「源義経＝チンギス・カン」説が成り立たないその決定的な根拠 とされているもの...

逆です。
成り立つ証拠を出すべきです。

まず決定的な証拠は、本人が出自を述べたという事例があるかということでしょう。
史実ではありません。
次に傍証としては周囲の人が「そう言っているのを聞いたことがある」でしょう。
全くその事実はありません。

義経＝ジンギスカン説はコジツケです。
決定的な証拠どころか状況証拠すら「さては！」というものはありません。
ヨシ成って水干思うが、ヨシツネの野望が成就して静御前を思い出すという噴飯ものの証拠を持ち出さなければならないほど、義経＝ジンギスカン説はむちゃくちゃなのです。

たとえばテムジン一人ならともかく正室のボルテは？
ボルテの産んだ四人の嫡子は？
またテムジンの一族郎党は？
モンゴル四天王のジェペ、ジェルメ、スブタイ、ノヤンは？
こうした人たちは忽然と歴史に現れて来たのでしょうか。どこからか沸いて出てきたのでしょうか？

元々｢チンギス=ハン｣とはモンゴル語で｢偉大なる草原の王｣を意味する形容詞で、固有名詞ではありません。
従って｢チンギス=ハン｣をあたかも個人名のように扱っている時点で、モンゴルの事もチンギス=ハンの事も分かっていないと言っているのと同じ。
困った事に、｢源義経＝チンギス=ハン説｣を肯定している人に限ってこの手の間違いが多いんですよね。

又、チンギス=ハンハン中国語表記では｢成吉思汗｣と書き、これはモンゴル語の音写(当て字)です。
この｢成吉思汗｣を日本語読みしたのが｢ジンギス･カン｣や｢チンギス･カン｣になる為に｢ジンギス･カン｣や｢チンギス･カン｣では言葉としての意味が全く通じない。
｢源義経＝チンギス=ハン説｣はモンゴルとの国交が全く無かった江戸時代初期に成立した説話ですが、間違いが全く訂正されないまま流布された説話となります。

｢大陸の覇者が日本人｣と言うのは日本人にとってはロマンのある話なのでしょうが、現地で全く通用しない呼び名が平気で流布されている説話に信憑性など存在しない。
他の回答者さんも指摘されているように｢源義経＝チンギス=ハン説｣を否定出来る根拠はいくつも存在しますが、最初から間違っている説話に信憑性はありません。

ちなみに、歴史的に言えば｢源義経＝チンギス=ハン説｣は江戸時代初期の詐欺師･沢田源内が自分が水戸藩に奉公する為にでっち上げた偽の歴史書が始まりです。
モンゴルはおろか、北海道や岩手にさえ行った事が無い人間が適当に書いた歴史書に真実など存在しない。
｢源義経＝チンギス=ハン説｣の肯定者は史料を捏造してでも説話を肯定しているくらいです。

義経が日本にいたころから、チンギス・ハンがモンゴル高原で活動していることです。

チンギス・ハンの即位は1206年ですが、チンギスはそれよりもずっと以前から活動しています。

チンギスの事績で年代を伴って語られるのは、1190年頃と言われる「十三翼の戦い」位からです。この時点でチンギスは草原を代表する勢力の一つになっていました。
1189年に死亡した義経が、実は生きていて大陸に渡ったとして、言葉すらわからない異邦人が、せいぜい1・2年程度でそのような勢力を築く事は不可能です。

また、正確な年までははっきりしないものの、十三翼の戦い以前にも、チンギスについては、
・幼いころに父が殺され、部族の者に去られて母と兄弟のみになってしまったこと。
・タイチウト族に捕らえられ危ういところを脱出したこと。
・徐々に勢力を蓄え、ボルテと結婚したが、メルキト族に襲われボルテを奪われたこと。
・ジャムカやトオリル・ハンの協力を得てメルキト族を打ちボルテを奪還したこと。
などなど、若いころからの事績が多く残っており、その活動期間が1189年以前に遡るのは疑いようがありません。

同じ人物がモンゴル高原と日本で同時に活動することは不可能ですので、「源義経＝チンギス・カン」説は完全に成り立ちません。

年代的なズレは少ないのですよ。義経が衣川で自刃した、といわれているのは1189年、チンギス-ハーンが即位したのは1206年ですから、約17年後。大陸に渡り力をつけてモンゴル統一するには適当な時間ではありませんか?
ただ、義経=チンギス-ハーン説の重要な根拠である北行説の中には1205年までのものがありますから、北行説を信頼すると間に合いませんね。