらに願をかけると
晴らせぬ恨みを
晴らしてもらえるとか
ほんとですか?
あっ いや…
ごめんなさい なんでも…
≪(瓦屋の陣八郎)ただし!≫
それには
それなりの金がいるらしいぜ
金を積めば積むほど
いい仕事するらしい
まぁ 世の中
何でも金次第ってことだよ
三番筋…
無理だよ お金なんて全然ないし
フン
あんなところで
あんなふうに金の話を
なんて薄汚い
薄汚ぇのはどっちだよ
金も取らねぇで
人助けのつもりの殺しか
…ったく 薄汚ぇ善人面しやがって
ほんっとに
どれ どれ どれ…
いいよ いいよ いいよ えぇ?
ありがとうございやす
で 先さまが欲しいと
おっしゃってるのが…
ヘッヘッヘッヘッ…
九谷焼の香炉だろ 分かってるよ
よし ちょっと待ってろ
ほらよ いい代もんだぞ
これです 先さまは
こういうのを求めて…
だろ? よし 取引成立だな あぁ
おっ じゃあな ご苦労さん
よし よし よし…
うわ アッチッチッチ
ヘッヘッヘッヘッ… あぁ…
あっ どうした?
うん?
あの…
今回だけ 今回だけでいいんです
手間賃を頂けないでしょうか?
手間賃?
ええ
お前 金取らねぇって
言わなかったか?
すいません 今回だけ…
もう…
ほら これしか出せねぇぞ
ありがとうございやす
はい
弥吉さん
へい
手間賃です
(弥吉)こいつはどうも
ありがとうございます
手間賃です
ありがとうございます
ありがとうございます
(清右ヱ門)
お前さんのやってることはね
献残屋という
立派な商いになるんですよ
誰か!
誰か!
(弥吉)誰かいませんか!
≪(お菊)頼み事は?≫
えっ…
あの… どうか この金で
晴らせぬ恨みを
(弥吉)もし…
そこのほこらに置きな
頼み人は油問屋佐島屋の手代・弥吉
へぇ~ 手代のわりには
結構な額じゃねぇかよ
それまでは金を取らねぇ
橋渡し役だったが
今回は このために
金を取ったってことか
あぁ~ そん中には俺の1朱もなぁ
元はあたしんだ
かぁ~…
要は深川長屋を潰しにきた
やくざもんと
それを裏で操るあきんどの
蘇我屋忠兵衛が的ってことで
いいんだな?
しかし 裏が取れねぇとな
あの深川長屋一帯を
買い取ったのが
実は蘇我屋忠兵衛だって
証文でもありゃよ
そういうのって お奉行所が
堂々と蘇我屋に乗り込めば
調べられるのでは?
手代風情が見たってだけじゃ
乗り込めねぇんだよ
かぁ~ これだからクソ役人はよ
ハハッ
…んなもん 手間暇かけてねぇでな
天井裏の板外して
ツーッと下りてくりゃ
簡単に手に入るんだ そんなもんは
前もって お菊に頼まれててな
フフッ なるほどな
クソ役人には できねぇ芸当だ
なぁ なぁ… お菊
これで借りた2朱はチャラな
あれはあれ これはこれ
さぁ 仕事だよ
ふ~ん
それにしても もうかるんだな
献残屋ってのはな ハッ
♬~
♬~
♬~
♬~
よっしゃ
♬~
♬~
♬~
おぉ 待たせたな
かわいらしいな
お名前は?
(刺す音)
ウッ…
おい! ぬるいぞ!
≪へい≫
♬~
なら もっと熱い湯に
ご案内致しやすよ
血の池地獄ってとこなんすけどね
お前 何しやがる! おい!
♬~
(骨の割れる音)
フゥ…
ここんとこ
どうも眠りが浅くってな
おきゅうにしますか?
あぁ それとも…
針で
(鬼松)ああ じゃあおきゅうかな
さいですか
あっ けど 旦那さんの場合
針のほうが効くように
お見受けしやすがね
(鬼松)へぇ~ そういうことまで
分かんのかい そうかい
じゃあ 針にするわ
あっしの針は効きやすよ~
はい
(刺す音)
アァ… な… 何なんだよ…
(心臓の鼓動)
気持ちいいでしょう ねぇ
(心臓の鼓動)
おやすみ
ありがとうございました
ありがとうございました
お気をつけて
あ~あ
あらら? かごは?
