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LightWave 3D 導入事例

おはなしの花/久保亜美香氏 井上精太氏 インタビュー
2007年3月5日
(2007年5月14日掲載)

平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門で、優秀賞を受賞した「おはなしの花」は、何気ないおしゃべりを楽しい ビジュアルで表現したアニメーション作品で、日常的な会話のラフなリズムにあわせて2Dと3Dを組み合わせたグラフィックスで展開されています。 そのビジュアルを制作する上で、LightWave 3Dをどのように使用していったのか、今回おはなしの花の制作者である、久保亜美香氏、井上精太氏にお話をお聞きしました。(以下より敬称略)

D-STORM(以下DS): まずは自己紹介をお願いします。

久保: 東京工芸大学(平成19年3月卒)の久保です。作家を目指しています。

井上: 多摩美術大学(平成19年3月卒)の井上です。デザイナーです。


DS: どのようなきっかけでCGを始めましたか?

久保: CGと言うより、小さい頃からSFXの映画、その技術が好きでした。大学に入る前は日本画等をしていましたが、入学してからその技術が手に届くところにあるんだなと気が付いて、意外と出来るんだなと思って、CGをやり始めたら楽しくて、始めました。

井上: CGというより、どちらかと言うと、グラフィックデザインをしたり、絵を描いたりのほうがメインです。


DS: 今回の作品の分担の仕方を教えてください。

久保: 企画は2人でしました。井上が絵コンテを起こして、アニメーションは私が担当しました。


DS: アニメーションの作成とは、絵をポリゴンに貼り付けたり、3D化したりということですか?

久保:はい。


DS: 基本的には、デザイン画があってそれを3Dに起こすような感じですか?

久保: そうではなくて、デザインと素材を井上が起こし、私にどんどん流して、それを私が処理すると言う感じです。

井上: デザイン画を元に3Dと言うわけではなく、描いたもとは貼り付けているだけなので。


DS: つまり、2Dで動かしている感じですか?例えば、横から見ると平たいというか、板っぽいと言うか?

久保: 板がメインで、そこに少し立体のものがあります。そこに2Dのエフェクトつけたりしました。


DS: 例えば、制作前にはストーリーボードなどは作りましたか?

久保:ないです。

井上:3人くらいで雑談をして、それを録音しました。その雑談で、話を先に作りました。

久保:構図とかキャラクターが2つとか、横槍が入りそうなものだけを先に決めて、それ以外は殆ど決まっていない状態で始めました。


DS: 話から先に作ったんですね。

井上: そうです。話した内容をテキストに起こして、ここは何を出すと言うのを決めたくらいで。あとは、録音したものを聞きながらここは何を出すとか、そういったものを決めていきました。


DS: そういったものをまとめるに、何を使用されましたか?

井上: Adobe Photoshopです。


DS: お話のアイデアはどのような発端から考えられましたか?雑談が元で、これをCGにしたら面白いとか・・そのような感じでしょうか?

久保:そのような感じでは特にないです。漠然と、何か作品を作ろうと、2人で何かを作ろうと思っていたのが元々あります。 井上がキャラクターの頭を考えて、私が何か動きをと。今まで2人で創作活動をしていたこともあってなれているやり方というか、 自分達のやり方で作って行けたらいいなと考えていました。


DS: 何か目標がありましたか?

久保: 大学3年生まではあちこちで、学生時代にしか出来ないような。それこそ、自由な感じで色々なことを経験していました。4年生になり、外部の世界で色々とやってみた結果、自分ひとりでこつこつやるよりも誰か一緒にいたほうが捗ることに気が付きました。井上のデザインが好きだったし、信頼もしていて、しかも同じ学年で忙しさの状況もわかる相手でしたので一緒に作業を始めました。やるからには、外に見せられるものを作ろうと思い、コンペにも出しました。井上にはなにも言わないで、これは勝手に私が出しました。

井上: 久保は何も言わなくても常に何かやっているし。今までは仕事とか課題とかありましたが、4年生になって時間があったのでぱーっと作りました。 但し、あまり自由にやってしまうとこけてしまうので、今まで仕事や課題から学んだノウハウを生かしてやりました。絵の取っ掛かりの部分は私が頑張って、 技術的な部分が今まで蓄積したものを使いました。


DS: 作品の中で一番力を入れた部分は何処ですか?

井上: バランスです。2DとかCGとか、分けて考えていたわけではなくて、出来上がり図をあらかじめ決めて持っていたので、そこに壊れずに突き進むと言う感じです。

久保: 一番根元にあったのは夢のある感じです。

井上: かわいい感じにしようと思いました。

久保: 夢があるかどうかを基準にして、どんな人にでも嫌悪感を抱かれないように。好きになってもらえなくても、誰からでも見てもらえるようにしたかったので、そこに気を使いました。


DS: 雑談の内容もそんな感じで話したんですか?

