非常識?韓国好きの日本人女性が黒マスクで仕事場に行ったら、上司に注意された

「外国では黒いマスクをつけていても何も言われない。日本の感覚が非常識」

  仕事で知り合った20代後半の女性が食事の席で酒を飲みながら声を荒げていた。「思い出しただけで腹が立ちます。上の世代の人は感覚が古いんですよ。白いマスクのほうがダサいじゃないですか。なんで怒られなきゃいけないのか意味が分からないです」。

 

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 女性はある大手企業の受付嬢として働いている。話を聞くと、通勤で会社に向かう途中で最寄り駅から黒いマスクをして歩いていた際、出くわした50代の男性上司に「黒いマスクなんてみっともないからやめろ。お客さんが見たらどう思う?同じ会社の人間としても恥ずかしい」と注意されたという。女性は通勤の時だけ黒いマスクをつけて、勤務中は外すつもりだった。「外国では黒いマスクをつけていても何も言われない。日本の感覚が非常識だと思います」と怒りが収まらない様子だった。

 

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 強盗と誤解されることも。世界各国の様々なマスク事情

 

 マスクについて調べると、実は世界各国で捉え方が全く違うことに驚かされる。欧米や中南米ではマスクをつける人がほとんどいない。医療関係者や工場の従業員が仕事の時に使うぐらいで、散歩中にマスクをしている人間は「強盗ではないか?」と誤解されることも。マスクをつける文化が定着しているのはアジアだ。東南アジアや中国、韓国など東アジアでは排ガスに含まれる悪臭を吸わないよう、オートバイに乗る際はマスクの着用が一般的な地域もある。生活必需品という位置づけだ。

 

 アジアではマスクをつけることが浸透しているが、色に関しては認識が全く違う。日本では白いマスクが一般的だが、他国は白いマスク=病人のイメージが強いという。東南アジアはピンクなどカラフルなマスクを着用する人が多い。一方で中国は大半の人が黒いマスクをつける。鹿晗(ルハン)という男性の人気俳優が黒いマスクを着用したことで大流行になったと言われている。汚れが目立ちにくいという理由でも黒が支持され、中国人が白いマスクをしているケースはほとんど見ない。

 

 韓国は元々マスクを着用する人は少なかったが、15年に中東呼吸器症候群を引き起こすMERSコロナウィルスの感染が拡大したのをきっかけに使用者が急増。近年はソウルなど都市部で大気汚染が深刻な問題になっていることから、着用率が高まっているという。黒いマスクが人気になったのはK-POPアイドルや韓流スターの影響が強い。彼ら、彼女たちの黒いマスク姿がファッションとしておしゃれで小顔効果があると支持され、若者の間で流行に火が付いた。韓国国内にとどまらない。日本でもK-POPファンを中心に着用する人が一気に増えた。前述した受付嬢の女性もK―POPの大ファン。韓国には毎年数回旅行に行っている。好きな韓国人の女性アーティストが黒いマスクを着用した姿にあこがれ、昨年から着けるようになったという。

 

    マスクメーカーに直撃取材

  調べると、どんどん興味がわいてきた。マスクメーカーのビー・エムシー(東京都千代田区)は17年秋から、小売店の要請で「活性炭入り黒マスク」の販売を開始したという。担当者に話を聞いてみた。

 

――黒マスクを販売したきっかけは?

「訪日外国人の方が増えて、『黒いマスクが欲しい』と小売店から要望がきたのが大きなきっかけですね。特に外国人観光客が多い東京の浅草、大阪の心斎橋でよく売れています。当社はネット販売を行っており、最近は日本の若い世代のお客様が購入する機会が増えています」

 

――実際の売り上げはどれぐらいですか?

「正確な数字がまだ出ていないのではっきりとは申し上げられませんが、売り上げが年々伸びているのは間違いありません。黒いマスクについてのメディア取材も増えました」

 

――黒いマスクと白いマスクで性能の違いはありますか?

「使っているフィルターの性能は同じですが、当社の製品は白いマスクが3層構造に対し、黒いマスクは活性炭を入れた4層構造になっています。活性炭を入れることで保温、保湿効果が持続して、においを遮断することに優れています。当社のユーザーの方から『黒いマスクで出歩いたら排気ガスのにおいがしなくなり、ストレスが減った』という意見を頂きました」

 

――黒いマスクに抵抗を感じる日本人も少なくないですが

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「もちろん、それは承知しています。当社は白いマスクを売っていますが、売り上げは白いマスクの方が断然多いです。ただ外国人の方を中心に黒いマスクがほしいという声も多い。ニーズに応えたいという気持ちで販売しています」

 

 黒いマスクの評判は年齢層で線引きできない

 

 白いマスクが主流の日本では年齢層が高い世代ほど、「気持ち悪い。不気味」と見慣れない黒マスクへの抵抗感が強い。女性を注意した男性上司も同じ気持ちだったのだろう。ただ、高い年齢層=白マスクを支持、若い年齢層=黒マスクを支持と簡単に線引きする話ではない。お世話になっている40代の管理職の男性に聞くと、「黒マスクは勤務中でなければ問題ないんじゃない?」と抵抗感はない。一方で、K-POPが好きな他の女性は「韓国では白いマスクをしている人もいる。私の好きなアイドルは黒いマスクをしていないし。私は白いマスク派です」と話していた。

 

 一過性のブームか、黒いマスクが何の抵抗もなく受け入れられる時代が日本に来るのか。後者だったら上司に注意された受付嬢の女性も大喜びだろう。その時に黒いマスクに飽きていなければの話だが…。

 

(フリーライター 村野ショータ)

 

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