帳場で聞いて参りますので
お待ちください
やっだ~ん
かごは俺が帰した
蘇我屋忠兵衛か
これは これは 町方の旦那
何かご用で?
何か私についてお調べですか?
でしたら 明日にでもお奉行所の
ほうへお伺いしましょう
私は何にもやましいことなど
ござんせんのでね
ああ 分かってる 分かってる
まぁ こっち こっち
いや こっちが
やましいことするんだよ
うん?
(刺す音)
悔しい 確かに悔しいですよ
許されるのであれば あんな
蘇我屋忠兵衛のような悪徳商人
この私がね この刀でね
バッサーッと一刀両断!
あっ!
こんなとこにいらっしゃった
どうしました?
蘇我屋忠兵衛が殺されました
一刀両断です
えっ!
(彦左衛門)
下手人は まだこの近くに
あぁ…
違う 違う 違う…
えっ? 私ではない 私ではない
いや 私ではない
ほんとにやってくれたんだ…
(清右ヱ門)近頃 献残屋として
金もうけを
始めたそうじゃないですか
いえ あれはあれっきりのことで
もうしません
ハッハッハッハッ… 弥吉さん
あんた まだ気付いてないのかい?
お前さんにはね 献残屋としての
才覚があるんだよ
思ったより簡単に
自分の手のひらに
金が乗ったろう?
それがお前さんの信用であり
才覚なんだよ
弥吉さん お前さんは
ただの手代で終わる男じゃないよ
それは お前さんも
気付いてるんだろう?
さぁ 食べなさい
♬~
お暇を頂きとう存じます
ここを辞めるってのか?
あっしは近く
独り立ちを
ちょうどいい機会かもしれんの
男の一念発起だ
へぇ~ そうかい
いよいよ本格的に
商いとして始めるか 献残屋を
(弥吉)へい
それでね
お世話になってるお得意さま
1軒1軒に
こうして あいさつ回りを
なすってるんですって
まぁ うちは お得意さまって
ほどのもんじゃねぇけどな
あっ そう そう
あんた お若いのに
結構な目利きやっていうやない
恐れ入りやす
これは私の亡き夫・
綾小路六助の形見として
肌身離さず
身に付けているものでございます
これには
どれほどの値打ちがあるか
あんたにはお分かり?
根付けでございますね
失礼致しやす
これは…
恐れながら あちこちの祭りの
露店で売られてるような
安物のまがい物でございます
えっ?
交換するとしましても
だんご1本ぐれぇの価値も
果たしてございますか…
みたらしか草だんごか…
失礼致しました
ハハハハハ… 弥吉さん 堪忍ね
私 あんたを試させて頂いたの
あんたの目利き 本物や
そう これはね お祭りの露店で
はした金で買うたもんです
あんたなら大丈夫
きっと商いはうまいこといく
私が太鼓判押してあげる
さぁ さぁ お茶いれましょうかね
おかわりね はい はい
(弥吉)失礼致しやす
ご苦労さん
(弥吉)へぇ
私…
うん?
あの弥吉さんは
信じられる人だと思う
どうしてそう思う?
だって 最初にうちにいらした時
1つの草履を
何度も何度も直して履いてる
物を大事にする人なんだわ
そういう人は信じられる
なるほどねぇ
♬~
身だしなみは
きちんとさせなさいと
後見人の上総屋さまから
申しつけられてございます
おいらの草履は?
(勘助)
もう あんなくたびれたわら草履を
履くような
ご身分ではないのですよ
親方さま
あなた方は金の卵なんです
蘭学・医学・薬学・
祈祷師・興行師
そして 献残屋
それぞれが人を助けること
人のためになること
人を楽しませること
それは すなわち
金になるんです
金があれば
何ができるとお思いですかな?
ハハハハ… 金があれば
何でもできるんです
どんな無理でも通るんです
それが世の中というものです
沢木知之助だ よろしく
あぁ よろしくお願い致します
弥吉です
俺は廻船問屋をやってんだが
去年から大阪の油を
直接買い付けて江戸で売ってる
まぁ 古いやり方の油問屋なんか
この先 やってけねぇだろうなぁ
はぁ…
(知之助)しかし 献残屋か
あんた いいところに目をつけたね
はぁ…
はぁ~あ
涼次さんにできるんですか?
