日本発のトレンドとして世界から注目されるVTuber(バーチャルユーチューバー)。多くのプレイヤーが参入し、資金調達も活発に行われています。どのような事業領域があり、どんなプレイヤーが牽引しているのか。解説します。

3月13日(水)秋葉原にてVTuber特集の出演者を招いたイベント「Media Innovation Meetup #2」 も開催します

VTuberとは一体何者か?

YouTuberは既にご存じの方も多いかと思いますが、YouTubeに自らが出演する動画を上げ、人気を集めている人たちを指します。出演者のキャラクターや、作るコンテンツは多彩で、あらゆるジャンルに広がっていると言っても過言ではありません。ヒカキンやはじめしゃちょーなどはYouTuberの枠を超えた大人気タレントとして地位を確立しています。

自分の顔を出してコンテンツを配信するYouTuberに対して、VTuberはバーチャルなキャラクターとして出演をして、様々なコンテンツを発信している人たちのことを指します。また、現在ではYouTube以外にも様々なプラットフォームが広がっていることから、単にVTuberと呼ばれるようになっています。

今人気のVTuberとして挙げられるのは、キヅナアイや電脳少女シロなどが有名で、アイドルやタレントのような存在となっています。

また、VTuberの撮影方法はモーションキャプチャ技術やリップシンク技術と呼ばれる高度な技術が使われており、精緻なトラッキングには「HTC VIVE」などのVRヘッドセットを使うのが一般的です。一方で、人気の高まりに応じて、簡易的な配信システムもどんどん誕生しています。二次元のキャラクターにも関わらず、人間に近い動きをしながら、リアルタイムで配信することができることがVTuberの人気の秘訣といえるでしょう。

既に7,000名を超えるVTuberが存在

ユーザーローカル バーチャルYouTuberランキング」を提供するユーザーローカルが2月21日に発表したところによれば、日本のVTuberは7,000名を超えたとのこと。増加ペースに陰りは見られず、引き続き強烈な競争が行われていることを伺わせます。

ユーザーローカルの発表データからMedia Innovationが作成

また、現在の人気ランキングトップ10は以下の面々です。

1位 キズナアイ 245万人 upd8
2位 輝夜 月 90万人 THE MOON STUDIO
3位 ミライアカリ 73万人 ENTUM
4位 電脳少女YouTuberシロ 60万人 .LIVE
5位 猫宮ひなた 46万人
ENTUM
6位 ゲーム部プロジェクト 36万人 ゲーム部
7位 ヨメミ 35万人 エイレーン一家
8位 田中ヒメ / 鈴木ヒナ 34万人 HimeHina Channel
9位 月ノ美兎 32万人 にじさんじ
10位 バーチャル番組連盟(ねこみみマスター) 24万人 バーチャル番組チャンネル

VTuber関連の調達企業は?

VTuber周辺では資金調達も活発です。グリーが40億円規模の投資を行っていくと発表しているほか、gumi venturesもVTuber領域に積極的に投資を行っています。また、ベンチャーキャピタルやCVCも今後有望とみられるVTuber領域に投資を始めています。

2019年2月株式会社ミラティブ31億円JAFCO、グローバル・ブレイン、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ANRI
2018年8月株式会社BitStar13億円グローバル・ブレイン、ABCドリームファンド、コロプラネクスト、Wright Flyer Live Entertainment、INTAGE Open Innovation、Makers Fund、朝日新聞社、名古屋テレビ・ベンチャーズ
2018年8月Activ8株式会社6億円Makers Fund、gumi
2018年9月クラスター株式会社4億円XTech、グローバル・ブレイン、KDDI
2018年6月カバー株式会社2億円グリーベンチャーズ、オー・エル・エム・ベンチャーズ、みずほキャピタル
2018年12月株式会社LATEGRA1.5億円ドワンゴ
2019年1月ユニゾンライブ株式会社5400万円gumi ventures
2018年10月株式会社BUZZCAST不明gumi ventures

ミラティブはゲーム実況アプリ「Mirrativ」を提供しています。元々はディー・エヌ・エーの社内で立ち上がったベンチャーですが、昨年独立。巨額な資金調達をしながら、事業を拡大しています。VTuberのように自分のキャラクターを演じながら実況できる機能が人気です。

BitStarはインフルエンサーマーケティングを手がける企業。ユーチューバーと企業のマッチングサイトを運営しています。グリー傘下のWright Flyer Live Entertainment とも資本業務提携し、複数のVTuberをプロデュースし、企業VTuberのサポートも行っています。

Activ8はナンバーワンVTuberの「キズナアイ」をプロデュース。さらに、バーチャルタレントの支援プラットフォームとして「upd8」を展開し、幅を広げています。

投資家としてはグリーとgumiが目立ちますが、グロービス、グローバル・ブレイン、XTechなどテック領域にも強いベンチャーキャピタルが登場してきています。

VTuber業界カオスマップ

最後にVTuber業界のカオスマップを紹介します。今回は以下の10の領域に分けて、主要なプレイヤーを掲載しました。配信プラットフォーム

まだ誕生して間もない業界ではありますが、プレイヤーの存在は多岐に渡っています。現在は配信プラットフォームや、事務所・プロデュース、および制作関係が充実していますが、今後はマーケティングやB2B領域での活用も広がっていくと考えられます。今後もカオスマップは定期的に更新できればと思います。

VTuberは現在、触れ合えるアイドルやタレントとして人気を集めていますが、関係者が口を揃えて言うのは、「誰もが自身のバーチャルでも姿を持つようになり、リアルとバーチャルを切り替えながら、溶け合うような世界になる」ということです。VTuberがどのような未来を切り開くのか、トッププレイヤーのインタビューで明らかにしていきます。

特集 VTuberは次世代のメディアか

  1. 急速に拡大するVTuber業界、投資が進む領域と主要なプレイヤーをカオスマップで紹介
  2. VTuberとは一体何者なのか? そしてリアルとバーチャルが溶ける未来とは?・・・VR専門メディア「Mogura VR」久保田編集長、永井副編集長インタビュー
  3. HTC NIPPON株式会社 児島社長インタビュー
  4. ゲームメディアはなぜVTuberを作ったのか
  5. グリー株式会社 荒木取締役インタビュー

※順次公開予定です

本特集に関連して「Media Innovation Meetup #2」として、特集の登壇者4名を招いたイベントを、3月13日(水)に秋葉原にて開催します。

■概要
日時 2019年3月13日(水) 19:00~21:00
会場 TIME SPACE 秋葉原 東京都千代田区外神田1-15-18 奥山ビル8階(JR秋葉原駅から徒歩2分)

■スケジュール
18:30 開場
19:00 開演、主催者挨拶
19:05 各登壇者からプレゼンテーション(15分ずつ)
    グリー株式会社 荒木 英士 取締役 上級執行役員/Wright Flyer Live Entertainment 代表取締役社長
    HTC NIPPON株式会社 児島 全克 代表取締役社長
    株式会社Mogura MoguraVR 久保田 瞬 編集長
    株式会社イード ゲーム事業部 矢尾 新之介 ディレクター
20:05 パネルディスカッション
    デジタルとリアルが溶け合う未来とは?
20:45 懇親会
    軽食とドリンクを用意します

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