(cache)心理療法のさまざま - 公認心理師・臨床心理士|LEC東京リーガルマインド
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心理療法のさまざま

心理療法は、19世紀にオーストリアのジグムント・フロイトによって創始された精神分析が始まりとされています。その後、フロイトの元に集まった人たちによって、精神分析や精神分析から端を発する多くの精神力動的心理療法(と反論として生まれた心理療法)が生まれました。フロイトのほか、娘のアンナ・フロイト、対象関係論のメラニー・クライン、分析心理学のカール・グスタフ・ユング、個人心理学のアルフレッド・アドラーなどがいます。

その後、フロイトの精神分析が科学的ではないと考えられたことから、スキナーらによる行動療法が生まれ、またベックは認知療法を開発しました。後にこれらは合流して認知行動療法という形でも行われるようになります。また、人間性回復運動の流れに乗って、人間性を重視する人間性心理学が興り、カール・ロジャーズがカウンセリングの基礎を体系づけました。その他、ゲシュタルト療法やフォーカシング、交流分析など多くの人間性心理学的な心理療法が生まれました。

そうした流れの中で、ある一方ではトランスパーソナル心理学といった人間を超えた存在とつながろうとする心理学や、家族療法などの複数人を対象にすることができ、人の心を分析するのではなく、コミュニケーションの相互作用を分析する形など様々な形で心理療法は拡がりを見せています。最近では、マインドフルネスやオープンダイアローグ、EMDRといった新しい潮流が生まれてきており、心理療法は今や百花繚乱の時代と言えるでしょう。

家族療法

家族療法とは、クライエントの深層心理や問題(とされていること)に注目するような多くの心理療法とは異なる観点から行われる心理療法です。家族療法は、アメリカなどの海外では臨床心理士とは別の専門家として成立しているほど、心理療法らしくない心理療法なのかもしれません。家族療法は、元々ミルトン・エリクソンという20世紀最大とも言われる心理臨床家(催眠療法家)が行ってきた心理療法を、一般のセラピストでもできる部分を抽出するために行われた研究から生まれたとされています。また、文化人類学者のグレゴリー・ベイトソンの研究や、家族療法家として有名なヴァージニア・サティア、元々精神分析を専門としていたネーサン・アッカーマンの臨床など、様々な影響を受けて生まれました。その考え方は、心理学だけではなく、生物学や数学、言語学など様々な学問の影響を受けています。

家族療法という名前から、「家族を原因とみなす」とか「家族が全員来なければならない」とか「家族関係の問題のみを扱う」という誤解をされがちですが、実際には全く異なります。

家族療法では、心の中のトラウマや、誰が問題かということは重視されず、「人と人とのコミュニケーションの悪循環」によって、問題(とされていること)が生じている(あるいは持続している)と考えます。ですので、その悪循環を切断し、良い循環を構築することによって、「何が問題だったのかわからないけども、いつの間にか問題がなくなってしまった」というようなことがよく起こります。

家族療法は、臨床心理士だけでなく医師やソーシャルワーカーなど、対人援助職には非常に有効な関わり方です。「療法」という言葉がとっつきにくくしているかもしれませんが、実際には面接室以外でも家族療法的な考え方は用いることが可能です。

オープンダイアローグ

オープンダイアローグとは、「開かれた対話」という意味で、フィンランドの西ラップランド地方の精神医療において30年間行われてきたアプローチです。

薬物を使わないか最低限度しか使わずに、「急性の統合失調症がよくなる(寛解する)」というふれこみから一躍広まりました。フィンランドの西ラップランド地方では、このオープンダイアローグによるアプローチが公費として無償で行われています。

オープンダイアローグでは、発症したばかりの急性期の統合失調症の患者の元に、原則24時間以内に駆けつけ、危機が解消するまでの十数回ほど、一回あたり90分間程度のミーティングが毎回のように行われます。ミーティングでは、モノローグ(独語)ではなくダイアローグ(対話)になるように話が行われ、今後に関する何らかの決定については必ず患者の目の前で行われます。

フィンランドの西ラップランドで行われてきたオープンダイアローグを、そのまま日本に適用することは難しいため、日本向けにアレンジすることが求められています。ただ、アレンジするにしても、オープンダイアローグのオリジナルをよりよく理解しなければ、アレンジした時には全く別のものになってしまいますので、オープンダイアローグの原理原則やオープンダイアローグで大切とされる要素を十分理解し、オープンダイアローグやオープンダイアローグ的な実践を行っていくことが、日本版のオープンダイアローグを生み出すことになるでしょう。