献残屋なんて
バカ野郎 俺にはな
先見の明ってもんがあるんだよ
くる! この献残屋 必ずくるぞ
なぁ なぁ なぁ 買ってってくれ
新しくな 献残屋始めたんだよな
じゃあ
おい どこ行くんだ? お前
ほら あのやくざもんに潰された
深川長屋
ああ
住人総出で建て直しをしてて
それを手伝いに
あぁ~ ちょっ ちょっ…
それってのは なんだ? お前
金になんのか?
多少のお駄賃は頂けるそうです
あぁ そう
まぁ ここで こうしてるよりかは
行け ほら
あ~あ よく見ておけよ
俺は この献残屋でひと山当てる
なぁ まけちゃう まけちゃう
なぁ これ1つ
もう1個 まけちゃって…
涼次さん
あぁ?
字 間違ってます
♬「赤いの 赤いの どうじゃいな」
♬「赤いの 赤いの どうじゃいな」
みんな また
ここに住めるようになるね
そうだね
リュウさんも
ずっと手伝ってくだすってて
(リュウ)弥吉さんとおたねさんが
ここで祝言を挙げるって
約束してるから
1日も早くって
みんな頑張ってます
さぁ ご覧
えっ?
おっかさんの?
(弥吉)これでしっかり
お母さんの供養もできる
これだけは絶対にやらねぇとって
ずっと…
さぁ
これも すべてはおいらの後見人・
上総屋清右ヱ門さんのおかげだ
親方さま
今月の売り上げにございます
この売り上げの3割3分を
後見人の上総屋清右ヱ門さまに
お届けを
はい かしこまりました
(弥吉)あっしに この佐島屋を
買い取らせて頂きたく
このところ 油の卸しに関しまして
この江戸で勢いのある
廻船問屋が牛耳り始めており
こういった昔ながらの油問屋は
先行きが厳しく…
ここを買い取って
どうするつもりだい?
へぇ 実は
この馬喰町界隈に もう1軒
店を構えようと
考えておりますところで
ここを献残屋にしようってのか
てめぇ! そんなことが…
金次郎
弥吉 お前さんの言うとおり
この油問屋は もはや虫の息だ
気がかりは この金次郎をはじめ
ここに残った者たちの行く末
そのことについても
この弥吉が責任を持って
(彦左衛門)へぇ~ ずいぶんと
羽振りがよくなったもんですね
お世話になりました
いやいや…
今後ともよろしくお願い致します
あっ…
浅草で買ってきたんだ
おたねちゃんには
こっちのほうが よく似合う
ありがとう
これは もういらないね
あっ…
それと これ
あっ かわいらしい… えっ?
むき出しじゃあ やぼかと思って
弥吉さん これは?
これから もっと忙しくなる
会える時も少なくなるだろうから
せめて それで
うまいもんでも食って
新しい着物でも…
私は…
いいから
おいらは
もっと もっとでっかくなる
なってみせる
なんか その 「おいら」っていうの
そういうの弥吉さん
似合わない人になったね
おたねちゃん…
≪ここにいたのかい≫
あっ 金次郎さん
その様子だと おめぇの耳には
まだ届いてねぇようだ
えっ?
佐島屋の旦那が…
首をつった
えっ…
(金次郎)手代上がりのおめぇに
店を買い取るなんて言われたらよ
四代続いた佐島屋の旦那さまと
しちゃあ 立つ瀬もねぇ
生き恥をさらすくれぇなら…
ってことだったんだろう
…でよ あの 弥吉
はい…
ちょっと…
俺を… 弥吉さんの所で
使っては頂けませんか?
初めは 付き人からでも結構で
金次郎さん…
お願ぇします!
ちょっと そんな やめてくだせぇ
(清右ヱ門)弥吉さん
(弥吉)へぇ
こちらはね
かの将軍 家斉公の遠縁に当たる
雉子島家のお嬢さまで
ほのかさまとおっしゃいます
ほのかと申します
はぁ…
(清右ヱ門)ほのかさまはね
こう見えて
算術にもたけ
和歌もたしなまれるそうですよ
ハハハッ
「こう見えて」って…
なぁに? 清右ヱ門さん
これは これは
失礼をば致しました
ハハハハ…
フフフ…
(清右ヱ門)お嬢さま
冗談じゃありません!
あのお方に いいなずけが
いらっしゃるなんて
わたくし
聞いておりませんでした!
