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バイコム誕生物語。by米田会長インタビュー その②

2019.02.26
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前回は米田哲さんが、事業を始めるきっかけについてお話されました。

今回はいよいよ行動に移ります。

 

その後、様々なアプローチをされたとお聞きしました。

 

最初は様々な書物を図書館などで調べていましたが、まったくわからずじまい。

インターネットでも調べてみたが、金魚がほとんどで観賞魚、とくに海水のものはなかった。

もう日本だけで調べても出てこないので、アメリカのサイトを検索してみた。

そうすると結構あるんです。魚毒やアンモニアなんかが出てきた。

水が澄んでいても魚が出す尿やフン、餌カス等が出る。

その中でもアンモニアが問題だと。ではアンモニアは自然界ではどうなっているのだろうと思い、

アンモニアに関する情報を調べていった。しかし水産系の情報では全く出てこない。

あったのは唯一農学系の土壌生物としてアンモニアを分解する硝化菌が出てきた。

それ以外では、まったく出てきませんでした。

しかし、土壌細菌ではどうしようもないなと。それだけではなく様々な研究機関や大学の論文等を調べた。そうするうちに水処理の中に土木の研究で大阪大学辻田グループという大学院の研究室が水質環境工学の水処理、硝化菌の応用処理を研究されていた。その時にお会いできたのが、古川憲治先生。当時、硝化菌研究の日本のトップの方でした。

硝化菌は培養できる菌じゃないというのは、どの教科書を見ても不可能、もしくはきわめて困難とある。極めて困難と言うのは学術用語では不可能という意味。

もしそれが出来れば自分の夢もかなうし、自分と同じようにこの菌を欲しがる人もいるのじゃないかと。

で、培養に取り組んだわけです。

菌といっても色んな菌がいます。今こうしている空間にも何百億という菌がいるわけです。その菌を単独で培養しようというのも99%くらいは無理。それは今も当時も同じです。

 

当時はどのような形で研究されていたのですか。

 

私は割と時間の自由がきいたので大阪大学の大学院に入学し、半年間、古川先生の教室に通わせていただき、培養の基礎を学ばせていただいた。その後、三田にプレハブを建て、そこを研究棟にしました。最初は電気、水道もなく、電話もなかった。電気は関西電力に連絡すると3日くらいで電気を引いてくれました。ガスはプロパンがある。一番難しかったのは水道。結局、農地をお借りした農家さんから引かせていただいた。その代わり、水道代はそこの農家さんも含め、全て支払わせていただきました。

水がないと培養が出来ませんから。それで何とか出来る形を作り、一人で研究を始めました。

最先端を走ろうとすると誰にもアドバイスをしてもらえない。聞いても誰も知らない。

自分が知っている以上のことは誰も知らない。だから複数いてもしょうがない。

結局、一人でやらないと仕方がなかったんです。

で、一人きりで2、3か月、あーでもない、こーでもないと様々な薬品、様々なものを毎日研究し、

ようやく菌を得る培地が、出来上がりました。

 

とうとうバイコムの硝化細菌の誕生ですね。

 

硝化細菌が比較的やりやすかったのは、植物と一緒で独立栄養と従属栄養があり、

ほとんどの物は我々と同じ従属栄養で、他人の作った栄養を分捕って食べる。

しかし独立栄養というのは植物と同じで、ほとんど自分で必要なものは光合成で作り出す。

水と二酸化炭素、光さえあれば。

菌もそうなんです。硝化菌は独立栄養細菌。違うのは植物のように光合成ではなく、必要なのが化学栄養、それがアンモニアなんです。アンモニアをエネルギー源にして、二酸化炭素さえあれば、増殖できる。

最終的に培養ができたのはアンモニアによって生かされる菌が硝化菌しかいないからなんです。

それ以外の菌は生きていけない。

まずプレエレメンツをそろえる、植物と同じで混合してあとはpH。硝化反応というのはどんどん酸性に傾いていく上に、二酸化炭素を吹き込んでやるとpHが下がるんです。硝化反応でpHが下がっていって、ある時点で反応が止まってしまいます。だから培養が出来なかったんです。それをどうやって二酸化炭素を与え、どうやってpHを上げるか。魚を入れるとpHが下がる。二酸化炭素の濃度を上げながら、pHを上げていく化合物を探して、ようやくたどり着いたのが、現在のバイコムの硝化菌です。

特許を取得するのも大変だった。特許事務所の弁理士に理解してもらえないというのが一番つらい。

書類もほとんど私自身で書いていました。そしてようやく知人の弁理士に依頼して特許を取得することができました。

 

今回はここまで。続きは次回をお楽しみに。

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