急にめっきりと秋の気配がただよう中、2本の素敵な映画に出会うことができました。ひとつは、現在公開中の「ミス・ポター」。そして、もう1本は「ラブ・アクチュアリー」です。
「ミス・ポター」は、パリに行った折、街のいたるところで特大ポスターが掲げられており、非常に懐かしい思いで見に行くことができました。ピーター・ラビットの絵本で知られる原作者・ベアトリクス・ポターの生涯と恋を真摯に描いた作品です。監督が「ベイブ」の方なので、ピーター・ラビットの世界も生き生きとした驚くべきVFXで描かれています。
いちばんのポイントは、やはり、生涯忘れ得ぬ人となった編集者・ノーマンとの恋でしょうか。20世紀初頭のイギリスの上流社会の中にあって、恋をつらぬくことの苦しさ、階級社会の複雑さ、女性の自立というテーマを、美しい映像の中で、丁寧に追っていく姿に大変好感を持つことができました。また、編集者と作家の関係とその連携の大事さも、真正面から見据えています。ポターという女性は、ピーター・ラビットの原作者であることにのみならず、環境保護にも大変熱心であったという、(ヨーロッパの人ならご存知なのかもしれないのですが)非常に、時代を先取りし、勇気をもった女性だったということがこの映画の中で記されています。レニー・ゼルヴィガーが、つねに微笑みを絶やさず、希望を失わない魅力的な女性像を作り上げており、湖水の美しさ、動物達の愛らしさ、ロンドンの街の、重厚かつ上品な味わいとあいまって、すばらしい効果を生んでいる、と感じます。ぜひたくさんの方にご覧いただきたい作品だと思います。公式HPはこちらから。
http://www.excite.co.jp/cinema/miss-potter/
もう1本の映画は、「ラブ・アクチュアリー」。すでに公開済みですが、CS放送でオンエアされていたので、遅まきながら見ることができました。こちらは現代のロンドンが舞台。さまざまな愛が交錯し、それぞれが、「愛」に振り回されながらも、クリスマスに向かって、素敵な愛と恋と友情を築き上げていく、素敵でささやかだけれども奇跡の溢れている作品です。いちばん私自身が気に入っているのは、英国首相(ヒュー・グランド)が、ずっと秘書に夢中になっている、その焦りっぷりのチャーミングさでしょうか。イギリス映画界・演劇界を代表するスターたちが、「愛」の美しさ、悩ましさを語る姿は、実に素敵です。DVD版の公式ページはこちらからです。
http://www.universalpictures.jp/sp/loveactually/
高校生のころ、イギリスのチェルトナムというところにいたのですが、そのころの懐かしい思い出とともに、この2本の映画は私の心の中に大切にしまわれる作品となりそうです。
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