(清右ヱ門)あぁ それは…
いい恥さらしです
失礼致します
清右ヱ門さん
弥吉…
清右ヱ門さんの顔に
泥を塗ってしまったようで
申し訳ありませんでした
でも あっしは 一緒になる相手は
前から心に決めておりますので
どうか 今後このようなお話は…
私はね…
これからのお前のためを思って…
失礼致します
金次郎さん かごを
へぇ 表に待たせてございます
おそれながら…
献残屋弥吉の付き人を
やらせて頂いております
金次郎と申します
ふん…
♬~
(忠悦)手広く献残屋を始めさせた
その若いの
おぉ 弥吉のことでございますか
かなりの勢いで
大もうけをしているそうじゃな
はい おかげさまで
思ってた以上でございます
そこから3割3分が
おぬしの懐に入る
で その先の納まり所は…
忠悦さま ハハハハ…
ハハハハ…
清右ヱ門
はい
これは おぬしが依頼しておった
ご用地買い取りの証文だ
へぇ おぉ アハハッ アハハハハッ
さすが老中・諏訪守忠悦さま
なさることがお早い
ハハハハ…
ありがたや ありがたや ハハハ…
それでは 後ほど
1つ運ばせましょうの
1つ?
はい
100両か?
ハハハハッ 何をおっしゃいます
忠悦さま
わたくしは
上総屋清右ヱ門にござりまする
フフフフ…
1つというは 箱1つにござります
1000両!?
はい
(2人)アハハハ…
忠悦さまには…
老中首座どころか
ご大老になって頂きたく
思うておりまする
ハハハハ…
アハハハ…
そこで この清右ヱ門も
無心がございます
そのお腰に差されている
脇差しをひとつ…
これは当家に代々伝わる…
よいではござりませぬか
箱1つにござりまするぞ
オホホホ…
うっ…
やる!
あぁっ!
ありがたや ありがたや
その代わり わしのこともな
アハハッ 皆までおっしゃいますな
分かっておりまする
分かっておりまする
ところで その弥吉とやらには…
あの男 ここのところ
いささか増長が過ぎておりまして
この辺で少しばかり
きゅうを据えてやらねばと
思うておりまする
弥吉!
弥吉はどこだ!
おっ 弥吉!
吉森さま どうなされました?
どうなされたも
こうなされたもない!
この前 私がお前に託した
目利きのできる者に
確かめさしたところ
まがい物だったぞ!
えっ!?
えっ…
そんなこと…
いやいや そんなはずは…
あれは この弥吉が
しっかりと見極めを…
その品物を今一度…
今一度 この弥吉に
改めさして頂けませんか
うるさい!
誰がお前なんか信用するか!
間違いだ… 何かの間違いだ…
誰かが品物をすり替えたとしか…
先方の吉森さまとは
今さっき話はつけた
ハハッ
吉森さまはな 後見人の責任だと
相当な額をふんだくられた
しかしな 先方は
後見人である
この上総屋清右ヱ門の顔を立てて
まぁ これ以上の騒ぎは
大きくしないと
約束はしてくれた
ありがとうございます
ハハッ 弥吉 もうこの件はいい
まぁ 弥吉
お前ももう大店のあるじだ
この辺で名前を改めなさい
えっ 名前を…
どんな名がいいか…
≫失礼致します
うん?
試しに作りましたので お味見を
あぁ そうか
ハハッ えびの素揚げか
はい
あぁ…
ふん… えび…
フフッ 海老沢…
吉右衛門ってのはどうだい?
おいら 名字を頂けるんですか?
私は前にも言ったはずだよ
金さえ積めば
どんな無理でも通るって
えぇ? ハハハハハッ
ことに お上の連中にはな
ハハハハッ
はぁ…
弥吉
はい
あぁ 立ったまま 立ったまま
はい
もうちょっと そばへ そばへ
ハハハハッ
あぁ 立派になった ハハハハハッ
あっ…
ハハッ
ハハッ
(清右ヱ門)海老沢吉右衛門殿
これからのね お前さんは
そこらの町民にはない
箔というものが必要なんだよ
はぁ…
そこでだ
まぁ 今度のことじゃ
私もずいぶんと骨を折りました
その借りといっちゃなんだがね
その借りを返す
お気持ちはございますか?
あっ… もちろんでございます
私にできることがございましたら
何なりと
オホホホッ
ようやく 「おいら」ではなく
「私」と言えるようになったねぇ
さすがだ 海老沢殿
ところで 話なんだがな
例の深川長屋の一件なんだけどね
うん… あの…
蘇我屋さんが
あんなことになっちまって
いったんは頓挫したんだけどね
やっぱり私は
あの長屋は取り壊して…
色街にすべきだと思うんだがね
あっ…
(清右ヱ門)でな その仕事は…
海老沢さん お前さんに任せますよ
えっ しかし それは…
おい 何をためらってるんだい
たった今 自分にできることは
何でもしますと
その口が言ったじゃねぇか あぁ?
