ドラゴン補給機の12号機がISSに到着

最終更新 2017.08.22

日本時間2017年8月15日(火)午前1時31分に、スペースX社商用補給機ドラゴン12号機(Space X CRS-12 (SpX-12)/Dragon)を搭載したファルコン9ロケットが打ち上がりました。翌16日(水)午後7時52分に捕捉、午後10時7分に係留されました。 今回の搭載品には乗組員のためのアイスクリームカップ(チョコレート、バニラ、バースディケーキ味)も搭載されています。(今回運ばれたNASAの船外実験装置CREAM「クリーム」も、ISS-CREAMと表記する場合は「アイスクリーム」と呼ばれます。)

今回打ち上げられたファルコン9ロケットはブロック4(Block4)という改良型の初飛行ですが、回収して再使用するための整備コストを下げるために2018年に導入される予定のファルコン9 Block5への通過点に過ぎません。今回使用した1段は新規製造されたものですが、着陸脚は再使用品でした。なお、1段は打ち上げおよそ7分46秒後にケープカナベラル基地の着陸地点に予定通り着陸しました。

高エネルギーの宇宙線を観測するCREAMは、2004年から2016年まで7回(計191日間)南極上空でのバルーン観測を行いましたが、国際宇宙ステーション(ISS)用に開発されたISS-CREAMはこの10倍以上の期間の観測(3年以上を予定)を予定しています。ISS-CREAMは、1,000 trillion electron volts (1 PeV)というこれまで観測した事のない高いエネルギー領域までの宇宙線が観測できる設計です。10億eV以上の宇宙線は太陽系の外から来ており、ISS-CREAMによる観測で、超新星爆発以外の発生源があるかどうかを調べることができるようになります。宇宙線は銀河の磁場と相互作用して進行方向が乱されるため発生源は良くわからず、ここまでエネルギーが加速されるメカニズムも解明されていません。大きなエネルギーの宇宙線を観測するには検出器を大きくするか、観測期間を増やさなければならない(エネルギーが高い粒子ほど数が少なくなる)ことから、宇宙ステーションで観測を行います。

また、1 PeVを超えるエネルギーの宇宙線は地上でも観測できますが、大気とぶつかって二次粒子となり、これが観測の妨げ(バックグラウンドでの干渉)になるため、バルーンでの観測には限界がありました。ISS-CREAMは、きぼうの船外実験プラットフォームに設置され、既にISSで高エネルギーの宇宙線とガンマ線の観測を行っているAMS-02と、日本のCALETと共に観測を行う事になります。

与圧貨物としては米国が20匹のマウスを搭載するRodent Reserch-9実験があります。これは微小重力環境により頭部で生じる流体の変化が眼に与える影響を調べる実験で、マウスは生きたまま地上に回収して調べる予定です。またJAXAもプロバイオテクスが免疫系を活性させるかを調べる実験(Multi-Omics-Mouse)のためにマウスを搭載しました。

source : NASA