HER2タイプの私が、なぜ、現状、対象が
トリネガだけの免疫チェックポイント阻害剤
を調べているかといいますと、
再発転移時にHER2でなく、トリネガの
可能性もあるので。
それと、適応がトリネガだけなのか、
HER2に拡張される可能性もあるのか、
よく分かっていないので。
現在、免疫チェックポイント阻害剤として
実用化され認可されたり、臨床試験されて
いるのは、ざっと、以下かな、
と思われます。
・抗CTLA-4
イピリムマブ(ヤーボイ)
トレメリルマブ
※免疫細胞は、樹状細胞からがん抗原の
提示を受け、それを目印にがん細胞を
攻撃する。
(前の、調べたこと記事をご参照下さい)
ところが、抗原提示を受ける際、
免疫細胞のCTLA-4に樹状細胞のB7
というタンパク質が結合すると、
逆に免疫細胞の働きが抑制され、
がん細胞を攻撃できなくなってしまう。
そこで、CTLA-4に結合してB7との結合
を防ぐのが抗CTLA-4抗体。
・抗PD-1
ニボルマブ(オプジーボ)
ペンブロリズマブ(キイトルーダ)
・抗PD-L1
アテゾリズマブ(テセントリク)
デュルバルマブ
アベルマブ
※がん細胞は、免疫細胞からの攻撃を
逃れるために、
PD-L1というタンパク質を出し、
これが免疫細胞のPD-1に結合すると、
免疫細胞の働きが抑制される。
抗PD-1抗体は免疫細胞のPD-1に結合し、
PD-L1との結合を阻害する。
抗PD-L1抗体は、がん細胞が出すPD-L1
に結合し、PD-1との結合を阻害する。
▼小野薬品工業/
プリストル・マイヤーズ スクイブ
●ニボルマブ(オプジーボ)
※現在、承認済の保険適応は5適応
ー 悪性黒色腫(メラノーマ)
ー 非小細胞肺がん
ー 腎細胞がん
ー ホジキンリンパ腫
ー 頭頚部がん
※2016年12月、胃がん適応申請中。
※現在、8適応で第Ⅲ相臨床試験実施中。
ー 食道がん
ー 胃食道接合部がん
ー 小細胞肺がん
ー 肝細胞がん
ー 膠芽腫
ー 尿路上皮がん
ー 悪性胸膜中皮腫
ー 卵巣がん
※子宮頚がん、子宮体がん、リンパ腫、
胆道がんなどで、第Ⅰ相臨床試験中。
▼プリストル・マイヤーズ スクイブ/
小野薬品工業
●イピリムマブ(ヤーボイ)
※現在、承認済の保険適応は1適応。
ー 悪性黒色腫(メラノーマ)
※現在、2適応で第Ⅲ相臨床試験実施中。
ー 非小細胞肺がん
ー 小細胞肺がん
▼小野薬品工業/
プリストル・マイヤーズ スクイブ
●オプジーボ + ヤーボイ 併用
※現在、6適応で第Ⅲ相臨床試験実施中。
ー 腎細胞がん
ー 非小細胞肺がん
ー 小細胞肺がん
ー 頭頚部がん
ー 胃がん
ー 悪性胸膜中皮腫
オプジーボで承認済の適応にヤーボイ
を追加するって感じでしょうか。
オプジーボ単体の第Ⅲ相臨床試験で
期待ほどの結果が出なかったし、、。
※現在、悪性黒色腫でも第Ⅱ相臨床試験中。
▼米メルク/MSD(+大鵬薬品工業)
●ペンブロリズマブ
(キイトルーダ)
※現在、承認済の保険適応は2適応
ー 悪性黒色腫(メラノーマ)
ー 非小細胞肺がん
ファーストライン(PD-L1発現率≧50%)
セカンドライン(PD-L1発現率≧1%)
※ご記憶に新しいと思いますが、
非小細胞肺がんのファーストラインを
対象とした臨床試験で、
「オプジーボ」が化学療法に対する優越性
を示せなかったのに対し、
「キイトルーダ」はPD-L1高発現の患者で
無増悪生存期間を有意に延長。
※ 2016年12月ホジキンリンパ腫、
2017年4月尿路上皮がん、適応申請中。
※現在、8適応で第Ⅲ相臨床試験実施中。
ー 乳がん
ー 胃がん
ー 頭頚部がん
ー 多発性骨髄腫
ー 食道がん
ー 肝がん
ー 腎細胞がん
ー 大腸がん
※ 胃がんの適応では、厚労省が2015年度に
導入した「先駆け審査指定制度」
(重篤な疾患に対する革新的な治療薬で、
日本で世界に先駆けて申請される新薬を
審査期間の短縮などにより優遇する制度)
の対象品目に指定されている。
乳癌に対して指定されていないのは、
米国等では承認済ってことかな?
