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2019-03-04

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・学校で「仕事量」ということを習った。
 あんまりよく覚えていないのだけれど、たしか、
 「5キログラムの物体を1メートル動かしたら、
 どれだけ仕事をしたことになりますか?」みたいなこと? 
 だったかなぁ(ほんとにいいかげんですみません)。
 エネルギーの法則というあたりの勉強だったよね。

 あれを知っているおかげで、いろいろ便利なこともある。
 わざわざムダなことをしないで、最小のエネルギーで、
 「仕事」をすることができるからね。
 たとえば、地域の水道管工事をするときなんかに、
 「適当にあちこちつなげとけばいいよ」というのより、
 仕事量を最小にして工事を終わるにはと、
 考えて設計するほうがいいに決まってるものね。
 「仕事を最小にして効果を最大にする」という考え方は、
 人が生きていくうえでの大前提にまでなっている。

 クルマを運転する人が、少しでも近道を探そうとして、
 「近道マップ」を買ったりするのも、
 仕事量を最小にしようとする努力だろう。
 食事したときに「コスパがいい」ということを
 大きく評価するのも、同じような発想かもしれない。
 世の中のだいたいのことは、
 「最小の仕事で最大の効果」を基軸に考えられている。
 これを疑わないほうが、おそらく、便利に生きられる。

 しかし、「そうはいかない」ことがあちこちにある。
 例えば、「手編みのセーター」は、
 つくるのに50時間とかかかるのだけれど、
 機械編みでなくて、あえてこっちを選ぶ人がいる。
 セーターをほしがるというだけでなく、
 それをじぶんで編みたいという人もたくさんいる。
 九州の鉄道を走っている「ななつ星」という列車などは、
 何日かの日数をかけてもどこへも行かず、
 出発した駅に帰ってくるだけである。
 どちらも「大きな手間ひまをかけて」
 なにをしているということになるのだろうか。
 物理的に得るものよりも、こころになにか得たいのだ。
 こんなことも、たぶん「損得」でも説明できるだろうが、
 いったんその法則から離れたほうが、いいとも思う。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「最小の仕事で最大の効果」がたのしきゃいいんだけどね。


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