井上: 久保: 雑談の内容は本当に雑談です。

久保: 雑談はあまりにも生っぽかったので、グラフィックスでそれを中和した感じです。

井上: あまり考えずにやるほうがいいのかなと、思ったので。

久保: 2分程度の作品ですが、2時間話しました。


DS: それはリラックスするまでに時間がかかったから、その時間かかったんですか?

久保: そんな風には私は意識していなかったけれども。結構、雑談の内容は覚えてましたね、ここが使えるとか。

井上: 実際の作品の中でも、ここは使えそうだとか言っているので。ここは使えそうだと言ったところをそのまま使っている感じです。選んだ意図はあります。絵にしやすそうとか。

久保: 富士山とか、飛行機とかビジュアル的にぱっと見てふわっとしていて絵になりそうだとかわかりやすいものを選んでいます。

井上: 人の雑談を聞いていて、喫茶店などでも耳に入ってきてああそうなんだとわかるものがありますけど、そんな感じにしようかと考えました。


DS: 制作期間はどれくらいですか?

久保: 全部で1ヶ月です。


DS: 工程を具体的に教えてください。

久保: 会って企画を決めました。雑談しながらそれを録音して、その後は会わずにネット上でのやり取りです。
Adobe Photoshopでイラストを描いてポリゴン化して、井上が作ったを素材をどんどんネット上で私に送り込んできて、それを順番にモデリングしたり、 レイアウトを整えたり、アニメーションをつけていきました。 Adobe After Effectsで、予め少しテクスチャを付け足す部分をレイヤーで分けたり、オブジェクトと影で分けたりしました。 オブジェクトの中でも、いくつかに分けて別に出したり、通常通り連番で出したりとしました。
連番でテクスチャをつけるところまでで井上に戻して、 次の作業をしてもらったものを全部Adobe After Effectsであわせました。 そこで、私が2Dのアニメーションで描いたエフェクトをつけました。影にもキラキラしたエフェクトがついていますが、 その合成もAdobe After Effectsです。あと、音楽もそれで行ないました。


DS: 音源はどういったものでしょうか?市販されているフリーのものですか?

久保: それもありますが、殆どが声です。効果音はフリーのものを使用していますが、素材はサウンドをお手伝いしてくれた人に用意してもらって、 それをAdobe After Effectsで調整しました。海外コンペにも出す予定でしたので、英語の字幕はつけようと考えていました。

井上: カナダの知り合いに、出来るだけ日常的な会話にしてくれるように、頼みました。これもネット上でのやり取りです。


DS: ネットでのコミュニケーションは何をメインに使用されてますか?

久保: メッセンジャーで、共有ファイルを使用して、リアルタイムに送ってもらってそれを使うようなやり取りをしました。
書き取っていると流れが中断されるのでマイクを繋げて録音しながら作業をしました。

井上: あと、ホワイトボードの機能を使いました。描いて伝えるというのが便利でした。


DS: LightWave 3D のプラグインは何か使用されましたか?

久保: MorphMixer くらいでしょうか。今回はそれほど手の込んだ作業ではなかったので、標準の状態です。
MorphMixer は便利でした。


DS: それは描いた絵をポリゴンで動かすのに便利だからですか?

久保: そうですね。ボーンを入れるより手っ取り早いので。質問にもありましたが、モーフィングで長いものを曲げたり変形させたりができないので、 それが困りましたのでボーンを入れました。


DS: 他に困ったところは?

久保: モノの影を出すのに、トゥーンシェイディングみたいなベタの色を出したかったんですが、ライトをあてるとオブジェクトには トゥーンシェイディングではなくて、ちゃんとした影をつけたくて後ろ側の地面とか角度とか、ライトの調整が難しかったです。

井上: 当初、Adobe Photoshopでグラデーションを作って、影はこんな感じでと指定をして、それを再現してもらっていたんですが。

久保: キービジュアルの指定を出してもらって、私がそれを忠実に再現するようにしてたんですが、それをするのに影の処理が凄く困りました。

井上: 背景をスタジオみたいにして。

久保: 結局、平面にしましたけど。


DS: 地面から背中にくるようにですか

久保: でも影はそうしたくなかったので、背景はAdobe After Effectsで調整しました。

DS: 制作の解像度は?

久保: 1344×1008です。字幕を入れる関係もあったので、このサイズです。HDのサイズを標準で作成するのは不安があって、少し大きいサイズで作成しました。


DS: LightWave 3D の中で一番よく使う機能はなんですか?