オープンダイアローグの7つの原則としては、
「ただちに援助すること」「社会的ネットワークという観点から事態を捉えること」「柔軟であること、機動性の高いこと」「ケースに責任を持つこと」「心理学的継続性」「不確実性への耐性」「対話すること、ポリフォニー(多声性)」があります。

また、オープンダイアローグを行う上での12の基本的要素として、
「2名以上のセラピストのミーティングへの参加」「家族や社会的ネットワークのミーティングへの参加」「開かれた質問」「クライエントの発言への応答」「いま、ここの瞬間を重視すること」「多様な見方があることを明らかにしておくこと」「対話において関係性を強調すること」「問題発言や行動に対しては淡々と関わり、それを意義深いものとして関わること」「症状そのものではなく、クライエントの持つ言葉や物語を重視すること」「ミーティングの中で専門家同士の会話を行うこと(リフレクション)」「透明性を保つこと」「不確実性に耐えること」があります。

これらは一見すると、あまりに単純に思われる危険性もあり、すぐにでも実践できそうな気持ちにさせるかもしれません。また、それぞれの言葉に対する解釈の違いもあるかと思います。「言うややすし行うは難し」と言われるように、これらをしっかり理解して実践できるように、オープンダイアローグのトレーニングは通常2年間?3年間かけて、フィンランドやイギリスなどで行われています。

オープンダイアローグは、統合失調症以外のどのような精神疾患や問題行動などにも対応可能とされていますが、オープンダイアローグが薬物治療を含む全ての治療の代替になるわけではありません。オープンダイアローグが真の力を発揮するのは、オープンダイアローグ以外の心理療法や薬物治療、社会的ネットワークなどの間をつなぐ役割をする時でしょう。今後、オープンダイアローグが日本に最適な形で定着し、様々な人や治療が有機的につながれることが望まれます。

EMDR

EMDRとは、眼球運動による脱感作及び再処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)の略で、1987年にフランシーン・シャピロによって偶然発見されたトラウマ・ケアの方法です。EMDRは、2013年にWHO(世界保健機関)によって、「最も安全で効果的なトラウマ療法」として認められました。また、日本でもNHKでその様子が放送されたことから、急速に広まってきました。なお、EMDRは日本EMDR学会によるトレーニングを受けているセラピストから受けることが推奨されており、またEMDRのトレーニングを受けたからと言ってもEMDRをうまく使いこなすには難しいとされています。

EMDRでは、後に眼球運動を必ず用いなくても、両側性刺激(右側と左側に交互に刺激を与えること)であれば行えることがわかったのですが、眼球運動を用いられることが最も多く、場合によって別の種類の両側性刺激を用いることがあります。

適用は、PTSDやPTSDとは診断されないトラウマ、恐怖症を始めとして、他にも様々なものがあります。うつ病や双極性障害、原因不明の精神症状、原因不明の身体症状、原因不明(あるいはストレス性と言われる)の自律神経症状などが、実はトラウマが原因だった場合も少なくなく、トラウマ由来のそのような症状は、EMDRによってよくなる可能性があります。

EMDRは、その他の心理療法と比べて比較的に効果が出るのが早いことが多く、別の心理療法では半年、1年かけても少ししかよくならなかったものが、1回~数回で劇的によくなる例も少なくありません。複数回のいじめや、幼少期の虐待、拷問、戦争体験など複雑な要因が絡んでいる場合や解離と呼ばれる症状がある場合は、よくなるまでに年単位でかかることも多くありますが、やはりそれでも他の心理療法と比べると比較的に効果が高い場合がよく見られます。

EMDRと似た心理療法や組み合わせのされやすい心理療法として、TF-CBT(トラウマフォーカスト認知行動療法)、ソマティック・エクスペリエンシング、ブレイン・スポッティング、TFT(思考場療法)、自我状態療法、ホログラフィートークなどがあります(もちろん、それ以外もあります)。全てのトラウマがEMDRで対処できるとは限らないので、これら様々なトラウマ・ケアの方法を組み合わせて行うことで、多くのトラウマ・サバイバーたちが苦しんでいた症状から抜け出すことができています。

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