「「人質司法」 改めるべきは(複眼)(日経より)」
企業会計 「人質司法」 改めるべきは(複眼)(記事冒頭のみ)
日産ゴーン事件に関連して、日本の「人質司法」について、3人の識者(元高裁長官、外国人経営者、学者)に聞いた記事。
中山隆夫氏
「今回、事件が海外に発信され、日本の刑事司法制度が必ずしも
世界標準でないことを知った国民は多い。その意味では東京地検特捜部はパンドラの箱を開けた面がある。」
デービッド・アトキンソン氏
「弁護士の立ち会いが許されない取り調べ、容疑を否認すると長引きやすい勾留期間。私は日本で長年暮らしてきたが、
この国の刑事司法制度は恐ろしいものだと感じる。制度のあり方が「正しい」とか「間違っている」とかというのではなく、欧米が長く育んできた
民主主義の考え方に照らすと異質ということだ。」
「日本の捜査機関は権力行使についてこれまで厳しい批判にさらされたことが少ないためか、捜査を恣意的に進めがちな印象がある。私は以前、地域のもめ事を巡って警察から任意で事情を聴かれた。警察官は「事実かどうかは関係ない」と前置きし「当事者同士で和解したらどうか」と提案してきた。自身の主張にこだわれば、厳しい追及を受けるかもしれない。私は言われた通り和解に応じた。捜査機関とのやりとりは録音が許されず、傍らに弁護士もいない。一度きりの事情聴取だったが恐ろしかった。」
「日本の刑事司法は治安の維持に役立っているかもしれない。また、批判に対して捜査機関側が「日本特有の事情や価値観がある」と不満を抱いていることも知っている。
だが、この姿勢にも首をかしげる。例えば日韓の対立で日本は「国際社会の常識では考えられない」などと批判を繰り返している。
状況に応じて「日本特有の事情」と「国際社会」の立場を使い分けるのはご都合主義ではないか。」
王雲海氏
「
欧米の経済事件は任意捜査が前提であり、
任意聴取せず逮捕した東京地検特捜部の捜査手法が疑問を持たれるのも致し方ない。実質犯の特別背任罪ならまだしも、形式犯の役員報酬の虚偽記載罪は、
身体の自由を重視する欧米では在宅で捜査されるだろう。
根底にあるのは、経済事件をみる視点が、日本では「正義か不正義か」にあるのに対し、欧米は「動機はわかるが市場の秩序を乱したルール違反」と一段低くみることの違いだ。日本は制度上は欧米のような手続きが整っているが、実務は
伝統的な「お上意識」を引きずっている。」
「今回の事件でも適用された司法取引は、強制捜査前に起訴できるだけの証拠を積み上げるため、ゴーン元会長本人の自白は不必要だったともいえる。司法取引の導入は自白偏重を脱却する最善の機会だ。元会長が起訴後の今も保釈されないのは、
自白偏重に基づく古い慣習が残っている過渡期だからだろう。」
ゴーン氏はたぶん有罪にするのでしょうが、有罪無罪にかかわらず、日本の司法制度の問題点を明らかにするという役割を果たすことになりそうです。
ゴーン氏の新弁護人が4日に日本外国特派員協会で記者会見を行っています。
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【ライブ】カルロス・ゴーン被告弁護団が記者会見(YouTube)
ゴーン被告の家族、国連機関に訴え 「基本的人権侵害」(朝日)
この本も経済事件における人質司法の実態を書いたものといえます。
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(宣伝文より)
「ある日、凄腕の公認会計士が逮捕された。容疑は粉飾決算。シロアリ駆除の上場企業、キャッツ経営陣による株価操縦事件に絡み、東京地検特捜部に摘発されたのだった。カネボウ、ライブドア事件でも公認会計士が逮捕されたが、すべて容疑を認めている。だが、キャッツ事件の被告は容疑を否認して、
190日間拘留される。「粉飾決算ではない」。専門の会計理論を駆使して取り調べの検事と対峙するが、検察の描いたシナリオのまま起訴される。」
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