今のは 口から出任せか?
おい! はっきりせい!
あの~
おぉ!
これで
おぉ いいよ いいよ ハハハハ…
何だ? おい
小間物屋でもやってたのか?
みんな 同じかんざしじゃねぇかよ
ううん
私が文金堂のかんざしが
欲しいって言ったら
これたちがね 買ってきたの
「これたち」?
うん
まぁ これさえ着けてれば
あとは もういらないもんね
あぁ… ハハッ なるほどな
みんな 俺がやったかんざしだって
喜ぶってわけだ
そういうことです
大したもんだ
がらくたばっかね
やっぱ まるや行こう
じゃあね
おい ちょ ちょ… 姉ちゃん…
おい! ちょっと…
何やってんだ おめぇ
見りゃ分かんだろ
新しい商売やってんだよ
ここで店出したきゃ
奉行所に届け出しな
「届け出しな」
うるせぇ バカ野郎!
はっ…
あぁ~ あ~ やめだ やめ
(口々に)よっ!
よし 腰を入れてだ!
よし よし!
よ~し いいぞ いいぞ
よし ここに くいを打とう
はいよ!
はい いくぞ!
よし こい しっかり持った
よし ほい! はい!
涼次さん
献残屋のほうはいいんですか?
あのな ああいうもんには
向き不向きってもんがあんだよ
よいしょ ほいや! おい!
ご苦労さまです
やっちまったな おい
(弥吉)皆さんには
ここから出ていって頂きます
驚いた
あきれたよ
まさか 弥吉さんの口から
そんなこと聞かされるなんてよ
弥吉さん リュウさんも
毎日手伝ってくだすったおかげで
ここの建て直しが
ようやく済んだところです
なのに…
ここを買い取るから出ていけだ?
今後の…
皆さんの暮らしや住む場所は
この弥吉が責任を持って確保し
無償で提供させて頂きます
この江戸市中に
ここよりずーっと広く
住みやすい場所を
必ず… 必ずや用意させて頂きます
(悟助)それを
タダでやってくれるってのかい?
そうです
この私が皆さん全員の
この先の暮らしの保証を
させて頂きます
♬~
(悟助)みんな どう思う?
あの弥吉さんが
あそこまで言ってくれてるんだ
俺は
弥吉さんを信じてもいいと思う
≪俺も そう思う≫
≪俺もだ≫
弥吉さん どうしたの?
このたび わたくし名前を変え
海老沢吉右衛門と
名乗らせて頂くことになりました
よし 決まった!
≪(斬る音)≫
≪(騒ぎ声)≫
海老沢殿
あぁーっ! あぁ…
あっ…
涼次さん!
神竜組の連中か
とんでもねぇことしやがる
弥吉さんは 操られてるんです!
操られてる?
(おたね)後見人の
上総屋清右ヱ門さんっていう人に
(弥吉)
どうして あんなひどいことを…
みんなは 長屋を出ること
納得してくれたんです
この弥吉が
その後のみんなの暮らしを守ると
約束したんです!
海老沢殿
それが…
それが よけいなことなんですよ
よけいなこと…
(清右ヱ門)
今は お前さんが もっともっと
大きな人物になっていくための
大切な時だ
その大切な時に
むだ金を使うことはない
むだ金?
(清右ヱ門)この前
お前さんがご不興を買った
雉子島家のほのかお嬢さまだが
私がもう一度取り入って
頭を下げた
そしたら あと一度だけなら
会ってもよいとの返答を頂いた
将軍家との姻戚関係にある
雉子島家とのつながりを持てば
お前さんの商いは
もっともっと大きくなる
この江戸… いや 全国津々浦々…
もういいかげんにしてくれ!
海老沢吉右衛門!
お前さんは 賢い男だ
よーく考えることだな
えっ? また深川長屋が?
ええ たった今
この目で見てきました
深川長屋の住人 ほとんど全員
殺されてました
≪えっ?≫
≪全員?≫
≪あっ ご苦労さまです≫
またお上から同じお達しですか
深川長屋の一件
一切関わるべからずと
増村さま!
