三重城下町ホテル開業へ連携協定 伊賀市、JR西日本と社団法人ノオト
伊賀市とJR西日本、一般社団法人ノオトなどは七日、市中心部の空き家を活用した「城下町ホテル」開業に向けて、連携協定を結んだ。生涯学習施設「栄楽館」を含む古民家三棟をホテル、レストラン、カフェに改修し、二〇二〇年のオープンを目指す。国内外の富裕層をターゲットに「忍びの里ならではの上質な宿泊体験」ができる施設にしたいという。 ノオトは兵庫県篠山(ささやま)市など十六自治体で古民家などを活用したホテルを運営している。こうしたノウハウを活用して、旅館や材木商だった二棟を改修する。伊賀市は所有する栄楽館を手掛ける。JR西は系列の旅行会社などと連携し、鉄道乗車券とセットになった日帰り食事プランを企画する。 協定締結式で岡本栄市長は「それぞれが持つ強みを生かし、ないものねだりではなく『あるもの生かし』で地域に果実をもたらしたい」とあいさつ。ノオトの藤原岳史理事は「空き家を単なる課題ではなく資源として活用していく。住民のみなさんに寄り添い、交流人口を増やしていけたら」と狙いを説明した。JR西創造本部の水田整(せい)部長は「雇用が生まれ、地域が活性化していくことは重要。両者と連携し、たくさんのお客さまをお連れしたい」と話した。 市によると、昨年十二月末現在、市内の空き家総数は二千百六棟に上り、15%の三百二十一棟が城下町エリアに集中している。市は移住政策に力を入れているが、駐車場スペースの確保や下水道整備などの課題があり「旧町村部に人気が集まりがち」という。このエリアに施設を点在させることで、観光客を周遊させる狙いがある。 ◆栄楽館改修費 収益性に疑問市議会から声
伊賀市は二〇一八年度三月補正予算案に、栄楽館の改修費として八千五百万円を盛り込んだ。宿泊施設(三室)、フロント、レストランを整備し、市民らを集めて新設する「特別目的会社(SPC)」が運営する方針。これに対し、市議会からは「税金をつぎこんで、本当に収益をあげられるのか」と疑問の声が出ている。 市は六日の議員全員協議会で、ノオトの試算を提示した。それによると、栄楽館を含む三棟の運営は、初年度は百六十万円の赤字だが、二年目からは四割程度の稼働率でも黒字に転じている。 一方、議員から「一人一泊一万六千円のホテル、八千円のディナーを求めて客は来るのか」「市に入る賃料はいくらになるのか」などと指摘が相次いだ。市は改修費のうち四千三百万円を国の交付金でまかなう考えだが、三月議会で予算案が可決されなければ一八年度中の申請は難しいという。市は「いったんだめなら、後がない」と改めて議会へ説明する予定。 (飯盛結衣) 今、あなたにオススメ Recommended by PR情報
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