久保: 数値入力です。最初、作成する前に設計図を描いて、それこそサイズを決めてしまうんですが、それがきちんとその通り出来たらうれしいので。 LightWave 3Dはポンとまとめて一気に同じ数値に出来たりしますよね。アレが便利でした。


DS: アニメーションの機能では?

久保: なるべくコンピュータに補間させる方法をとっていると感じさせないような動きをつけたいんです。
だから、アニメーション機能を使っていても自分で1フレームずつ動かして結構アナログなことをしているのでぬるっと動かないようにしているのあんまり・・・。本当にベーシックな部分しか使用していません。


DS: 逆に不足している機能はなんでしょうか?

久保: あったらいいなはやっているときは色々とありますが。・・・レイアウトでUndoが1回しか有効でないのは本当に困ります。本当に!本当に!


DS: 2人に聞きます。賞を受賞されて何か変わったことはありますか?

久保: 単純に知り合いが増えました。会場などで、プロの方にお会いできて、自分も作品を見せられるので、ちゃんとお話できたり認識していただける のはとても大きいです。これまでは忘れられちゃう存在でしたが賞があるとぜんぜん違います。

井上: 大して変わりません。やっていることも変わりませんし。


DS: 卒業制作はどのようなものをされましたか?

井上: Swift3DとAdobe IllustratorとFlashを使用した作品です。科学の教科書に載っているような線画で描いたイラストみたいな版画を 映像化したものです。Swift3Dは初めて使用しました。


DS: 今後お二人は、どういった活動を考えていますか?

久保: 今回、気を使ったつもりではいましたが、やはり非英語圏の方には雰囲気でしか伝わらないので。非英語圏の海外の方に伺いましたが、 やっぱり字幕のスピードが速いのでわからない部分もあるんだけれども、映像があるから何とか伝わるよといっては下さいましたが、 もう少しそこいら辺がまんべんなく伝わるような作品を作りたいです。


DS: 各国バージョンとか?

久保: あのリアルタイムの会話はもう出来ないので。またやるとしたら、別の作品を作ろうと思います。


DS: その際はまた、お二人でやりますか?それとも人数を増やしますか?

久保: 増やしません。簡潔な作業をしていきたいので、機会があればまたやります。


DS: 井上さんは就職されても、個人での作品つくりは続けられますか?

井上: そうですね。この作品の音楽効果を担当した人が音大の人で、その方の修了演奏会があってオーケストラを使ってのものでしたが、そちらの映像を つけたりとか。ゲーム業界には色々なプロフェッショナルの方も多いと聞きますので、そういった方と組んで何か出来たら楽しいなと思います。


DS: 後輩の方に何かアドバイスをお願いします。

久保: CGを使った作品を制作することは、ソフトウェアのキーフレームをそのまま単純に使うと皆同じ動きになります。
せっかくいい作品を作っても動きが同じで似ていると勿体ないので、やはりどんなに便利なツールやソフトウェアが出来てきても、自分で丁寧に作業をすることが大切だと思います。そしてオリジナリティのあるものを作って欲しいと思います。

井上: アニメーションの作品を学内で見ることも多いのですが、陰鬱なものが多いんです。内面的といいますか。渋いものが多いので、あんまり深く考えないで明るいものが見たいなぁと、個人的には思います。


DS: 現在の受賞の履歴を教えてください。

久保: 国内では7個。それとNHKのデジスタベストセレクションです。インコンペ中なのは海外で2つあります。SIGGRAPHにも応募しました。

井上: 最終目標は、新庄さんにあえたらゴールという感じです(笑)

今までのおはなしの花受賞歴(順不同)
■第5回インディーズアニメフェスタ:三鷹賞(大賞)・杉井賞
■平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭:優秀賞
■NHKデジタルスタジアム:中島信也ベストセレクション
■富士山映像CGアニメコンテスト:最優秀賞
■学生国際ショートムービー映画祭in関空:クリエイト賞
■デジタルアートグランプリ2006:グランプリ
■2006アジアデジタルアート大賞:入賞
■Digital Creators Competition 2006:金の翼賞
■しずおかデジタルコンテンツグランプリ2006:グランプリ

□ノミネート
■Tampere Film Festival 2007(フィンランド)
■Internationales Trickfilm Festival Stuttgart'07(ドイツ)
■Platform International Animation Festival(アメリカ)

□上映(最新の情報)
■2007年5月6日 Festival des Tres Courts/Around"Animation"(フランス)
■2007年5月1日-6日 神奈川国際アニメーション映像祭

DS: 本日はどうもありがとうございました

平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭サイト

 
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