許しません…
もう絶対に許しません
どんなお偉いさんに
何を言われようが
本町奉行所の名に懸けて
われわれは われわれのこの手で
悪人どもをお縄にします!
(口々に)そうだ!
お縄にしましょう!
黙らっしゃい!
黙らっしゃい 黙らっしゃい
黙らっしゃい!
これから わたくし増村倫太郎
お城に乗り込みます!
抗議をして参ります
その結果 私が
腹をかっさばくことになろうと
そんなことは覚悟のうえ
この本町奉行所が これ以上
なめられるのは我慢なりません!
行きます! 止めてもむだです!
増村さま!
(拍手)
あっ…
ちょっと あの… 休憩…
増村さん
あれだけのお覚悟を
口にできただけでもお見事
見上げたもんです
渡辺さん…
悔しい…
私は本当に悔しいんです
こんなにまで
奉行所が無力だなんて…
増村さん…
ここは奉行所の面子にかけて
一矢報いたいところですよね
渡辺さん どちらへ?
帰ります
えぇ~?
渡辺さま!
あぁ…
渡辺さま
深川長屋の件だろう?
分かってるよ うるせぇな
下手人は神竜組の連中です
この目で見ました
どうして
奉行所は動かないんですか!
渡辺さま!
おい リュウ
こんな顔がいいだけの見廻り同心・
渡辺小五郎の表稼業に
力を貸す気はねぇかい
なかなか ままならねぇもんだなぁ
金次郎
へい
おめぇに任せていいんだな?
へい
何の話かと思えばよ
頭おかしくなっちまったんじゃ
ねぇか クソ役人
瓦屋の陣八郎さんには
断られました
金にならないことに興味はないと
当たり前じゃねぇかよ
あいつは そういう男だよ
…ってことは つまり
おめぇは あいつとは
違ぇってことだ
あぁ?
深川長屋の件
立て続けに二度も あれだけの騒ぎ
起こしたってぇのに
お上からの紙切れ1枚で
こちとら奉行所は
一切 手が出せねぇ
長ぇもんに巻かれて
なんぼだろうが
クソ役人稼業ってのはよ
けどよ 今度ばかりは
どうにも我慢ならねぇ
奉行所としての道理を
通さねぇことには
どうにも収まりがつかねぇんだよ
それで 渡辺さまは
私たちに何をしろと?
ちょい ちょい
何だ? その「私たち」ってのは
お前
突然 深川長屋を買い取ると
言いだしたのは
あの献残屋の弥吉だ
そうなんだろ?
はい
勝手に話進めてんじゃねぇよ
その弥吉を操っているのが
後見人の上総屋清右ヱ門という
人物だと
おたねは言っていました
恐らく その上総屋清右ヱ門が
裏でどこかの大物とつながってる
なるほど それで
涼次さんの例のあれですか
何だ? 俺のあれってのは
屋根裏の板を そーっと外して…
あのな…
上総屋清右ヱ門とつながりのある
大物を示す証文が欲しい
はっ この俺が…
クソ役人のために
ひと肌脱げってか
クソ役人には
できねぇ芸当だからな
(リュウ)それにしても こんなことに
巻き込まれてしまった弥吉さんが
ふびんでなりません
♬~
おっかさん…
私 どうしたらいい?
≪おい いたぞ!≫
♬~
待て こら!
なんまんだぶ なんまんだぶ…
≪どこだ!≫
おっ どこ行きやがった?
おい いたぞ!
おっ!
この あま…
どこ行きやがった!
捜せ!
弥吉さん! ハァ ハァ…
おたねちゃん
今 怖い人たちに襲われて
恐らく神竜組の連中だ
ここにいると見つかる
(弥吉)おいらが間違ってた
いつもずっと おたねちゃんが
そばで心配してくれてたってのに
おいら…
金を稼げば稼ぐほど
しがらみも増える
ただの橋渡し役をしてた頃に
戻りてぇな…
弥吉さん…
もう いっそのこと
死んじまおうかって…
もう何もかも嫌だ…
何もかも…
(おたね)だったら私も…
一緒についていく
弥吉さん… 手を…
あっ…
♬~
弥吉さん… ずっと一緒
ああ… おたねちゃん…
(刺す音)
弥吉さん… ありがとう…
(刺す音)
(おたね)弥吉さん… あっ…
♬~
まさか…
♬~
♬~
(清右ヱ門)♬「鞭声粛粛」
♬「夜河を…」
たった今
おたねを旅に出して参りました
ふん…
雉子島の ほのかお嬢さまが
お待ちかねだ
金次郎
へい
さぁ 吉右衛門さん こちらへ
あっ…
私は賭け事など一切致しません
ほんとに?
