【大相撲】貴景勝、大関への壁 押して押して押しまくった 高安に5勝7敗2019年3月5日 紙面から
大相撲の二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪府大東市の湊部屋宿舎であり、大関とりに挑む関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=が、大関高安(29)=田子ノ浦=との三番稽古で5勝7敗と火花を散らした。「普通です」と表情を変えなかったが、直近で3連敗中の“壁”相手に五分の内容で充実ぶりが目立った。 大関とりの予行演習のように小細工なしで、何度も電車道で一門トップを押し出した。貴景勝は、連合稽古初日の締めで高安に指名され、徹底した押し相撲で5勝7敗。合計の番数も、関取衆では最多の23番に上った。最後はぶつかり稽古で力を出し切り、砂まみれになって倒れ込んだ。 「(調子は)普通です。稽古場と本場所は、全然違う。相手の調子もあることなんで『悪くはない』で、終わっておくことが必要」 大関と互角の星数、内容にも口癖が「満足したら終わり」になっている22歳らしい振り返りだった。本人は素っ気なかったが高安とはこれまで2勝6敗。直近は3連敗と、次の地位の明確な壁になっているだけに、状態の良さと勢いが際立った。 見守った親方衆も、そろって好印象の言葉を並べた。尾車親方(元大関琴風)は「当たりは五分。いい稽古してるし、それなりに星を残すと思うよ」と大関とりへノルマとなる2桁勝利は、通過点と言わんばかり。昇進問題を預かる審判部の部長を務める阿武松親方(元関脇益荒雄)も「押し相撲にしては取り口が安定している。実力者ですね」とうなずいた。 帰り際、報道陣に囲まれると「まわしを締めるのは2~3時間なんだから、外してからの自分が大事」と持論を展開した貴景勝。「たくさん稽古をしたら、多めの食事と睡眠。テレビを見るより、寝るほうが100倍いい」。相撲にとことんストイックに向き合う心構えも、強さを支えている。 (志村拓)
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