土塀を守ってきた薦を取り外す職人=9日午前10時40分、金沢市長町1丁目
9日の石川県内は高気圧に覆われて晴れ、青空が広がった。朝方は放射冷却現象のため金沢を除く10観測地点で氷点下を記録したが、日中は気温が上昇し、正午までの最高気温は金沢13.4度、輪島13.3度と3月下旬から4月上旬並みの穏やかな陽気となった。
金沢市の長町武家屋敷跡では冬の間、雪から土塀を守ってきた薦(こも)を取り外す作業が始まり、城下町の春支度が着々と進んだ。
稲わらを編んだ薦は、土塀に浸透した水が氷結することで起こる損傷を防ぐ。幅3.6メートルで、総延長約1.1キロに約500枚が掛けられていた。作業には金沢職人大学校の実習生や卒業生、県造園業協同組合の職人ら約40人が参加し、薦をつるす縄をはさみで手際よく切り、リヤカーに載せて運んだ。
同組合の吉村務理事長によると、暖冬だった今季は雪が少なく、薦や土塀に傷みはほとんど見られないという。取り外し作業は10日も行われる。