私 賭け事と乱暴者の男 大嫌い
ないです それは絶対にないです
フフフ…
ハハハハハ… ほのかお嬢さま
そういう点では その男には
太鼓判を押しましょう
ハハハハ…
まぁ 夫としては申し分ないかと
ハハハ…
それは… それは
少し言いすぎかもしれません
また~
あら?
これ どうなすったの?
あっ いや…
あぁ そう そう 善は急げ
お2人の祝言は
今月の9日 大安吉日
私の老舗神楽坂料亭だ
♬~
≪おたねちゃん≫
≪おたねちゃん≫
3日3晩 意識が戻らなかった
でも… 大丈夫だ
(連暁)あの夜 私が
あそこを通りかからなかったら
恐らく…
(連暁)物取りにでも襲われたか?
相手の顔は見たのか?
まぁ いい…
それにしても おたねちゃん
ほんとに弥吉さんのこと
思ってるんだね
「弥吉さん 弥吉さん」って
ずーっと うわごとのように
繰り返してた
♬~
♬~
♬~
お願いします
♬~
(おたね)晴らせぬ恨みを…
晴らしとうございます
♬~
♬~
(お菊)頼み人は深川長屋のおたね
いいなずけだった男を
仕事にかけてくれってのか
まぁ そういうこったね
♬~
(陣八郎)ふたを開けてみたら
とんでもない クソ弥吉に
成り下がっちまったってわけだ
ふん…
とことん笑えるな
人間ってやつはよ
それと
弥吉をその道に引きずり込んだ
後見人の上総屋清右ヱ門
弥吉を陥れた 付き人の金次郎
深川長屋の住人を皆殺しにした
神竜組の連中
それとだ…
上総屋清右ヱ門と
裏でつながってる
すべての黒幕はよ
ふん… ご老中の諏訪守忠悦
老中の諏訪守忠悦?
どうして そいつだと分かった?
はい はい はい はい はい はい
ほらよ
(リュウ)清右ヱ門の屋敷に
忍び込んだんですか?
クソ役人にはできねぇ芸当でな
ハハハハ…
間違いねぇ
上総屋清右ヱ門と
裏でつながってたのは
老中の諏訪守忠悦だ
上総屋清右ヱ門と
老中・諏訪守忠悦の
裏金つながりの真っ黒けの間柄が
ここに はっきりと書かれてる
どうすんだい? 八丁堀
これだけの証拠もそろってる
表稼業のご公儀で
落とし前をつけるかい?
今回はこれが望みなんですよね
八丁堀さんの
♬~
どうすんだ?
表でやんだったら
俺たち手ぇ引くぞ
おめぇら 世の中の仕組みってのが
よく分かってねぇようだな
老中が裏にいるとあっちゃ
話は別だ
表から攻めたところで
握りつぶされる
仮によ…
表沙汰になったとしても
せいぜいが島流しだ
偉ぇヤツほど命拾いしやがる
今夜の仕事は 刃こぼれが
ひでぇことになりそうだぜ
ハハッ そうこなくっちゃ
う~ん…
バカだねぇ クソ役人も
表稼業で手柄立てりゃよ
出世だって
できるかもしんねぇってのにな
あ~あ… あっ
あぁ…
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
≪(鐘)≫
あぁ…
何だ? 今の鐘は
あぁ… 五つだね 戌の刻
あぁ…
おい おい おい おい…
おい おい 着物 着物… 着物
何 慌ててんの!?
(陣八郎)仕事 仕事 仕事
♬~
≪今日のおめぇの女は
醜女だったなぁ≫
≪醜女は醜女でいいんだよ≫
≪ハハハハ…≫
遅ぇじゃねぇか おめぇら
なんだ てめぇ!
♬~
♬~
ハハハハハ…
顔出し1000両か 悪くないのう
フフフフ…
止まれ!
何だ? これは
「この先 道かんぼつ ちかみち」?
どうしたんだ?
はっ!
殿 道が塞がっておりますので
回り道を致します
海老沢の祝言に遅れてしまっては
元も子もない!
急げ!
(供侍)はっ
かごを回せ!
はっ!
♬~
行けるか?
