大改装されたZOZOマリンスタジアムのお披露目試合だった。計302席を増設した「ホームランラグーン」により、外野は最大4メートル前に寄り、フェンスも低くなった。目的は新たな顧客の獲得だが、結果として本塁打が増え、三塁打は減る。ファウルエリアも狭くなったため、投手には受難の改装になる。
前にも書いたが本塁打は野球の華。ファンは待っている。昨季の中日は、リーグ5位の97本塁打にとどまった。「ナゴヤドームは広いから」。確かに日本屈指のピッチャーズパークが本拠地だ。しかし、この数字だけで問題の本質は見えてこない。昨季の被本塁打はリーグワーストタイの149。巨額の赤字解消こそが、チームが取り組むべき課題である。
2017年も16の赤字、16年が26、15年が20・・・。最後の黒字は13年(本塁打111、被本塁打110)までさかのぼらねばならない。ちなみに昨季の両リーグAクラスで、赤字だったのはヤクルト(8)のみ。同じ条件で戦うのだから、強いチームは打った数が打たれた数を上回るものだ。
打者は増やし、投手は減らす。同じ課題に直面しているのが韓国のサムスンだ。昨季から復帰した落合英二投手コーチが、まずは膨大な与四球数の削減に成功したところまでは書いた。しかし、ゴールはそこではない。「次のステップは2月の沖縄で書く」と予告しておきながら、紙面の都合で延びていた。
「今年はホームランを減らします。具体的には打ってくれた数より下回るのが目標です」。サムスン投手陣は185本打たれ、赤字は39。一発削減への落合コーチの指示は明快だ。
「高めに投げろ。その意識を植え付けているんです」。低めではなく高め。フライボール革命がすでに低め一辺倒を打ち砕いた。力のある球を高めに投げきる。球場の広さが変わるように、時代が移れば野球も動く。投打の歯車を示す大事な指標。何としても6年ぶりの黒字回復を-。