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出張のおりに、横浜で株式会社Be wiz You(ビジュー)代表取締役の榎木丸真子さんにお会いしてお話しを伺いました。榎木丸さんは、2人のお子さんをお持ちのお母様であり、療育の会社ビジューを2007 年に設立した経緯をお持ちです。横浜の、ステーキレストランでランチをごいっしょしながら、お話しを伺いました。 Q:お子さんのことをお聞きしてもよいですか? はい、うちの長女は1歳くらいのときにすでに発達障害を指摘され、落ち込んだ時期もありましたが、自閉症の子どもたちの多様性に興味を持って、すぐに療育を考えました。自分自身が大学院で言語学を専門としており、言語の発達に興味があったため、子どものこともむしろ障害とは別の視点から見ることができたように思います。 そして現在、小学4年の長女は普通級に通っており、ときどき社会性や友人関係で難しい局面もありますが、親として成長を応援しています。また、小学1年の次女は、診断名はありませんし、発達について、特に指摘されたことはないのですが、不思議な感じの発達凸凹ちゃんだと、私は感じています。私自身も次女と似たようなタイプですし、子どもを持ってみて、障害があるかどうかというより、障害があるかないか線引きできないタイプの人たちも多く存在していて、すべての人が、グラデーション上に存在するという視点を持つようになりました。 Q:会社設立の経緯は? オーティズム・パートナーシップ(略してAP)というアメリカの会社の日本支社を引き継ぐ形で、わたしが中心となって設立しました。当社の特徴は、実際に発達障害のあるお子さんや兄弟姉妹がいるからこそ、この仕事を使命と考え、アメリカ、カナダ、ヨーロッパなどで、ABAを習得してきた人材がセラピストとして働いており、理論だけではなく、実際の育児や生活の現場に密着したアドバイスができるということです。これは、クライアントさん側にとっても、共感を得られやすく強みだと思っています。 療育といえば、小学校に入るまでと考えるご家庭が多いのですが、ビジューには、1歳半から20歳まで幅広いクライアントさんがいます。発達凸凹の人は、それぞれの方が全員違いますし、ビジューに初めていらっしゃる年齢も様々で、抱える問題も年齢や環境によって変化していきます。私たち、ビジューのセラピストは、就学だけが目標ではないことを、自身の家族を通して、実感していますので、生涯にわたって、いつでもサポートできる体制を整えました。 Q:ええと、榎木丸さんご自身は無給だとか。 はい、わたしは日々たくさんのクライアントさんとの面談、会社の経営、スタッフ会議などの業務を行っておりますが、すべて無給です。会社はわたしの家族のようなものです。同じ悩みを抱えるお母さんお父さんと同じ目線で、気持ちに寄り添って、子どもたちの夢と生きる力を支えていきたいと考えています。私が、クライアントのご家族やお子さんから学ぶこともたくさんあります。 療育指導料は、セラピスト、スーパーバイザーたちが、この仕事に誇りと自信をもって臨床を行っていくための給与を確保する分のみです。ABAは、まだ国や地方自治体から支援が得られないままで、療育指導料だけで運営しているのですが、実質、私自身は、なにも頂かなくても、かかわった子どもたちの成長を実感できることが、私の糧となっています。ビジネスという立ち位置ではなく、そのご家庭のご事情に合わせた療育を柔軟に提案しています。たとえば、小さなお子さんが多いので、お風邪などで休まれた場合は、振替か翌月からお引きするなど、できるだけ、ご家族に無理なく続けていただけるように、スケジュールを調整しています。 前身の会社であるAPの時は、アメリカの臨床家の信念に合わせて提供時間数や曜日などを指定して提供しなければならなかったのですが、それでは、日本の実情に合わないですし、発達凸凹の子どもたちは、全員違うのだから、ひとりひとりの子どもやご家族の事情に合わせて、療育の時間数や日程は、柔軟に対応する必要があると考えました。ですから、APからこの会社を引き継いだ際も、利益が目的ではなく、発達凸凹があっても夢をあきらめずに、教育の機会を奪われることのないよう、生きる力をサポートしていきたいというのが目標です。それは、今も変わっていません。ビジューで働くセラピスト、スーパーバイザーたちも、子どもたちの成長が生き甲斐で、一生この仕事を続けていくと決意した人しか採用していません。 ABAといえば、高い、利益目的と、誤解されることがあるのですが、私自信は、実際に、わが子に行ってみて、ABA自体は、発達凸凹があってもなくても活かせる、丁寧な育児の一つの手法であり、考え方だと、捉えています。最終的には、ご家族が生活の中でその手法を「いいとこどり」して、あきらめず、頑張りすぎず、活かしていければと、ペアレントトレーニングとカウンセリングを大切にしています。 榎木丸さんとお話ししたときに、ふだんの生活のことも少しお伺いしたのですが、まるで芸術家のような生活感、人生観をお持ちの方です。きっとお子さま方も榎木丸さんの自由な考え方や生き方を受け継いで成長されるのではないでしょうか。発達障害の子どもや大人の中には、個性豊かな方が多く含まれます。コミュニケーションなどのスキルがあれば、個性を発揮するのはもっとたやすくなると思います。個性を社会の中でどう溶け込ませていくか、そういった視点がこれから広く望まれていくような気がしました。 株式会社 Be wiz You ビジュー 所在地は東京都目黒区です http://bewizyou.org/ |
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話すことの原理と療育の紹介、あしたばの中の関連記事はこちらへ 201312/article_3.html
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