なんとか
よし 邪魔なものは外そう
♬~
(供侍)慌てるな 慎重に進め
♬~
(供侍)
この天水桶をよけよう 急げ!
≪よし!≫
どうしたんだ 早く致せ!
今やっておりますから!
なんだ その言いぐさは!
おっしゃるとおりで 気をつけやす
貴様…
(刺す音)
急ぐことありやせんよ
あの世へは長~い旅だ
(心臓の鼓動)
あぁ…
(心臓の鼓動)
(供侍)よし 進むぞ!
いってらっしゃいませ
(供侍)急げ
≪おう≫
こっから先 地獄までまっすぐだ
殿 着きましてございます
(供侍)殿!
(口々に)あっ!
殿! 殿! 殿!
どうしました!?
どうした?
うわっ!
うっ… 何?
俺よ 金次郎ってヤツを
ぶっ殺してくれって
頼まれてんだけどよ
えっ?
会ったこともねぇヤツでな
なんとなくの人相しか
聞いてねぇんだわ
はぁ…
で… 金次郎ってのは おめぇか?
いや 違う… 違う
そっか 人違いか
ハハッ すまなかったな
金次郎!
はい! あっ…
違う… 違う…
違う…
(骨の割れる音)
ウッ!
≪(拍手)≫
子ども10人なんて
フッ…
あっ… えっ あやや~
えっ? 小田原から
わざわざ会いに来てくれたんだ
≪そうよ やっぱりおきれいだわ≫
特別なお料理です
どうぞ
えっ?
リュウさん…
(リュウ)忘れ物です
それは…
川で拾ってきました
(刺す音)
(弥吉)ウッ…
(歓声)
(拍手)
あら?
(清右ヱ門)♬「鞭声粛粛」
♬「夜河を過る」
♬「暁に見る千兵の」
♬「大牙を擁するを」
♬「遺恨なり十年」
♬「一剣を磨き」
ほう 剣舞ですか
はい
あぁ… これはお武家さま
町人風情が剣舞と
お笑いでしょうが ハハッ
これは わたくしのお座敷芸の
十八番でございまして
まぁ どこのうたげの席でも
大変喜んで頂いておりまする
そうでしょう そうでしょう
はい
いいなぁ 私もやってみよう
あっ いや… あっ…
あっ…
これは あの 今日の祝言で
みんなにやろうと思ってた
小判でございます
どうぞ… どうぞ
お受け取りくださいませ
あっ これじゃ足りませんかな?
あっ 足らないね 足らないな
あっ それじゃあね
あの お武家さま
あの そこの あの…
千両箱 1つお持ちください
あの箱を持ってって… と…
あっ… 足りませんね
足らないんだ 足らないんだね
じゃあ 拙宅へ行って あの…
あの うちへ行けばね
あの… 箱が
あの ああいう箱がね 5つ…
8つぐらいありますからね…
(斬る音)
あぁーっ! あっ…
(小判の音)
お互ぇ
地獄に金は持っていけねぇからな
♬~()
♬~
♬~
♬~
♬~
後を追うほどの男じゃねぇ
自分に 男を見る目がなかったと
いいかげん気付け
♬~
おたねちゃん…
先生…
≪尾張屋さん≫
はい!
≪かけそばを5つ≫
かけそば5つ! まいどあり!
よいしょ…
陣さん!
ちょっと いくら つけが
たまってると思ってんですか
分かってる 分かってる
ある時払いの催促なしってな
フフッ じゃあな あ~ 忙しい
ちょっと 陣さん!
ハハッ
いいねぇ いいなぁ おいおい
ハハハハ…
はい 手間賃
お~ ありがとよ ありがとう
ハハハハ…
お~ 涼次さん
あぁ?
餅は餅屋ですね
当たり前だよ 俺は経師屋だぜ
経師屋といえば涼次
涼次といえば経師屋だ ハハハ…
ただいま戻りました
(てん)ほんまに
ふくが ふびんで ふびんで
こう姉ちゃんが よう言うてた
ふくは とことん
男を見る目がなかったって
ねぇ お姉ちゃん
そうかなぁ
大体 婿養子に入るいうことは
すなわち
そのうちの跡継ぎを作るため
それすらままならん あの婿殿に
婿殿として
何の値打ちがありますか!
でもね 小五郎さんってね
お顔はね いいと思うんです
ふく!
(ふく)はい
(てん)
あんた それやからあかんのよ
そばでも食いに行くか
(てん)あっ!