(すみません、ちょっと、そこまで
調べきれていません)
※ MSDは2016年4月、大鵬薬品工業と
「キイトルーダ」のコ・プロモーション
契約を締結。
※ 臨床試験や申請戦略は(ビジネス的にも)、
プリストル・ マイヤーズ/小野薬より、
メルク/MSD(大鵬薬)の方が上のような
気がするのは気のせい?
(罹患患者数の多いがんを優先対象に
してるオプジーボに遅れをとったのの
挽回戦略かな)
乳がんも入ってるし。
※ 乳癌の臨床試験ついては、前の記事
「2016/12/12 キイトルーダ(メルク社
/MSD) トリネガ乳癌
第1相臨床試験結果 」をご参照下さい。
(第Ⅲ相試験内容についても触れています)
▼ロシュ/中外製薬
●アデゾリズマブ
(テセントリク)
※現在、承認済の適応なし。
※2017年2月、非小細胞肺がんの適応で
申請中。
(前の記事を合わせてご参照下さい)
※現在、9適応で第Ⅲ相臨床試験実施中。
ー 非小細胞肺がんアジュバント
ー 小細胞肺がん
ー 尿路上皮がん
ー 筋層浸潤膀胱がん
ー 腎細胞がん
ー 腎細胞がんアジュバント
ー 乳がん
ー 卵巣がん(開始)
ー 前立腺がん(開始)
※膀胱がんの適応でも2017中の申請を予定。
2018年に乳がんと腎細胞がんの
適応も申請予定。
ハーセプチン、パージェタ、カドサイラ
のロシュ/中外製薬さんだから、
ロードマップ通り、申請してくれるん
じゃないかな、と私は期待しています。
※アジュバントが入っているところが
ロシュ/中外製薬さんの上手いところ
ですよね。
乳癌のアジュバントが入っていないのは、
第Ⅰ相試験の奏効率が10%と低かったから
かな?
カドサイラ+パージェタは転移性の結果
が出る前にアジュバント始めたものね。
▼英アストラゼネカ
●トレメリルマブ(抗CTLA-4)
●デュルバルマブ(抗PD-L1)
※現在、承認済の適応なし。
※PD-L1とCTLA-4という異なる2つの
免疫チェックポイントに対する開発品を
併用する臨床試験を実施中。
※現在、第Ⅲ相臨床試験中の適応は、
ー 非小細胞肺がん(デュルマルバブ単剤)
ー 非小細胞肺がん(併用、3rdライン)
ー 非小細胞肺がん(併用、1stライン)
ー 頭頚部がん(併用、2ndライン)
ー 頭頚部がん(併用、1stライン)
ー 膀胱がん(併用、1stライン)
※現在、第Ⅱ相臨床試験中の適応は、
ー 胃がん(併用、2ndライン、1stライン)
ー 肝臓がん(併用、2ndライン)
※現在、第Ⅰ相臨床試験中の適応は、
ー 非小細胞肺がん
(デュルマルバブとイレッサ併用)
※アストラゼネカですものね。
イレッサ併用は考えますよね。
ということは、ロシュもハーセプチン
との併用も考えるのかな?
▼米ファイザー/独メルク
●アベルマブ(抗PD-L1)
▼エーザイ(キイトルーダ)
●「レンビマ」「ハラヴェン」(エリブリン)
とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)
※乳癌の臨床試験結果(中間報告)に
ついては、前の記事
「2016/12/12 キイトルーダ
(メルク社/MSD)
トリネガ乳癌 第1、2相臨床試験結果」
をご参照下さい。
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